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質問の重さ

「紬ちゃん、答え聞かせてくれる?」


放課後私は、学校の校庭の裏に泉ちゃんに呼び出された。


「うん、私他に好きな人いるから、ごめん。」

私は頭を下げて彼女に謝った。


「やったー。ありがとう、これからよろしくね!」

はい? 話聞いてます? どう言うことやねん。


「いえ、他に好きな人いるんで。」


「うん? 他に好きな人いる? 誰? 男?」

彼女の喜んだ表情がすっーと、目がすわって見えた。


「えっ? 泉ちゃん怖いんだけど? なんで急にそんな顔するの?」


「だってぇ、紬ちゃんにOK貰えたと思ったら、勘違いで、ほんとは紬ちゃんに振られたんだもん。変わるよね? ね?」


そう言われると、見に覚えもあるにはあるけど。ってかOK貰えたと勘違いするのが、私には分からん。


「うん、変わるね。でもこれからも友達でいよう? 無理かな? 泉ちゃんの気持ちを大事にしたいから。」


「うん、友達でいて、そのうち恋人にしてくれるんだね。分かった!」

  

泉ちゃん…そんなこと一言も言っとらん。

どうしよ? ちょっと…いや…かなり怖いんだが。


「あのね、泉ちゃん。私他に好きな人がいるから、それは無理。第一泉ちゃん女の子じゃん。私は男子が好きなの。だからお付き合いは無理かな。ごめんね。」



「どうして? 女の子が女の子好きになったら駄目なの? 無理なのはなんで? それっていけない事なの?」

泉ちゃんの声が震えて聞こえる。


ひぇー、ちょっとしたホラーだよ。


「いやー、別に、無理って言ったのは、言い過ぎた。いや普通に好きな人が私男の子だからね。それだけ。」

どうだい? 私の大人な対応。はぁ〜疲れた。



「うん、分かった。やっぱり私が好きになった紬ちゃんだ。とっても素敵な返事で、ますます好きになっちゃった。」


泉ちゃんがハートマークの形を手で作って、微笑みを浮かべた。


「分かってくれたか。じゃあ。」

私は彼女に言って、踵を返した。


「待って、紬ちゃんもっとお話ししたい…あっ。」

泉ちゃんの声がして振り返ると、泉ちゃんが転けて来た。


いってぇー。全くドジ過ぎでしょこの子は。


「ごめんなさい。」

叱れた子供みたいに彼女が見えた。


「いいよ、私はちょっとトイレ行きたいからさ。」


「一緒に行く。」

はぁ〜。ついてこなくて良いとは言えない。

しゃなし。


「分かった、行くよ。」


「手…手繋いでもいい?」

気まずそうに泉ちゃんが言う。


「良いけど、めっちゃアプローチしてくんね?」


「優しいから、紬ちゃん。紬ちゃんだけ、優しくしてくれるの。親は冷たいし、私運動音痴だから、友達もみんな、足手纏いになる私を除け者にする。」


悲壮な表情で彼女は、身体を震わせて言う。

そんな事言うなんて、反則じゃん。ちょっと…胸にズキューンときたし。


かと言って泉ちゃん好きにならんけど。

一丁慰めてやるか。ここで突き放すのは、私には出来ない。


そんな冷たい事できん。


私は泉ちゃんの髪を撫でて、ヨシヨシしてあげた。


「紬ちゃん! もしかして、私に惚れた? 好きになった?」


「なっとらん。」


「そっか〜素で優しいんだ。この女たらしめ〜。」

泉ちゃんが、肘で小突いてきた。


「あの〜あたしゃ女だよ?」

ため息を吐いて私は呆れる様に言う。


「知ってる。紬ちゃんは、世界一の優しい男の子。」


「男だっうの。ちゃうわ、女だ。」

私は釣られて言い間違えた。


「はは、認めた〜。でも紬ちゃんが男の子だったら、私紬ちゃんに恋してたのかな?」

トイレの前で、彼女がマークを見つめて聞く。


「…深い質問だね。答えは沈黙だね。」


「ふふ、そう…だね。」


2人でトイレに入り、少し私は考えに耽った。

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