第25話:北の果ての殺人鬼
北海道に着き、船を降りる京一と聡美。
「車借りてくるな」
京一はそう言ってレンタカー屋へ行き、手続きをして車を借り、聡美の下へ移動した。
助手席に聡美が乗る。
「フェリーでは食えなかったから、ファミレスか」
京一は車を走らせ、近くのファミレスに入り、食事をした。
食事を終え、レジで清算をした。
車に乗り、目的もなく走り出す。
「聡美はどこ行きたい?」
「特に行きたいってところはないわね。取り敢えず、観光地を適当に廻りましょう?」
その時、聡美が何かに気付いた。
「京一さん、あれ──っ!」
京一は聡美が指差した先を見て急ブレーキをかけた。
聡美が指し示す先で何者かが女性にナイフのようなものを見せていた。今にも刺そうという勢いだ。
京一は車から降りると、女性に駆け寄る。
「何してる!? 警察だ!」
何者かは慌てて逃げていった。
「怪我はありませんか?」
「ええ、お陰様で」
「誰なんです?」
「わかりません」
「面識がないんですね?」
「はい……」
「京一さん、もしかしてストーカーじゃない?」
そう言いながら聡美がやってくる。
「取り敢えず、署まで行きましょう」
京一と聡美は女性を警察署へ連れていく。
捜査一課で職員が女性と話をする。
京一と聡美の二人は捜査一課のソファに腰掛けていた。
「警視庁の方なんですか。こちらへはお仕事で?」
男性職員が訊く。
「いえ、プライベートですね」
「そうですか」
「彼女はどうなるんですか?」
京一は職員と話をしている女性を示した。
「取り敢えず、相手を特定して殺人未遂で逮捕でしょうか」
「では我々も協力します」
「いや、そんな警視庁の刑事さんのお手を煩わせる訳にはいきませんよ」
「では我々は彼女の護衛をします」
「そうですか、それは頼もしい」
京一たちが職員と話をしていると、女性の方の話が終わった。
「お嬢さん、この方たちが貴方を護衛してくれるそうだ」
「そうなんですか?」
「ええ」
「ありがとうございます」
二人は女性を連れて苫小牧市警察署を出た。
「そう言えば自己紹介がまだでしたね」
土井 恵子、女性はそう名乗った。
「警視庁の高岩 京一です」
「私立探偵の黒川 聡美です」
「刑事さんに探偵、ですか。変わった組み合わせですね」
その時、フードを被った何者かが現れた。
「今度こそ……」
何者かはそう呟いてナイフを取り出した。
ナイフが恵子の目前で空を切る。
京一は何者かの手首を掴み、ナイフを払い落とし、遠くへ蹴り飛ばした。
「殺人未遂の現行犯で逮捕します」
京一は何者かに手錠をかけて署へ連行した。
取調室で調書を取られる何者か。
性別は男。名は吉岡 洋介。住所不定の無職だ。
職員が理由を訊くと、「無差別に殺したかった」と、吉岡はそう答えた。




