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第15話:結婚式殺人事件!

 それは一週間前のこと。

 教会で新郎と新婦が結婚式を挙げている。

 牧師が質問をし、主役の二人がそれに答える。

「誓います」

「誓います」

「それでは、指輪の交換を」

 新郎新婦が指輪を交換する。

「誓いのキスを」

 新郎と新婦は口づけを交わした。

「それでは、新郎新婦の退場となります。皆様、拍手でお見送り下さい」

 新郎新婦が出口に向かって歩き出した。

 その時、外から覆面をした怪しい人が現れ、新婦に接近する。

 怪しい人は懐から包丁を取り出した。

「きゃああああ!」

 悲鳴を上げて逃げようとする新婦だが、怪しい者の方が速く、新婦は心臓を一突きされてしまった。

「うっ!」

 倒れる新婦。

 怪しい者、元い殺人犯は脱兎のごとく逃げ去った。

「楓!」

 新郎が被害者を抱き起こす。

「楓!」

「京太郎さん……、貴方と結婚出来て……よか……った」

 息を引き取る被害者。

「楓──っ!」

誰か、救急車!──と、新郎が叫んだ。

 参列者の中の一人が百十九番をして救急車を呼んだ。

 その後、救急隊員と共に警察がやって来た。

 警察は参列者たちに事情を聞いている。

 だが、事情聴取の中で犯人に目星を付けるのは非常に困難で、警察は事件をお宮入りにして帰ってしまった。

 そして現在、京一のいる警視庁捜査一課に京太郎と名乗る男性が来ていた。

「貴方が優秀な刑事さんと見込んで頼みがあります! 妻を殺した犯人を逮捕して下さい!」

「犯人を逮捕って、管轄外ですよ」

「それは存じ上げております! でも管轄内の警察は事件をお宮入りにしてしまったんです! お願いします!」

「分かりました。そこまで仰るのでしたら、少し調べてみようと思います」

「本当ですか!? ありがとうございます!」

 京一は課長にたった今書いた休暇届を叩き付けた。

「話は聞こえた。管轄外の事件を捜査するんだって?」

「はい」

「頑張れよ」

「ありがとうございます」

 目出度めでたく休暇をもらった京一は京太郎と共に東京駅から新幹線で山形へ向かう。

 山形に着き、事件の遭った教会を訪れる。

「ここが現場ですか」

「ええ」

「被害者が殺害される理由にお心当たりは?」

「ないです」

「そうですか」

 外に出る。

 すると、花束を持った女性がいた。

「渚じゃん。どうしたの?」

「この方は?」

「ああ、僕の前の恋人で、楓の友人です」

 京一は渚と呼ばれる女性に警察手帳を見せた。

「警視庁の刑事さんがどうして?」

「大人の都合ですよ」

「そうなんですか。私、伊澄いすみ なぎさって言います」

 渚は山形県警と書かれた警察手帳を取り出した。

「刑事課に勤務してます」

「そうですか……」

「高岩さんはこれからどうされるんですか?」

「取り敢えず、県警へ行こうかと……」

「じゃあちょっと待ってて下さい」

 渚が入り口の横に花束を置いて合掌する。

「行きましょう」

 渚が二人を車に案内する。

 二人は車に乗り込んだ。

 運転席に渚が座り、発車させる。

 県警に着き、三人は降りた。

 県警の中に入り、刑事課へ行く。

「伊澄警部、その方は?」

「警視庁の高岩さん。今回のお宮入りした事件を調べに来たそうよ」

「管轄外なのに?」

「京太郎の頼みなんだって」

「京太郎さん?」

「ああ、被害者の夫よ」

「なるほど、そうでしたか」

(ここで話をしても進展は無さそうだけど……)

「あの、事件の捜査はどこまで進んでるんですか?」

「それでしたら資料課へ行ってもらえますか?」

「資料課?」

「お宮入りした事件や時効を迎えた事件はそこで保管しているんです」

「そうですか」

 三人は資料課へ移動した。

「何ですか?」

「花嫁殺人事件の資料を見せていただきたいのですが」

「貴方、見ない顔だけど新人ですか?」

「いや、俺は警視庁の者だけど……」

「本庁の? 応援ですか?」

「まあ、そんなところです」

 資料課の職員が事件の捜査ファイルを用意した。

 京一たちは捜査ファイルを読んだ。

 ファイルによると、事件は一週間前に起きたことが分かる。

 その日、結婚式を挙げた新郎新婦。暴漢に襲われ、花嫁の楓が殺害されてしまうという、痛ましい事件だった。

 警察は被害者に殺意を持っている者がいないか、彼女の交友関係を洗ったが、容疑者は浮上しなかったという。

「伊澄さん、貴方は事件当時、どちらにいたんですか?」

「わ、私を疑ってるんですか!?」

「答えて下さい」

「し、仕事でしたよ」

「そうですか。ちな──」

「高岩さん、渚に人殺しは出来ないですよ!」

「そうなんですか?」

「ええ」

「……………………」

 京一は鑑識へ移動した。

「花嫁殺人事件の凶器の指紋は照合出来ましたか?」

「誰の指紋と?」

「伊澄 渚です」

「伊澄警部の?」

「まだなら急いで下さい!」

「分かりました」

 鑑識の職員が凶器の指紋と渚の指紋を照合すると──。

「どうもありがとう」

 京一は二人の下に戻った。

「どこ行ってたんですか?」

「伊澄さん、貴方の指紋が事件の凶器についていた指紋と一致しましたよ。花嫁を殺したのは、貴方ですね?」

「な、何言ってるんですか? 指紋がついたからって、私がやったという証拠にはならないですよ? だって私、誤って手袋をはめずに凶器に触っちゃいましたから」

「現場の刑事がそんなミスを犯すようには俺には思えないけど……」

「渚、本当なのか?」

「…………………」

 言葉を失う渚。

「私じゃない……私じゃない!」

 渚は逃げ出した。

 追いかける京一。

 辿り着いたのは屋上だった。

 渚がへりに立つ。

「来ないで! 警察に捕まるぐらいなら、死を選ぶわ!」

 立ち止まる京一。そこへ京太郎もやってくる。

「渚、やめるんだ!」

「京太郎……、さよなら……」

 渚は飛び降りた。

「なっ!」

 縁に駆け寄り、下を見る京一。地上には変わり果てた姿の渚が倒れていた。

 その後、警察が渚の自宅にガサ入れをしたところ、彼女の書いた直筆の遺書が見付かった。それによると、花嫁を殺したのが自分で、動機は被害者に京太郎を取られたのが原因であることが分かった。

 事件は被疑者死亡で幕を閉じた。


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