ナマケドラゴン
「まあまあ、あなた達喧嘩?喧嘩している場合じゃないと思うわよ」
小さくて喋る黄色い鳥が蒼太と星流の周りを飛び回った。
ガオー ガオー
「ほら、ナマケドラゴンがやってくるわ」
何やら野良犬みたいなやつらが二匹、二人の前に現れた。胴体は、ナマケモノみたいで、顔はドラゴンであり、火を吹いている。
「星流、下がってここは僕が何とかするよ」
蒼太は、ラノベ好きであった。とくに、破廉恥なシーンと女の子を主人公が守るシーンは、大好きだった。だから、さっきのような台詞も自然とでてきていた。だから、自分の実力なんて顧みてなどいない。
そして、ナマケドラゴンにむかって拳を振り上げた。
キャン
とナマケドラゴンが怯んだのも束の間、すぐに蒼太は、ガブリと腕を噛まれやけどと血がでていた。
「何無理してんのよ。しょうがないんだから、私はできるって立ち向かうしかないじゃない」
情けない蒼太を前に立ち向かおうと星流が立ち上がった。
「二人ともこの水をお飲みなさい」
さっきの黄色い鳥がペットボトルを二つ二人に向かって投げてきた。
星流が水を飲むと体の周りに水の円が出来た。腕を一振りすると、水が手から出て、水圧で一気にナマケドラゴンを倒してしまった。蒼太は、星流が腕を一振りするたびにブレザーの合間から見えるブラジャーに包まれた胸の振動を見て途切れそうな意識を繋いでいた。
そのあと、星流の膝枕で蒼太もその水を飲んでみると、血が止まり体が回復するのだった。
「これは、『異能力の目覚め』という名前の、一人一つ能力を発現させる特別な水なの貴方たちは、水の能力と回復の能力がそれぞれ目覚めたみたいね」
黄色い鳥は、可愛くウインクした。
「あの山の上のお城が見えるでしょ。あそこに、貴女の制服を奪った変態ボスがいるわ。取返しに行きましょう」
こうして、星流の制服を取り戻すためのちょっとした冒険は始まった。