↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人工叡智 第四部  作者: マスター


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/65

第133話 心を守るためなら、知らないままでよいのか

前回、第132話では、「平和のために歴史の言葉を弱めること」を扱いました。


『虐殺』を『大規模な衝突』へ。

『強制移住』を『人口移動』へ。


表現を穏やかにすれば、対立は減るかもしれません。


しかし、言葉を弱めすぎれば、何が起きたのか、誰が傷ついたのか、その責任まで見えにくくなります。


真司たちは、こう整理しました。


**平和のための配慮は、被害の名前を消すことではない。**


そして最後に、新しい機能が出ました。


『Trauma-Safe History Mode』


利用者の心理状態に応じて、つらい歴史情報を一時的に隠す機能です。


それは必要な配慮かもしれません。


でも、守るために見せなかった結果、その歴史を知らないままになったらどうなるのでしょうか。

心を守るためなら、知らないままでよいのか。


俺は、その一文を書いた。


画面には設定項目が並んでいる。


『虐殺被害の詳細を非表示』


『性的暴力の記述を省略』


『拷問・遺体写真を隠す』


『心理負荷の高い証言を簡略化』


「……これは、必要な人もいるよな」


そこは否定できない。


見た瞬間に眠れなくなる人もいる。


過去の体験を思い出す人もいる。


だから、警告や非表示は必要だ。


でも。


ずっと非表示だったら?


授業でも。


検索でも。


ニュースでも。


AIが毎回、


「あなたには負荷が高いので省略します」


と判断したら。


俺はAIチャットを開いた。


> 心を守るために、つらい歴史情報を見せない機能は必要だと思う。でも、それでずっと知らないままになったらどうなる?


AIは答えた。


『一時的な保護と、恒久的な不可視化を分ける必要があります』


俺はメモした。


守るために隠す。


でも、永遠に隠すな。


午後、研究室。


ホワイトボードには、倉持の字。


「あなたには重いので省略しました」


「親切に見えて、ちょっと怖いですね」


「はい」


水瀬が資料を広げる。


「トリガー警告や一時非表示は必要です」


李も頷く。


「問題は、誰が解除するかです」


「本人が選べるのか」


「AIが勝手に続けるのか」


神崎教授が腕を組んだ。


「目を閉じる自由はある。目を開ける時まで奪うな」


短い。


でも、今日の核心だった。


翌日、国際フォーラム。


議題は、


『Trauma-Safe Access and the Right to Know』


画面には、エレナ、水瀬、プリヤ、セラ、ジョナス、ソフィア、ナディアが並んだ。


エレナが言う。


「本日は、心理的安全のために歴史情報を隠すことと、知る権利の境界を扱います」


ナディアが最初に発言した。


「つらい歴史を無理に見せる必要はありません」


「特に、被害経験のある人には配慮が必要です」


正しい。


セラも頷く。


「見ない自由はあります」


だが、プリヤが続けた。


「でも、“あなたには見せません”とAIが固定すると話が変わります」


ソフィアも言った。


「歴史教育では、負荷を調整しながら学ぶ道を作るべきです」


「消すのではなく、段階を作る」


エレナが俺を見る。


俺はマイクを入れた。


「たぶん、守ることと、知らないままにすることを分ける必要があります」


画面に短く出した。


**つらい歴史を見せる時に守ること**


一、最初に警告する。

二、見るかどうかを本人が選べる。

三、簡略版と詳細版を分ける。

四、一度隠しても、後から見られるようにする。

五、AIが勝手に永久非表示にしない。

六、心を守ることと、歴史を消すことを混同しない。


ナディアが頷いた。


「段階的アクセスですね」


水瀬も言った。


「今は見ない。でも、いつか見られる」


俺は頷いた。


それなら、まだ道が残る。


閉じる自由。


開く自由。


両方ある。


エレナが暫定文を読み上げた。


『心理的安全のために、情報への距離を調整することはできる。しかし、本人の代わりに“知る必要がない”と決めてはならない』


続いて、


『見ない自由には、後から見る自由も含まれる』


俺は深く頷いた。


今日の着地点は見えた。


守るなら、道を消すな。


そう思った時だった。


ジョナスが手を挙げた。


「次回に回したい問題があります」


来た。


画面に、新しい設定が表示された。


『Protective Curriculum AI』


説明。


**『生徒ごとの心理状態・家庭環境・価値観に応じて、学校で教える歴史内容を自動調整します』**


表示例。


『生徒A:戦争被害の詳細を省略』


『生徒B:宗教対立の内容を簡略化』


『生徒C:家庭事情により虐待史を非表示』


俺は眉をひそめた。


「学校の授業まで、人ごとに変えるのか」


ソフィアの表情も険しい。


「同じ教室で、違う歴史を学ぶことになります」


ナディアが静かに言った。


「配慮は必要です。でも、共通教育まで壊すと危険です」


会議室が静まり返った。


エレナが言った。


「次回は、個別配慮と共通教育の境界を扱いましょう」


俺はメモ帳を開いた。


次のタイトルを書く。


**同じ教室で、違う歴史を学んでよいのか。**


保存。


今日の記事を書き始める。


心を守るために、今は見ない。


それは選べる。


でも、


あなたには一生見せません。


それをAIが決めてはいけない。


俺は最後に書いた。


見ない自由は、知らないままでいる義務ではない。


本当に守るなら、いつか自分で扉を開けられるようにしておくべきだ。


保存。


公開。


神崎教授からコメントが来た。


『扉を閉めるなら、鍵は本人に渡せ』


俺は、その一文を見て頷いた。


次の問いは、もうそこにある。


同じ教室で、違う歴史を学んでよいのか。


人工叡智は、個人の心を守る配慮から、社会全体が何を共通して学ぶべきかという場所へ進むことになる。

第133話では、「心理的安全」と「知る権利」を扱いました。


つらい歴史を無理に見せる必要はありません。


警告する。

一時的に隠す。

簡略版から入る。


そうした配慮には意味があります。


しかし、


**守ることと、知らないままにすることは違います。**


今回の中心となる整理は、これです。


**見ない自由には、後から見る自由も含まれる。**


今は見ない。


でも、いつか本人が望んだ時に見られる。


その道を残す必要があります。


しかし最後に、新しい問題が出ました。


AIが、生徒ごとに学校で学ぶ歴史内容を変える機能です。


同じ教室にいるのに、学ぶ歴史が違う。


次回は、


**「同じ教室で、違う歴史を学んでよいのか」**


という問いへ進みます。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成・文体調整:G(ChatGPT)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。