異世界転移
「行ってきまーす!」
ドアを開けると俺は眩い光に包まれた...
ガバッ「うわああああ」
俺が飛び起きると、辺りは一面の野原だった。
「ど、どこだよ、ここは...」
一抹の不安を抱えながらも
「とりあえず歩いて状況を把握しよう」
そして俺はゆっくり歩き出した
靴は履いておらず、歩くたびに草がちくちくと突き刺さる。
しばらく歩くと不思議な穴を見つけた。
「...ん...ぅう」
穴の中から女性の声が聞こえた。
俺はその声の主に語りかけてみようとして穴に近づく。
ズルッ...
「うわああああ」
ドサッ
気がつくと俺は声の主と思われる女性のうえに四つん這いになっていた。
は、はやく離れないと!
そのとき、女性は目を覚ました。
女性の顔が赤らんでいく...
「きゃあああああ」
俺の頬をビンタするかのように思えたその手はわずか数ミリというところで止まった。
「も、もしかしてシン?」
俺はその瞬間にその女性の正体に気づいた。
その女性は間違いなく幼なじみのセイラだった
「なんでセイラがここにいるんだ?」
「分からないよ、私の方が、聞きたいよ...」
セイラの表情が暗くなっていく。
話を聞くと、彼女もドアを開けたら光に包まれ、気づいたらこの穴の中にいたらしい。
「とりあえず、この穴から出ないか?」
そういった俺はセイラの手を取り、穴からでた。
「やっぱり、一面の野原だよなぁ」
建物の影も見当たらない
「どうしたものか」
先の見えない不安に俺は一人頭を抱える
すると後ろの草むらからガサ、ガサ、と音がした
「セイラ?なにしてるんだ?」
そう言いながら振り返った俺は思わず固まる
そこには、濁った緑色をした巨大なオークらしき化け物と、草むらにへたれこむ彼女の姿があった。
「な、なんだ、よ、この...化け物は..」
「た、たす、たすけ、、」
彼女が掠れた声で助けを求めるのも束の間、
グシャッ
赤く染まった肉と服が飛び散る。
「うあああぁあぁぁあ」
俺はどうしようもできずにただそこに立ち尽くしていた。
「も、もうだめ、だ、、」
恐怖のあまり俺は意識が遠のいていく。
こんな早く詰むなんて聞いてないぞ...
...
「ど、どうせ死ぬならや、やってんやんよぉぉ!」
「うあああああ」
俺は恐怖を振り切り化け物に突っ込んでいく。
しかし俺の勇気は無駄とでもいうかのように俺の腕は砕かれた。
「奇跡なんて、神なんて、ないのかよ...は、はは、」
もはや絞り出した勇気さえも砕かれた俺は、その場に
倒れ込んだ。
ズン...ズン...
化け物が近づいてくる
そのとき、俺の上すぐを轟音と共に龍の形をした水が通り過ぎる。
そして水は瞬く間に化け物の体を、喰い尽くした。
「、、なんだ、今の、りゅ...う」
ドサッ
俺の意識はそこで途絶えた...