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第4話 復活ッ!魔王復活ッ!!

 夢を見た。


 炎身の炎に灼かれ、身を焦がしていくあの感覚・・・。



 それを再び、夢によって想起させられたのは力の反動と考えてもおかしくはない。


 その目覚めの悪さから、本能的に入眠を決め込んでいた。

 寝ていれば、起きた時の倦怠感を回避出来るからだ。


 それを我は知っていた。



「・・・さん・・・我久武留さん・・・」


 我を呼ぶ声が聞こえる。

 誰かが起こしに来たのか。


 ここで起きなければ騒ぎが大きくなるに違いない。


 爺に転生してしまったのは、もう百歩譲って仕方がない。

 この状況を認めざるを得ないのだ。

 どう抗っても成す術はない。


 こんなストーリーを考えついた作者を八つ裂きにし、我を早く逆転生させるよう改変したいのは山々だが力が完全に戻らない以上はやりようがない。



 く・・・、考えるのも面倒臭い・・・。


「朝ですよ〜、起きましょう〜」


 目を閉じたまま頷く。


 全身の倦怠感も恐らく昨日の魔贋の反動だろう。

 転生後の初日で、少しでも力を戻すことが出来たのは大きいのだが。

 この調子ならば依代が朽ちる前に完全復活を望めるはずだ。


「まだ体調、戻ってないようですねぇー。少しでもいいので食事食べられます?水分だけでも〜」


 車椅子に移乗をさせられた我の顔を丁寧に拭きながらそう話すこの娘は『ほり奈穂なほ』。

 人間の女性らしい体躯である。


 この施設は若い娘が多い。

 それが良いかどうかはわからないが。


 爺婆がそれを故意に望むはずもない。


 ・・・エロ爺がいたらどうかは知らぬが。




 食堂へ連れて行かれる我は、負の視線を感じてそちらに目を向けた。


「が・・・我久の爺さん・・・」


 楊木一等賞が表情を強張らせ、畏怖しているのが手に取るようにわかった。


 どうやら昨日のことは忘れていないようだ。



 すぐに周りのスタッフを集めてコソコソと話をしている。


 大方、夢で襲われた話をするのだろう。

 だが所詮は夢・・・。

 夢の仕返しとして、我を直接的にどうこうするというのは見当違いである。



 我は魔贋復活に伴って視力・聴力、肺活量などが増幅している。

 それによって彼奴らの会話など容易く盗み聞く事が出来る。



「・・・ホントなんだって!我久の爺さんが出てきて俺を殺すんだって!」


「なんだそりゃ。夢にも程があるな」


「お前はバレるようにやってるからダメなんだよ。それって結局は自責の念ってことだろ?心のどっかで良心があったってことさ。悪ぶってるけど実は良い子なんだろ?ヒトシよぉ・・・」


「ち、ちげーし!だけどあの爺さんはきっと夢魔むまだ・・・。刃物を何箇所も突き立てられて・・・、はっきりとは覚えてねーけど・・・、また夢に出るって言ってたんだ・・・」


「夢魔か・・・、そりゃヤベえな・・・俺も気をつけなきゃな・・・」



「えww・・・なにーそれー、シキの演技下手すぎーww」


「んだよバレたかw・・・しっかしウケる。クソジジイごときがなんもできねぇだろ!」


「ヒトシも結局ビビリだったんだな。笑える」


「っく・・・!」





 我が夢魔むま・・・。



 ククク・・・、アッハッハッハ!!


 意味が違うとは言え、まさか炎身と同じ通り名をつけられるとは・・・なんたる運命か。

 転生しても尚、我との繋がりが切れぬこの身・・・ククク・・・よほど惚れ込まれたものだ。


 よかろう。

 我もまたこの夢魔むまとして生きようではないか。

 そして逆転生後は我にしたように炎身を屠り弔ってくれよう。



「だらしねぇ。夢で叱られたから大人しくなるとか良い子ちゃん過ぎて笑える」


「俺らからしたら背伸びしてたとしか思えないっつーのwwwま、コレに懲りて大人しくすればいいんじゃん?」


「むしろー、向いてないってカンジ?福祉系行けば?・・・あ、今福祉系だったww天職じゃーん!おっつー!」



 楊木の取り巻きにこのような虚勢を張る集団がいたとは。

 小奴らの影響か・・・。


 まだまだ仕置は必要だ。

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