表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蘇生人   作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/5

第5話 シャッターの向こう側

昼下がりの商店街は、静かすぎた。

半分以上の店がシャッターを下ろし、風だけが通り抜けている。


今川昇太はキャリーバッグを引きながら、アーケードを歩いた。

看板は古いが、手入れはされている。

——終わってはいない。



今回の依頼主は、商店街振興組合。

名ばかりの会長が、申し訳なさそうに頭を下げた。


「イベントも、補助金も、全部やりました」


「それで、続かなかった」


昇太はうなずく。


「“やる理由”がなかったんですね」



昇太は三日間、商店街に通った。

何も提案せず、ただ歩く。


惣菜屋の婆さんは、昼になると弁当を三つだけ作る。

靴屋の親父は、毎朝シャッターを拭く。

誰も見ていなくても。


「なぜ、続けてるんですか」


昇太が聞くと、二人とも同じ答えをした。


「ここしか、知らないから」



最終日。

昇太は組合員を集め、たった一つだけ言った。


「商店街を、立て直す必要はありません」


ざわめき。


「一軒だけ、残しましょう」


「毎日、必ず開く店を」



それは、惣菜屋だった。

毎日三つの弁当を作る店。


「売れなくても、開ける」


「それが、街の呼吸になります」



一週間後。

誰かが、その弁当を買った。

さらに次の日、別の店がシャッターを上げた。


数字にはならない変化。

だが、確実な変化。



駅へ向かう道。

昇太は振り返らずに言った。


「続ける理由が、先にあれば」


「人は、あとから戻ってきます」


夕暮れのアーケードに、

小さな灯りが一つ、残っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ