南の恋
シリーズ「四方の恋」の最終章?です。
前回の「西の恋」から、ずいぶんの時が経っちゃいました…。
私は幼馴染みが好き。
幼馴染みも私が好き。
そんな2人は恋人同士。
しかし、私は転勤することになった。
恋人を置いての転勤。
これに私、南原静江は耐えることができるだろうか?
とりあえず、次の日曜までは会うことができないので、メールと電話で乗り切ることにした。
「元気にしてる?」
転勤先に行って、幼馴染みの彼から最初に来たメールがこれである。
正直、昨日直接会ってるわけだし、元気じゃないわけがないが、私はそう言ってくれるだけで嬉しかった。
そんな感じで続いた二人のメールは、最後に「また明日」で終わった。
それから数日して、私は3日間の休日を取ることができた。
だから、私は彼に会いに、内緒で地元に帰ることにした。
だが、そこには、悲しい現実しか待っていなかった。
私が、地元に帰ると、たまたま彼を見つけてしまった。
そう、、、見つけてしまったのである。
彼の組んでいる腕の先には、細身の可愛らしい女性がいた。
それは、私とは比べものにもならないほど可愛らしい人で、私は見た瞬間に「負けた」と思った。
仕方がない事なのである。
私は、もともと可愛いという質では決してない。
だから、彼氏を他の女に取られたところで、文句の言いようがないのである。
けれど、悲しかった。
いくら私でも、悲しいものは悲しくて、辛いことは辛いのである。
私は、涙を流した。
それは、彼に対して流した、初めての涙であった。
次の日、私は近くのホテルに泊まっていたが、部屋から出て、彼に連絡を取った上で、会うことにした。
それは、関係に区切りをつけるため…。
それは、彼に―――――
私は、彼に「サイテー」と告げて、ビンタを一発かましてやった。
『クソくらえ!!』
そうとも思った。
こんなことしかできないから、他の女に彼を取られるのかもしれない。
けれど、私は私なのである。
言葉使いが、時に汚くても、気に入らなかったらビンタをかましても、
それが私という生き物なのである。
―――それが私という生き物なのである。。。