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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

俺を守りたい天使

作者: 未定

アルデラント(天使)×ライム(悪魔)

人間界の犯罪をなくす為働く天使と悪魔。いつも通り働いている所に現れた新入りのアルデラントは何処かで会ったような既視感があった。


※天使感も悪魔感もあまり無いです。虐待、誘拐などの表現があります苦手な方はお気をつけてください。

俺は死後人間界の悪を管理する悪魔となった

「2丁目、強盗、至急出動せよ」

「…んでこんなに忙しいんだアホ!!」


いつのまにか悪魔界の地面に倒れていたあの時から3年。

母が連れてきた男からの暴力に耐えいつも通り部屋の隅で小さくなっていたが打ちどころが悪く頭から血を流し、静かに亡くなってしまった。

あと半年で大学生になりこの家から離れられると思ったがそれも叶わず死後の世界に行くことになった。



「過労死する…」

7連勤?8連勤したあたりから何も覚えていない。悪魔になったら疲れ知らずで働けると思っていたが全然疲れる。

さっさと強盗の様子見に行こう。

「おい!!ここに金全部詰めろ!!!」

「ヒィッ!」

あちゃもう始まってる。とりあえず呪詛をかけ放置でいいだろう。念の為武器のナイフは蹴っておこう

「!?ナイフが!」

「おい!なにしてる!」

「しらねぇよ!いきなり飛んでって!」

見えないから不思議に思うだろうがここで時間を食うのは好都合かも。警察があと1分したら到着するだろうな。

「クソッもう行くぞ!」

「おーい!ライム〜!ライム〜!!!」

こんなにデカい声で呼ばれたら若干恥ずかしいな。援軍とはいえもう少しあるだろうこうなんというか…

「どんな状況?」

「今呪詛をかけた所、武器は撤去済み。人が少ない所に誘導したけど何かやりたいことある?」

「完璧だよ!これならすぐ捕まるだろうね!でもこの犯人店主を怖がらせたしすぐにバチが当たった方が良いんじゃない?」

「そんなこと言ってお前はそれが好きなだけだろ。俺もだが」

「よし!捕まる前にズタズタにしよう!!」

悪魔なんて犯罪を誘発させる存在だろと自分は思っていたが全然違うんだな。人間界の悪行も善行も全て人間が勝手にやってることで悪魔は悪い奴を苦しめる為に、天使は良い奴に幸福を届ける為に人間界に飛び回ってる。報酬は金。人間界の偉い奴がたんまりくれるらしいそんなん知らんかった。

「ライム!こいつ転ばせた!」

「ナイス!泥の中突っ込んどけ!」

「よっしゃあ!!」

これでバチが当たった、自業自得だと思われるだろうな

「……あの」

「うわぁあ!誰!」

「…天使です。最近配属されて。あのライムさんですよね?被害者は………」

「おおライムだ初めまして。店主はこっち、たっぷり幸運にしてやってくれ」

静かな天使だな。前髪が長くて目が見えなかったがすぐに店主のところへ向かったから前は見えてるようで安心。

「リク?終わったか?」

「終わった!悪臭まみれにしといたわ!帰ろ!」


悪魔達の住んでいる所は人間界と変わらず通貨は同じ、建物はちょっと豪華で服装は厨二病感ある黒ばっか、このファンタジーの雰囲気は気に入っている。仕事が終わったら報告、レポート提出し退勤。流石に疲れたから早く帰りたい

「おお!お疲れ様だなライムくん!どうだこれからご飯でも!奢るぞ!」

「…天使サマは元気そうですね?あいにく疲れたので隊長さんの誘いには乗りませんよ」

「ハハハッ!!そうか!休むのも大事だ!てっきりアルデラントと戻ると思ったがいつもの相方のリクと一緒だったからな!声かけてしまった!」

「…アルデラント?」

「同じ現場に居ただろう?新入りの天使だ!背が高くて金髪の」

「あいつアルデラントって言うのか…なんでそいつと帰ると?」

「………ん?」

「え?」

いつもうるさい隊長さんがこんなに静かになることあるのか。なんかまずいことでも言ったか俺

「…隊長」

「おぉ噂をすればアルデラント」

「俺は何も言ってないぞアルデラント!さっ仕事だ!隊長は忙しいからな!!」

…なんだあれあんな焦ってる姿初めて見た

「名前……」

「…?あぁ教えてくれたんだ、悪いな」

「…大丈夫です」

天使と悪魔は協力して任務を行うことがあるため部署が隣同士、メシ行くこともしばしば。隣にいても悪影響はないのでなにも考えず交流してるがこちとら呪詛を出す悪魔でも差別もなく実に優雅に過ごさせてもらってる。

「退勤ですか」

…目あってるんだろうか、10cmは身長差ありそうだが下からみても目が見えない鉄壁の前髪だな。かき分けてもいいだろうか

「前髪触ってもいいか?」

「えっ」

おっ良い顔してるんだなしかもこんな長かったら目や顔に当たって肌荒れやかゆみもあったはずだぞ。センターで分けてやろう…肌荒れ無いな…スベスベだずるいな頬も柔らかいなあれ目元にほくろが

「あの!」

「うお!すまん!つい」

初対面の天使の顔面を触り続ける悪魔という犯罪者が出来上がってしまった。他の悪魔から罰が来るかもしれんな

「っ…ライムさん帰るんですよね」  

そうだ帰らなきゃ明日は休日だ酒でも飲んで寝ようかと思ってたんだった

「ああさっさと帰って休みたいしな」

「良かったら一緒にご飯でもどうですか。料理作れます」



「うまーーー!!やば!!!」

前髪を分けたおかげでアルデラントがニコニコしながらこちらを見てフライパンを振ってるのが認識できたがそれより美味すぎる天才だ。酒飲みたいからツマミ多めにと言ったら目を輝かせながら大量の料理を作ってるようだ

「うまいぞ!アルデラントも食え!!!」

「ふふライムさんの為に作ってるので全部食べて良いんですよ」

「し、幸せだ!」

もう酔って自分が何言ってるか分からん。いつもより酒が進んで飲みすぎた…アルデラントもできた新入り…アルデラントって呼び難いなアルでいいか、いい加減1人で飲むのは飽きたしさっさと座らせて天使の話を聞きたい!

「アルぅ〜こっち!座って!」

「っ……酔ってますね…アルって呼んでくれるんですか?」  

「アル!おれはライでもラムでもイムでもいいぞ!それより天使の仕事の話!聞かせてくれ!」

「ライは天使のことが知りたいんですか?」

「?俺は悪魔だからなっ」

アルはそれから話をしてくれた。あの店主は運と縁に恵まれる祝福を授け店舗は早めに再開できるよう手を回したらしい。

「やっぱ天使ってすごいんらな〜おれにはできねえよ〜」

「悪魔にしかできないこともあるから…あぁお酒溢れてる…」

アル…なーんかどっかで見たことあるな。何処だっけなー新入りだから最近ここに来たんだろうし知らないはずなんだがうーむ

「どっかで会ったことあるか?俺たち」

お びっくりしてる反応的に会ったことあるのか。人間界に居た時の記憶は薄らしか無いし酔いも回って何も考えられないおまけに眠い

「思い出しましたか?」

「ごめん〜ちょっと眠い〜おやすみな」

「え!?もう寝てる!」



「思い出してないだろうな…これは…」

あぁ寝顔もかわいいなサラサラな黒髪も横長で綺麗な目も生きていた時のまま。

初めて見かけたのは母が雇った探偵から貰った写真を見た時。泣き叫ぶ母を落ち着かせながら見た写真には綺麗な女性とホテルに入る父の姿だった。2枚目の写真はアパートから窓越しに見える自分の父が黒髪の男の子を殴っている写真だった。ぐったりした姿からもう亡くなっているのではと思った程強烈な写真、急いでこの男の子を助けないといけないと立ち上がった時探偵に止められた。

「今一人で行くのは危険です。この男性はあなた達の家庭には良い顔を見せていたようですが、愛人を作り愛人の子には暴力を振るうような男です。この様子がバレた事を知れば何をするか分かりません。警察と打ち合わせをして助けましょう。もう呼んでいますのでお待ちください。」

母は泣き崩れているが犯罪行為があれば警察に報告して良いと事前に言っていたようでそんなことは無いと信じたかっただろうが自分の知らないところで怪しい部分があったのだろう。


それから父が愛人の家に行く日を狙い逮捕に踏み入ると聞き、心配だったがメッセージに「今日勉強を教えて欲しい」と残しあまり男の子に近づかせないよう動くことにした


写真を見た後母を落ち着かせる為飲み物を買いに行った帰り道、ふと横を見ると写真のアパートに似た所にいた。いつのまにか家への近道を通ってるらしく初めて通る道を進んでいたようだがふいに横から声をかけられ止まった

「あの落としましたよ」

そこには写真にいた黒髪の男の子がいた

「後ろにいたんだが小銭落としたから、はい、これ」

「あぁありがとうございます…」

落とした10円玉をわざわざ服で拭いて渡してくれる様子に驚いて声が小さくなってしまった。こんな良い子に父は暴力を。

「なんか悲しいん?落ち込んでる?」

「……いや大丈夫です拾っていただきありがとうございます」

「よくわからんがその制服、隣の高校だろ?ここはかなり遠いが道に迷ったのか?」

「…ちょっと迷ってしまって、でも道はわかるので」

早めにここから離れ父親を自宅に帰らせないとと思い案内を断ったがたまたま通り過ぎた同じ高校の友人が声をかけて来たので一旦落ち着く為にも少し話をすることにし、別れを告げた男の子はアパートに戻り閉めた音が聞こえた。

10秒もしないうちにアパートから罵声と何かが倒れるような大きな音がした



「……あれ迷子の人」

「分かりますか!?目閉じちゃだめだ、救急車呼んであるから!」

「………なんか力はいんない」

なんだこの状況。さっきの迷子の人がなぜか部屋にいて俺を助けようとしてるのか?その後ろでさっきまで殴っていた男が片頬をおさえながら「違うんだよ父さんはそんなことしてないお話ししよう」と焦ってるなんともおかしな光景だった

あまりにも騒がしいので迷子の人が「おいお前黙ってろよ!!全部分かってんだから静かにしてろ!!」と叫んでいたので少しボーッとしてたが若干目が覚めた気がした

「本当にごめんなさい、もっと早く助けたかった」

「……迷子の人は悪くない。それより君のお父さん?だよな。知りたくなかっただろこんなこと。ごめんな」

「謝らないで。……こんなことなら、あぁ、どうして…」

……この人泣いてる。目ってこんな綺麗な薄茶色あるんだなあ。あっほくろが目の近くに…あれなんか眠い?あれ?



「俺たち会ったことあるよな?」

「覚えてるんですか!?」

あのまま酔って寝て起きた時にはすっかり思い出していたんだなこれが。アルに酔っ払いの介抱までさせてしまった申し訳ない。

「知り合いなら声かけてくれればよかったのに。思い出せなかった俺も悪いが…」

「……認識されなくてもいいんです。ただあなたを守れれば、それだけです」 

「………それは自分の父親がやったことによる罪悪感でか?」

あんな父親もって可哀想だとおもうがアルにとっては良い父だったのかもしれないしな、だとしても罪悪感なんて無くていいし悪魔を守る天使なんて聞いたことないしなぁ

「……あなたと初めて会った時とても綺麗な人だと思いました。顔も内面も。落ち込んで見えた私を励まして、たった10円を追いかけて返してくれて。罪悪感も無いと言えば嘘になります、さっさと警察をつれて父を捕まえておけば良かったと後悔しました。ただあなたを守りたいという気持ちは純粋な……」

「純粋な?」

「愛です」

「愛?ってあの愛?」

「あなたが好きです」




あの後「いきなりでびっくりしましたよね。あまり気にしなくていいですよ。ただ守らせてください」なんて言われてしまったものだから思わず頷いてしまったがアルは俺の事が好………

「5丁目、詳細不明、出動せよ」

ん?詳細不明はめずらしいな、前にこの連絡が来たときは緊急性の高い大規模な誘拐だったが、とりあえず向かうしか無いな


「リク!」

「ライム!早く!子供が!」

着いた時にはこれから何が起こるかすぐにわかった。

男の手に縄やガムテープ、先回りして見た家には5人の子供達が震えて部屋の隅に固まっていた。リクが言うにはこの5人は男の近所の子供達で一昨日から姿が無いと警察に捜索願いが出ていたらしい。おそらく縄は頑丈なものに、ガムテープは強力なものに替えるためだろう。

どうやら先日から探していた天界の捜索隊が見つけ悪魔達にも連絡が来たようだ。

「とりあえず警察は今の距離からして4分はかかる。男の足止めをしよう」

リクは靴紐を解き持っている袋の穴を開け道も迷うよう呪詛をかけていたが男は早く家に行きたいのか早足になり急いでいるようだった

「ライム!何回も転ばせてもかせげないよ!どうしよう!」

「イライラして子供達に当たられても被害が大きくなる!他の方法で止めよう!」

「ライ。警察もうすぐで来るよ。」

いつのまにかアルが後ろに居たようで優しく笑いながら教えてくれたが警察車両の方を見ると進む信号が全て青に変わっていて車も少なくなっていた。天使の力凄い。

さらに子供達が体調不良をおこしていたため救急車が来るまで祝福をかけ辛くないようにしたらしい。

「アル!アル様!!」

「!?だれその男」

思わずアルに抱きついたらリクが焦っていたがアルは見たこともないぐらいニコニコしていた…褒めて欲しかったのかかわいいやつめ!



あのあと男と警察は鉢合わせいきなり現れた警察に逃げることもできず逮捕、部屋にいた子供達は救出され病院に向かって行った。

アルとリクと一緒に拠点に戻り「アルって誰!」と段々怒ってきたリクに説明する為3人で食事に行くことにした。

「とまあこんな感じで生きてた時の知り合いなんだな〜」

「…僕ライムにそんな過去があるなんて知らなかった。………でなんでそのアルデラントさんの膝に乗ってるのかなライム」

「え〜んふふだって俺のこと好きなんだろ〜俺もアルのことちょっと好きだから試しにお付き合いしてみるんだ〜あはは!」

「ライさん酔ってますがシラフの時にお付き合いする話をしたので自分は無罪ですよ」

「ちょっと好きって昨日今日で何があったんだよ!おい!酒溢してる!」 

「俺仕事出来るやつは大好きなんだ〜料理も上手だし!この目元のほくろもかわいいだろ〜!なんといっても俺のことがだ〜〜いすきな所!だろ!」

「ふふ、ええ大好きですよ。もう何処にも行かないでくださいね」





「おっリクじゃないか!!!」

「天使課の隊長じゃないですか今日もお元気そうですね」

あの地獄の飲み会後アルデラントとライムは一緒に暮らし仲良く退勤してるところをよく見る。まあ仕事ばっかで疲れてたライムを思い出すと素直に良かったと安心している。

相方として働いていたが2人で組むなら上に相談するとライムに聞いたら「俺の相棒はリクだけだ!」と怒っていたが高確率でアルデラントも来るので人手も多くて仕事はスムーズに終わるならいっかなどと軽い気持ちで過ごしている。考える時間が無駄だからな。

「どうだ!アルデラントとライムは!任務ちゃんとしてるか!」

「…任務は真面目にこなすから腹立ちます」

くそッ豪快に笑うなこのクソデカ隊長め

「……アルデラントはもともとここの部署ではなく捜索隊の特殊部隊に行く予定だったんだがどうしてもライムの近くが良いと聞かなくてな、上を黙らせるぐらいの成績を出し異動してきたんだ。それなのにくふふアイツ久しぶりにあったライムに緊張してまともに目も見れなかったらしいな!」

「隊長」

「あっアルデラント」

「………」


アルデラントは怒らせない方がいい。他の隊員にも教えておこう。

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