表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

鞠男の優雅な日々

 毎日大抵お昼ごろにアタシは起きる。

 

 アタシが起きる頃には平日は父親は職場に行き

 週末はゴルフ。


 母親は婦人会やらなんかの用事で曜日を問わず昼間は会う事も無い。

  

 週に5回はうちに来る家政婦となるべく顔を合わせないように 

アタシはなるべくささっと身支度をする。

 

 毎日姉や友人達が暇ならば彼らとランチをしたり遊びに行く、

それが無理なら一人でショッピングやスポーツジムに行っている。

 そうよ。

アタシは働いて無いわよ。

いわゆるニートってやつ?


 新宿2丁目で一生懸命なじもうと努力して通ったり働いた事もあったけど

(湘南から通うのは凄く大変だったわ!

アパートを借りる事も考えたくらい)

 結局上手くいかなかった。

 図太い神経と強さと仲間から‘面白いやつ’と思われないと2丁目で生きてくのは難しいみたい。

   

 それにアタシみたいにファッションセンスがいいゲイが活躍出来る職場もまだまだ少なかった。

(アタシは仮装みたいな格好をするタイプじゃない。

食べるものを我慢してもブランドものを身に付けていたい)

 専門学校を卒業してから父親のコネでアパレルの販売の仕事をしたことがあったけど、

長く続かなかった。 



 一応両親の前では自分のことを「僕」と呼ぶ努力はしてるけど、

たまについついうっかり「アタシ」と言ってしまう。

 母はスルーするけど父は怖い目で睨んでくる。


 ちなみに母親のことは双子の姉の麻凛の「ママ」という癖が移って自分も「ママ」と呼んでしまうが

父親に関しては姉のように「パパ」とは呼べない。

 昔風の硬い父親を「父さん」と呼んでいる。


 まあ父はアタシを見る度に「働け」とか「早く身を固めろ」とかうるさいのでなるべく会わないように努力している。

 母は薄々息子の性癖に気づいているみたいで何も言わない。 


 姉の麻凛は短大卒業直後に結婚してもう家に居ない。

二卵性の双子の姉は幼稚園から短大まで一貫の女子校に通っていた。

 偶然、共通の友人が居る。


 上殿ミラだ。

 彼女は3歳の頃CMでデビューしてから一躍人気子役として一世を風靡した。

 今は湘南のラジオ局で働いてはいるが、テレビには全く出ず芸能界から足を洗った生活をしている。

 (ネットラジオでちょっと顔が出る事はあるけどね。

あとラジオの仕事も一応芸能関係に入るのかもだけど微妙よね)

 

  ミラとアタシの出会いは高校生の時、

3年間ずっと同じクラスだった。

 ミラは偶然か運命のいたずらか、アタシの姉の通ってた中学出身だった。

当時は姉とミラは知り合い程度の仲だった。


 昔に比べてゲイに寛容な世の中になってるけどそれでも攻撃してくる奴はいる。

少なくとも無条件で仲良くつるんでくれる男子はいなかったわ。

だまっててもアタシの場合はしぐさや態度でバレてた。


 仲良くしてくれる女子はいたけど、それでもアタシは浮いている存在だった。

それは有名人のミラも同じだった。

 

 そもそも彼女は普通の子役とは一味違ってたわ。  

ありきたりなビックスマイルのペットみたいな可愛い子役では無く

生粋の美幼女だった。

 

 大人びた子供の役が多く彼女の代表作になったドラマ「お子様探偵スワン」では

大人顔負けの天才子供探偵の役をやってのけた。

 

 その美貌は年々輝きを増してたけど

高校生になった境に自らの意思で女優活動は辞めたらしい。

 

 初めて彼女を生で見たときは天使が舞い降りてきたのかと思ったくらい美しかった。

もちろん女に興味が無いアタシは単純にその綺麗さに見とれただけだったけど。

  

 ミラと話すきっかけはなかなか無かった。

(別に当時は喋りたいとも思わなかったけどね)

最初彼女の周りには代わる代わる話しかける相手が現れては囲まれていたけど

それが取り巻きとして残る訳では無かった。

 幼い頃から芸能生活が長い彼女は同年代の子達と上手く付き合えなかったのかもしれない。

(あるいは単なる好奇心で寄って来た相手を遠ざけていたか)


 それでもアタシと一緒のグループでいつの間にか行動するようになった。

(もちろん女の子のグループね) 

 最初はそんなに仲良く無かったんだけど今では毎週会っている。

ミラ以外にも彼女の友達の伽羅や幸子とも・・・

 そして子供の頃以来遊んだ事無かった姉の麻凛とも友人のように遊ぶようになった。

最近ではミラ達が居なくても二人で過ごす事が増えた。

結果、母は喜んでるけどね。


 姉の麻凛がミラと知り合ったのはアタシよりも先だけど、なんで後からつるむようになったかは

今度誰かが話すかもね。

  

 さてと、今日はミラが休みの日だから一緒にブランチを食べに行くのよ。

そして二人でスポーツジムに行くかショッピングに行って夜は幸子や伽羅と合流するかも。

 アタシはスポーツカーを走らせた。


 終わり   

   


 


 

 

   

 

   


 

  

 

      


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ