試してみようか
大学卒業後、海は外科医、薔子は監察医、隆之は刑事になってます。
これは薔子に振り回される海の話。
外科医も監察医も刑事も、全く詳しくありません。
あり得ない違いなどございましたら、
もういっそあなたのよくご存じの世界と似た世界の話だと思っていただければ幸い。
お題は【Abandon】様よりお借りしております。
愛したい10のお題
http://haruka.saiin.net/~title/0/
● 試してみようか
「試してみようか」
と、薔子が言う。
僕には逆らえない。
「いいよ」
と答える。
「じゃあ、1週間後にね」
1週間、会わない、電話もしない。
会えるような場所に行かない。
薔子がどうしてそんなことを思いついたのかわからない。
今日は日曜日。
薔子と会うのは3日ぶりだ。
「海ちゃん。あのね。」
「うん?」
薔子の大好きなカフェで、お茶を飲んでいるときだ。
薔子は珍しくコーヒー、僕はミルクティを飲んでいる。
席数10席という、小さな、しかし居心地のよい空間は、
行ったこともないフィンランドの香りがする。
その日も特別変わったことがあったわけではない。
お昼に薔子が僕のマンションへ来て、昼食を食べ、
その後散歩がてらこのカフェへやってきた。
「人はね、会えなくなったらその人のこと忘れちゃうのかな?」
「そんなことないんじゃない?」
「そうかな。」
「そう思うけど。どうしたの?」
「じゃあ、海ちゃんは1週間私に会えなくても、私のこと忘れない?」
「どうしたの?なんかおかしい。」
「ねぇ、忘れない?」
「忘れないよ。」
「試してみようか」
「試してみるって?」
「1週間、会わないの。」
「1週間会わないの?」
「そう、会わない、会いそうなところにもいないし電話もしない。」
「どうしてそこまでやりたいの?」
「どうしても。」
「・・・理由を言う気はないんだね。」
ため息をつきながら僕は言う。
薔子はいろんなことを考えている。
いろんなことを考えて、いろんなことを話したり、
いろんなことをしたりする。
それは、他の人から見ると、まるで意味がわからないが、
薔子にとっては大変大切なことのようだ。
隆之と僕は割りとあきらめて慣れている部分もあるが、
他の人はそうはいかないだろうに、それにまつわるトラブルは聞かない。
人徳なのか、僕と隆之にしか見せないところなのか。
それを喜ぶべきかもわからないが・・・。
「いいよ」
「いいの?」
「イヤだって言っても、きかないんでしょう?」
「・・・よくお分かりで。」
「付き合いも長くなってきましたからねぇ・・・。」
「なるほど。」
「1週間でいいの?」
「うん、1週間でいいの。」
「ふうん。」
「変かな?」
「まぁね、でもやるんでしょう?」
「うん。」
コーヒーを飲み干して、薔子が立ち上がる。
「じゃあ、1週間後にね。」
「まだ飲み終わってないんですけど」
「ごゆっくりどうぞ。でも私は帰る。」
「もう置いてきぼり?」
「そうよ。今が15時だから。1週間後の15時にここで。」
「来週の日曜日か・・・。いいよ。じゃあ15時に。」
「うん。あ、マスター、来週15時から、ここ予約してもいいですか?」
「いいですが・・・、予約ですか?」
「はい、ぜひ。」
「いいですよ、あけておきましょう。」
「ありがとうございます。じゃあ、海ちゃん。」
「ああ。」
にっこり笑って薔子は帰っていった。
客はたまたま僕しかいなくなり、すっかり顔見知りになったマスターが
カウンターから話しかける。
「薔子さん、どうされたんですか?」
「さぁ、僕にもいつものことながらわからないんですよ。」
「海さんにもお分かりにならいんですか。」
「ええ、なんなんでしょうねぇ。」
「まぁ、とりあえず差し入れです。」
あつあつのスコーンだ。大好物だったりする。
「うわぁ、いいんですか?」
「はい、どうぞ。」
マスターがにっこり笑いながら渡してくれたスコーンを食べながら、
僕は薔子のことを考える。
・・・何か怒らせるようなことをしたかな?
月曜日、出勤途中にふと気づく。
僕は自宅から車で15分の病院に勤めている。医者というやつだ。
僕の、いや、僕らの母校の付属ではないが関連している病院だ。
薔子と隆之と僕は、大学の医学部で知り合った。
それなのに今や医者なのは僕だけだ。
隆之は刑事になった。
薔子は、医者は医者でも監察医、死者専門なのだ。
僕は外科医なので、怪我をした刑事が運ばれてくることもあるし、
僕らは仕事でも会うことがある。
そして僕の家から病院までの間に、薔子の勤め先がある。
道を変えないといけない。
会いそうなところには行かない方がいいんだろう、多分。
適当に道を変えて車を走らせたら、思いのほか時間がかかり、
いつもより10分ほど遅れて病院に着いた。
「榊原先生、おはようございます。珍しく遅かったですね。」
「おはようございます、遅刻するかと思ってひやひやでした。」
「そんなに道混んでいたんですか?」
「いえ、ちょっといつもと違う道から来たら、時間がかかって。」
「なんでまた、道を変えたんです?」
正直な理由を説明するのは微妙なので、
「いやぁ、ちょっと、気分転換、かな?」
「気分転換、ですか。まぁ、榊原先生はまじめだからなぁ。
でも、そんな通勤経路変わるくらいで、気分転換になるんですか?」
「ええ、まぁ。」
「へぇ・・・。」
「さ、仕事仕事。今日も頑張りましょう。」
なんだかなぁ・・・。
さて、帰ろう、というときになって、隆之から電話がかかってきた。
『海か?悪いな、仕事中に。』
「もう帰るところだったから。どうかした?」
『いや、今週どこかで会わないかな、と思ってさ。』
「どうしたんだ?珍しいな。」
『まぁね、ちょっとね。』
「いつでもいいよ、今週は珍しく夜勤がないんだ。」
『じゃあ、水曜日はどうだ?』
「いいよ、じゃあ、20時にいつものバーかな?」
『そうだな、そうしよう。薔子も誘うか。』
「いや、それはまずいんだ。二人で会おう。」
『なんだ?喧嘩でもしたのか?』
「喧嘩でもしたんだったらわかりやすくていいんだけどね。」
『また、いつもの姫の難問か?』
「ま、そんなところ。月に帰らないように、僕はいつでも挑戦者だよ。」
『はは、じゃあ、会ったときにゆっくり聞かせろよ。』
「了解。水曜日にまた。」
『ああ、またな。』
今頃薔子は何をしているのだろうか。
たいてい会うのは週末で、たまにお互い仕事が早かったときには一緒に夕食を食べる。
二人、もしくは隆之と三人で飲みにいくこともある。
メールはたいてい1日1回、きょうのできごとのメールが送られてくる。
僕も同じようにメールを返信するが、あまり電話はしない。
お互い電話には出られないことが多いから。
ぼんやりと薔子のことを思っていると、急に不安になる。
なぜ、薔子のことを忘れると思うのだろう。
1週間会わなかったら、薔子は僕のことを忘れるのだろうか?
そもそも忘れるって、何なんだ?
考えてもわからないのが、薔子だとはいえ・・・。
ぼんやりしているとろくなことを考えない。
早く眠ってしまうに限る。
どうせ今日はメールは来ないんだから。
「よ。」
「久しぶりだな、元気だった?」
「元気だよ。海は?」
「うーん、まぁ、ぼちぼちだね。」
「薔子か、何があった?」
「・・・1週間会わなかったら薔子のこと忘れるかって、聞かれてさ」
「忘れるってどういう意味だ?」
「それがわかったら苦労しないと思わないか?」
「ああ、それを聞いても答えるようなやつじゃないか」
「ご名答」
「忘れる、なぁ・・・。記憶喪失にでもならない限り、あいつのことは忘れないだろう。」
「普通の回答はそれだよねぇ」
「そうだな。普通のは、な。でも、薔子だからな。」
「そうなんだよね、薔子だからね。」
「いい加減、疲れた、とかいうか?」
「・・・疲れた、とは言わないよ。ただ、薔子は僕のことを忘れるのかな?」
「何をバカなことを」
「忘れると思うから、僕と1週間会わないのかな、って。」
「・・・意外とろくなこと考えないやつだったよな、お前」
「それこそ今更でしょう?」
「まぁ、そうでした。そういうやつでした、海さんは。」
「あー、考えてると気が滅入る。飲むぞ、今日は。」
「はいはい、そうしよう。飲もうな。」
隆之はいつも、誰にでもやさしい。
皆は僕がやさしいと言うことが多いが、本当にやさしいのは隆之のほうだ。
「お前こそ、どうしたの、珍しいよな、事前に誘うなんて。」
「俺も人間ですから、へこむこともあるわけだ。」
「なんだ?うまくいってないの?」
「お前同様、だけど違う意味で障害が多いんでね、俺の恋は。」
「うーん、なるほどね。」
「とりあえず、何も愚痴る気はないんだけど、海に会いたくなったのさ」
「口説くなよ、心細いんだから優しくされてうっかりなびくと困るからな。」
「口説かねーよ。お前口説くくらいなら、もっと前に口説いてるよ。
俺は基本的に人のものは口説かないんだっつーの。」
「わかってるけどさ。」
「・・・なんだ、口説いて欲しいのか?」
「うーん、よく考えるとわからない姫の気持ちより、隆之のことのほうが
わかるかもしれないからなぁ。」
「うわ、なんだそりゃ。」
「まぁ、大丈夫だよ。俺もちょっとやさしくして欲しいだけだから。」
「結構参ってるなぁ・・・。大丈夫か?」
「あんまりやさしくしないでっ。やさしくされると泣いちゃうわっ」
「その百年の恋も冷めるような言葉遣い、頼むからやめてくれたまえ」
「いいじゃん、たまには。可憐な言葉遣いも。」
「どこが可憐なのか、お願いだから教えてくれよ。」
バカな話は、バカさ加減が高いほど、気はまぎれる。
最高の相方を得て、その日はお互いかなりのハイテンションで、
すっかり飲みすぎてしまった。
金曜日、ようやくあと2日、というところまで漕ぎ着けた。
なんだって、こんな我慢をしなくちゃいけないのかわからくなっている。
普通に過ごしていればそんなに意識したこともない薔子のことだが、
どうも暇になると薔子のことを考えてしまう。
いつも無意識のうちに考えているのかもしれないが、
今は考えていると、でも会えないんだから、とストップがかかって気づく感じ。
回数はとても多く、仕事中でもプライベートでも、暇な時間は必ず。
どうかしているのかな、僕は。
忘れるどころか、かえって考えすぎだ。
薔子と付き合い始めてもうすぐ6年になる。
今でも時々不安になる。
僕の手の届かないところに帰ってしまわないか。
月の姫は月に帰ったほうが幸せなのだろうか。
そしてその月には、誰が住んでいるんだろうか。
土曜の夜、何故かロールキャベツが食べたくなった僕は、
一人しか食べる人間はいないというのになべ一杯のロールキャベツを作り始めた。
煮込む際に入れた白ワインを飲みながら、出来上がりを待っていると、
その日に限って白ワインがよく回り、ロールキャベツより先に
僕が出来上がってしまった。
しかたなく、ロールキャベツの火を止め、ベットに寝転んだ。
その日の夢は最悪だった・・・。
『私、月に帰らなくてはいけないみたい。』
『どうしてですか、姫。だって君は僕と一緒にいるって言ったじゃありませんか。』
『うん、いようと思っていたんだけど、いたいなと思っていたんだけど、
やっぱり月の人間は月に帰らないとダメだって、隆之が言うんだもの。』
『た、隆之?!』
『悪いな、海。俺も実は月の人間でな、薔子と一緒に月に帰って幸せに暮らすよ。
祝福してくれるだろう?』
『そんな・・・・・』
『じゃあ、海ちゃん元気でね。素敵なお嫁さん見つけて幸せに暮らしてね。
私たちも幸せに暮らすから。』
『姫~~~~~~~~~~~』
驚いて飛び起きるとまだ11時だった。
あまりにもベタな設定すぎて、ちょっと自分に嫌気がさす。
そう、僕が告白する前に、薔子は隆之に告白して振られている。
それからあの二人は、しっかり親友というスタンスを保って今日まで来た。
今でもたまに思うんだ。
僕が告白したのと同時に薔子も僕に告白してくれた。
何故僕でよかったんだろう。
それこそ、薔子はあの当時何人ものやつから告白されていた。
それをことごとく振りまくって、僕と隆之はそいつらの自棄酒に付き合わされたものだ。
でも少なくとも大学に入ってから薔子が告白したのは、僕の前には隆之ただ一人。
そして、それを知っているのは、当事者の二人と、僕だけだった。
日曜日の目覚めは最悪だ。
最悪な夢の後、さらに飲みなおしてベッドへ倒れこんだせいなので、
自業自得とはいえ頭ががんがんする。
無理やり昨日作ったロールキャベツとコーヒーをブランチにして、
僕はちょっと早いが、待ち合わせのカフェに向かった。
「いらっしゃいませ。海さん。」
カフェにはお客さんが二組。
マスターは先週僕らの座っていた席に、手書きの「予約」という札をおいてくれていた。
「すみませんね、しょぼい札で。普段予約なんて受けないもので。」
「ほんとうにご迷惑おかけしてすみません。」
「いいえ、お気遣いなく。ご注文はどうされますか?
薔子さんがいらしてからのほうがいいですか?」
「あ、いいえ、先に。コーヒーをください。」
「海さんがコーヒーって、珍しいですね。」
「ははは。ちょっと昨日中途半端に飲んだら二日酔いっぽくて頭痛いんですよ。」
「それはそれは。それもまた珍しい。」
「ほとんどならないんですけどね、二日酔い。」
「・・・、ほんとに連絡取らなかったんですか?薔子さんと。」
「はい・・・、なんかだんだんばかばかしいと思ったんですけどね。」
「・・・、海さんは優しいですねぇ。」
「優しいのとは違う気がします。単に僕は、」
ガラッ
そこまで言いかけたところで、カフェの引き戸が開いて、薔子が入ってきた。
1週間ぶりの薔子は、ちっとも変わらない。
変わらないのに、なんだか幻を見ているような気がした。
「こんにちは、マスター。あ、海ちゃん。」
にっこりと満面の笑みを浮かべると、僕の向かいの席に座る。
よく見ると、大きな紙袋をぶら下げている。
「いらっしゃい、薔子さん。ご注文は?」
「あ、ミルクティください。美味しい紅茶に飢えてるの~。」
「はい、了解しました。」
注文を終えると、にこにこと僕に笑いかける。
まるで一週間前のあの約束なんてなかったみたいに。
「海ちゃん、元気だった?」
「うん、薔子は?」
「うん、元気だよ~。ちょっと移動が多くてつらかったけど。
はい、おみやげ。」
「・・・・・は?」
「あれ?だから、おみやげ、ニューヨークの。」
「・・・・・薔子、ニューヨークに行ってたの?」
「うん、そう。え?なんで知らないの?忘れちゃったの?」
「え?聞いてないよ、全然。」
「あれ?月曜から学会でね、昨日戻ってきたの。
だからちょうど1週間会えないから、来週ここで会おうって言ってたじゃない?」
「い、いや、そうは言わなかったんだけど。」
あれ、おかしいなぁ、とつぶやきながら首を傾げる薔子を見ながら、
僕はそっとため息をつく。
薔子との付き合いも6年目だ、なんとなく飲み込めてきた。
マスターが飲み物を運びがてら、
「薔子さん、先週は海さんに、1週間会わないように試してみよう、って言ってましたよ。」
「あれ?」
だんだんわかってきた僕は、なんだかどっと疲れてきた。
「薔子さ、真理さんと出張中のことなんか話した?」
「うん、そうなの、聞いてよ。真理ちゃんも一緒だったの、学会。
そしたら真理ちゃんが『1週間もニューヨークなんて、
遠藤君、私のこと忘れないかしら』って。
相変わらずモテモテらしいわね、遠藤君。
真理ちゃんにベタぼれなの知ってるくせに心配してるから、
『そんなことあるわけないでしょ、1週間くらいで忘れたりしないわよ』って話した。」
「そう、それで、先週僕と話しているとき、僕も1週間会わないと
薔子のこと忘れるかなって、思った?」
「うん。」
・・・多分薔子はあの時、ほんとうは「1週間あえないし、電話も難しい」
と言いたかったのだ。
「薔子はさ、先週『会わない、会いそうなところにもいないし電話もしない。
それでも忘れないか試してみよう。』って言ったんだよ。」
「え?私そんなこと言ったの?」
「うん、言ったんだよ。」
「し、信じられない・・・。そんなに考え込んでたつもりなかったのに、私。」
「かなりすごい変換されてるだろう?」
「うん・・・。」
わかってみればなんてことないのだ。
薔子は昔から、何かを考えすぎて、考え事をしながら話すから、
異常に中途半端な変換がかかることがある。
「海ちゃん、怒ってる?」
「いや、怒ってはいないけどね、ちょっと疲れてる。」
「ご、ごめんなさい・・・」
消え入るように謝りながら、ぱっと席を立つと、マスターへ持参したお土産を
渡しに行く。
まったく、この人は・・・。
「ねぇ、海ちゃん、本当に怒ってない?」
「こんなことで怒っていたら、僕は心臓がいくつあっても足りない。」
カフェを出て、ゆっくり僕の家へ向かいながら、薔子が聞く。
「ほんとにごめんね、海ちゃん。」
「ねぇ、薔子。薔子は1週間僕と会えなくて、僕のこと忘れてた?」
「ううん、逆かな。いっぱい海ちゃんに話したいことがあるのに、
ちっとも話せなくて、いつも海ちゃんのこと考えてた。」
「・・・そう。」
「海ちゃんは?」
「僕は、かぐや姫が月に帰る夢まで見てしまった。」
「?それは私のことなの?」
「そう。しかも月の住人は隆之で、二人で幸せになるって。」
突然道にしゃがみこむので、どうしたのかと見ると、薔子はひたすら笑っている。
「お・・・おかしい・・・。くっ・・・あはははははっ・・・なんでっ・・・」
「笑い事じゃないんだけどな・・・」
「だって、なんで隆之と月に行かないといけない・・・あははははっ」
「ほんとに笑い事じゃないんだってば」
しゃがみこむ薔子を抱き抱えると、笑いながら僕に抱きついてくる。
「おかしいよ、海ちゃん。おかしい。」
「僕は不安だったよ。薔子が僕のこと忘れるんじゃないかって。」
「そんなことあるわけないでしょう?」
暖かいやわらかい両手が、僕の頬をはさむように触れる。
「海ちゃんのこと、大好きだよ。」
そっと触れる唇は、もっと柔らかく、腕の中に薔子を抱きしめて、
僕はようやくほっとする。
・・・できるだけ長く、地上にいてくれ、僕の月の姫君。