愛だろ
蒼太と星流と黄色い鳥は、お城の中へ入ってずーと奥へ進み大広間のドアを開けた。大広間には、何とも言えない甘い音楽が流れていた。
星流が、ブレザー脱ぎだした。つづいて、ズボンも脱ぎだした。しかも顔がとろんとしている。
「どうしたの星流?」
「あれ、私どうしたんだろう。なんだか頭の中が真っ白で心地よくて……」
星流は、蒼太を後ろからハグし始めた。
「やあ、俺の城へようこそ。この部屋の音楽は、女性を奈落のそこまで幸せな気持ちになるのを増強する効果があってね。彼女には、折角だから心地よく戦闘不能になって貰ったのさ。本来彼女は、よほど君のことが好きらしい」
マゾゴッドは、襟足が長めの茶髪の髪型をしており、破魔矢を持っていた。そして、二人をバカにするように言ったのだった。
「こんな、べたべたしてくる星流なんて間違ってる。星流、目を覚ませよ」
蒼太は、星流の両腕をつかみ説得したが、星流は蒼太から離れない。
「無駄だ、いいじゃないかそううやっていちゃいちゃしてれば」
マゾゴッドは、王座で足を組みながら偉そうだ。
「ふざけんな、本来、恋は愛だろ」
蒼太の戦闘スイッチが点火した。
「はははっ体ではなく、愛だとお前は言うのかおもしろいな。じゃあ、その愛で全部救ってみろ」
「彼女も、彼女の制服も、異世界への帰り方も。俺を倒せば、見えてくるだろ。さあ、始めようじゃないか」
マゾゴッドは、立ち上がり腕に持った破魔矢を振り上げると容赦なく神の力で、二人にもの凄い光の矢が沢山飛んで来た。蒼太は、星流をかばって矢を全て体で受け止めるしか無かった。体中に傷ができる。
その傷だらけの様子を見て、星流の顔から涙がでる。そして、星流が正気に戻るのだった。
「大丈夫?蒼太」
「私が戦うわ。まず、自分の回復に時間を使って」
「いや、これくらいすぐ回復できるよ。一緒に戦おう」
「そうね」
星流は、腕を振り上げ手からもの凄い量とスピードの水をマゾゴッドに向けて出し続けた。マゾゴッドは、両腕を盾にしてなんとか耐えていた。
蒼太は、それを避けるルートで回り込んで、マゾゴッドに拳を振り上げた。