第20話:スタントマン殺人事件 前編
その日、京一は警視庁に登庁した。
捜査一課に行くと、荒川 洋子巡査長がいた。
京一と洋子は同期だった。一つ違うのは、京一がキャリアであるということだ。
「荒川じゃん。何してんだ?」
「今日から捜査一課に加わることになったの。よろしくね」
その時、殺人の通報が入った。
「課長、俺と荒川を組まさせて下さい」
「ああ、いいぞ。手本になるようしっかりやれよ」
京一と荒川は、事件現場に足を運んだ。
現場は渋谷のとある中学校の地下体育室。
校門を潜り、突き当たりを右に進み、建物の中へ入る。
建物に入ったら靴をビニールで覆い地下へと進む。
「鑑識、ガイシャの身元は?」
「宮本 ヨシオ、三十六歳。職業はクアック・ジャックのスタントマンです。死因は後頭部を殴打された事による脳挫傷だと思います」
京一と荒川は合掌をした。
「何でスタントマンがこんなところに?」
「クアック・ジャックはアクションの稽古場にこの体育室を借りているそうです」
「そうか。……第一発見者は?」
「体育室を利用しようとしたクラスの体育係の子です。あの子です」
鑑識が差し示したのは、女の子だった。
京一と荒川が女の子に歩み寄って警察手帳を見せた。
「警視庁の高岩です」
「同じく荒川です」
「新田です」
「死体を発見した時の状況を詳しく話してくれるかな?」
新田と言う女の子は、二人に遺体発見時の状況を説明した。
彼女が授業で体育室を利用しようと、借りてきた鍵で扉を開けて中に入り、電気を点けると、体育室の中央に倒れている被害者を発見したということだ。
(現場は外側から鍵がかかっていた……自殺とは考えにくいな)
「荒川、お前、上に行って昨日ここを最後に出た人物が誰なのか探ってきてくれ」
「分かった」
荒川が走り去る。
「鑑識、死亡推定時刻は分かるか?」
「昨夜八時前後だと思います。詳しいことは解剖してみなきゃ分かりませんが」
そこへ戻って来る荒川。
「どうだった?」
「この体育室は二十四時間態勢で管理しているらしいわよ。つまり、誰かしら常駐してるってことね」
「と言うことは、関係者全員のアリバイを調べることになるな」
「じゃあ、取り敢えず、管理者から話を聞く?」
「そうだな」
京一と荒川は上階に行き、事務所で事務員のアリバイを確認した。
牧田 茂……昨夜八時前後は勤務を終えて家にいたという。
倉田 正雄……トイレ以外はずっと事務室にいたという。
芦田 薫……非番で家にいたという。
今のところ、アリバイを聞けたのはこの三人だ。
「他の人たちは後日聞くとして、次はクアック・ジャック行ってみるか」
二人はクアック・ジャックという俳優事務所に向かった。




