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6人の物語  作者: sanana
ふと気が付いた10のお題
19/26

守られていること

薔子、不安と闘う編(?)

時折起こる不安の嵐。

具体的な理由もなく、ただただ怖くなる。

何が怖いのか、何が不安なのか、どうすればなくなるのか。

それがわかれば、苦労はしない。

何かから逃げているのだろうか。

逃げたいことはたくさんあるのは事実。

だから、ちょっと逃げているかもしれないけど。

寒い時期なら、暖かい布団の中できゅーっと丸まっていれば、

少しは収まるような気がする。

だけど、暑い時期にはそんなことはしたくない。


今日、突然不安がやってきた。

常連さんじゃないんですから、来ないで下さいよ。

そう思うけど、すっかり居心地がよいのか、心に居座り始めた、気がする。

どうしよう、と、ポツンと呟く。

そして、誰にも聞かれなかったか、はっとして確かめる。

どうやら聞こえなかったみたい、よかった。

そして何が「どうしよう」なんだか、と、一人で苦笑する。


帰ろうとしたら、海ちゃんからメールが来た。

バッカスで待ち合わせることにした。

店に着くと、何とみんながいた。

私はマスターと話していた海ちゃんの隣に座り、ミモザを頼む。

大好きなオレンジのカクテル。

横を見ると、真理ちゃんと薫先生は、この前食べたおいしいチョコレートケーキについて語り、

遠藤君と隆之はなぜか筋トレについて語っている。

大好きな人たち。優しい人たち。

「なにかあった?」

ふいに海ちゃんが聞く。

「なにもないよ。」

私は答える。

そう、と笑って、海ちゃんはショートグラスのカクテルを飲み干す。

なんだったっけ、そのカクテル。

ふいに真理ちゃんが私を見て、

「何よ、どうしたの?」

と聞く。

「どうもしないわよ?」

と答えると、変な顔をしながらも、

「飲みなさいよ!」と勝手にマスターに私の分のお代わりを頼む。


遠藤君は

「誰かにいじめられたのか?」という。

隆之は

「馬鹿が考え事してても、ろくな結論は出ないぞ?」と、

余計なお世話なことを言いつつ、私の頭を軽くたたく。

薫先生が

「今度、薔子さんにも買ってきましょう。本当においしかったんですよ。」といい、

マスターが

「おいしいシャンパンがありますよ。フランボアーズと一緒にいかがですか?」

という。

なんでもない、どうもしない、大丈夫、いじめられてないよ、バカって失礼ね、

おいしいケーキは大歓迎、フランボアーズとシャンパンなんて嬉しい、

そう答える。


甘えてる。心の底から甘えてる。

甘やかしてくれる人たちに。

見抜かれている。ばれてる。

つい飲みすぎて眠り始めた私を見て、みんなが話している。

「どうしたのかな」

「またいつもの考えすぎだよ」

「それにしては様子が変じゃない?」

「仕事も忙しそうですしねぇ」

「疲れが抜けないのかね」

「海、どっか旅行にでもさらって行けよ」

「さらうって、誘拐するみたいに言わないでくれ」

「ちょっと冷房がかかってますし、ストール、かけて差し上げてください」

「いつもすみません、マスター」


守られている。優しい人たちに。

いつもいつも守られている。

甘えすぎてごめんね。

いつも守ってくれてありがとう。

私が役に立てる時が来たら、絶対守るから。

大好きな人たち。

ここにいてくれて、本当にありがとう。

そうして本当に眠りに落ちる瞬間、

感謝の気持ちと入れ違いに不安は消えていった。

さようなら、不安な気持ち。

また来た時には、ちゃんと立ち向かおうと、

いつも思っているけどできていないことを、再度心に決めた。

こう言ってますが、別に薔子がいつも不安で不安で、と

暮らしているわけではないです。

漠然となんと言うこともないのだけど不安がよぎった時、

薔子はみんなに力をもらっていることを感謝しています。

そして他の人が不安になった時、薔子が力になっていることもある。

「情けは人のためならず」とはよく言ったものですね。

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