第16話:坂巻、再び
聡子が家にいると、ピンポンとチャイムが鳴った。
玄関に駆け、ドアを開けた。
すると、包丁を持った不審者が入ってきた。
驚いた聡子は逃げようとするが、不審者に捕まって背中を刺されてしまう。
「うっ!」
呻き声を出し、倒れる聡子。
「お前が悪いんだからな!」
不審者はそう言って家を出ると、駆け足で去って行った。
(京一さん……)
聡子は意識を失った。
そこへ妹の聡美が訪ねてくる。
「姉さん!?」
体を揺さぶるが反応がない。
聡美が聡子の脈を確認する。
(死んでる!)
聡美はスマホを取り出し、京一に電話をした。
「はい、高岩です」
「高岩さん、大変です! 姉さんが!」
「聡子がどうしたんです?」
「背中を何かで刺されて死んでるんです!」
「死んでるか、そうかそうか……って、ええ!?」
「兎に角来て下さい!」
電話を切り、暫くすると、パトカーのサイレンと共に京一たち警察がやってきた。
鑑識によると、聡子は聡美が訪ねてくる少し前に死亡したということが分かった。
「聡子……」
京一は聡子の前で合掌した。
「聡美さん、早速訊くけど、ここへ来る時に不審なものを見ませんでした?」
「いや、見てませんけど……」
「そうですか」
聡子の遺体が運ばれていく。
「京一さん、姉はどうして殺されたんでしょう?」
「何者かに恨まれていたんでしょうね」
「怨恨、ということですか」
「警部!」
「何だ?」
「玄関の外にこんなものが」
沼田がバッジを持ってきた。
「これは……」
「田口組のバッチですね」
「てことは、犯人は暴力団?」
京一はバッジを調べた。
「いや、これはレプリカだな」
「レプリカ?」
「ネットでよく見かける極道グッズだよ」
「なるほど。では購入者を洗えば犯人に辿り着けますかね?」
「沼田、購入者洗ってこい」
「分かりました!」
沼田が駆け足で去って行く。
「聡美さん、家まで送るよ」
京一は聡美を車で家まで送った。
「京一さん、犯人絶対挙げて下さいね」
「もちろんですよ。では」
京一は警視庁の捜査一課にやってきた。
自分の席に腰をかける。
(聡子……)
電話のベルが鳴る。
京一は受話器を取って応答した。
「はい、捜査一課」
「京一さん、聡美です。姉さんを殺した犯人が分かりました。これから会いに行きます」
「早まった真似はやめて下さい。行くなら俺もご一緒します」
「では事務所の前で会いましょう」
京一は聡美の下へ急いだ。
「聡美さん、犯人分かったって本当?」
「犯人はこの男ですよ」
聡美が写真を取り出した。そこには坂巻の姿が写っており、京一は驚き戸惑った。
(さ、坂巻?)
「坂巻 恒男という男です」
「何だ、別人か」
「……?」
「で、こいつはどこにいるんです?」
「行った方が早いですよ」
京一は聡美の案内の元、坂巻 恒男の家を訪ねた。
ピンポン──チャイムを鳴らすと、恒男が出て来る。
「坂巻さん、警察です」
京一は坂巻に警察手帳を見せる。
「黒川 聡子さんの件でお話を伺わせていただけますか?」
坂巻は聡美の姿を見て驚く。
「おめえ何で生きてんだよ!?」
「貴方が聡子を殺したんですね? 因にこちらの方は妹の聡美さんですよ」
「何だ、妹か」
「で、貴方が殺したんですね?」
「証拠は?」
京一は坂巻に田口組バッジのレプリカを見せた。
すると、京一の電話が鳴った。
「あ、失礼」
京一は電話に応答する。
「沼田か。ちょうどよかった。バッチの購入者リストの中に坂巻 恒男って名前ないか?」
「ありますよ」
「どうもありがとう」
電話を切りしまう。
「どうやらこれは貴方のもので間違いなさそうですな」
「くっ……!」
京一は坂巻に手錠をかけて連行した。




