兄弟
「隊長!またも10体敵が来ています!!」
私の部下が報告しに来た。
「ここは貴方達に任せる。殺されそうな仲間をさき助けて。私は10体地上に着くまでに倒してくる。」
「分かりました!!」
そして私は地上に着こうとしているAIの元へ急いで飛び、倒しに行く。ここは山しかない所。とれだけ暴れたって分からない。それは私達が全員死んでも気付かれないという事にもなる。どれだけ倒しても次々と出てくるから私にとっちゃ完璧にスタミナ戦だ。他の皆は一体相手に数十人で掛かるから言っちゃ悪いが力に全然なっていない。私の力と並ぶ者が入ればとても楽なのだが……まあそんな者はいないだろう。
そしてロボットの前に立つ。そして私は腰につけていた剣を抜き、ロボットも解析できないスピードでまとめて10体を空中で倒した。
「隊長。全ウェーブ終了したようです!」
空を飛んでいる私に無線で話しかけてきたようだ。どうやらこのロボットで今日は最後らしい。
「分かった。私は次出てこないか警戒してる。貴方達は一応山の下の村の安否確認をしてきて。死者が入れば直ぐに報告を」
「了解!」
そして10人もの部下が山へ降りていき安否確認をしに行った。私は近くにあったベンチに腰をかけ、考え始める。何故AIが出てきたのか。何を目的に来たのか。 それを調べる為の組織も作ってあるのに未だに全然見つからない。正直リスクはとてつもなく大きいが作戦はある。その作戦によって死者はとてつもなく増えていくだろう。世界中の電気を停電させる。これは病院も含まれる。そしたらやはり死者は出てくるのは当然だ。でもそれ以外の作戦や考えた事はやり尽くした。AIのロボットなんだから地球で作られてあるんだったらそれで一時期は作られないであろう。まあそのロボットが地球で作られていない可能性も十分にあるのだが……と考えていたら後ろから人が来て、私に話しかけてきた。
「何考えてるの?」
私はチームの隊長。敬語を使えと部下には上の者が言っているはずだ。だから上の物か……私は後ろを振り向きその人を見た。
「誰だ……」知らない奴だった。それは私と同じぐらいの身長(低い)で声も顔も少し似ていた女の子だった。
「今はそれを知る必要は無いよ?」
彼女はニコニコしながら私にそう言った。そしてまた話し始める。
「1つ言っておくね。貴方並の力はあるよ!だからここで戦う事にした!」
どう言う事だ。私並みの力があるから戦うって……理由になっているのか?私はこんな力があっても戦う気にはならない。まあ十人十色と言う言葉もあるものだから何も言えないが。そして私は冷静に問いかける
「何故……戦いたいんだ。私はこの力があっても戦いたくはない」
そして彼女は後ろを向きこう言う
「君がアイツらを倒してるの見てたら楽しそうだなって思ってさ!」
楽しそう……?私の復讐が……?
私はソイツの肩を引っ張り体を私の方に向け、大声で怒鳴った
「私の親を殺したのがアイツらだ!だからやり返しているんだ!それを楽しそうに見えるのか?!」
正直、目ん玉をくりだして洗ってやろうかと思ってしまった。
それぐらい私は腹が立った。そして彼女は真顔になり、私の手を退かし話し始めた。
「私も親を殺されたよ。そっから私もコイツらに復讐心を持った。そして今まで努力しようやく力を身につけたんだ。君ぐらいの力をね。私のお母さんの名前とお父さんの名前を言うね?『時雨響子』『時雨朔夜』そして私の名前は『時雨るみ』」
ビックリした。生きている中で1番にびっくりした。だって私の親の名前が出てきたからだ。そして私の名前にも『時雨』と言う名前があるからだ。私は動揺し、なんて言えばいいか分からなかった。ただひたすら過去の記憶を甦る。家族にこの彼女が居たかどうか。どこを探っても、どこを深く潜っても出てこない。分からない……分からない。 動揺している私に彼女は話しかけてきた。
「貴方の名前は『時雨黒葉』私の妹だったんだよ?」
私は必死に言い返した
「私に姉なんていない!ずっと一人っ子だ!」
怖かった。こんなに家族の事を知っているなんて……AIと戦う時よりも怖かった。そして彼女は私の頭に手をぽん と置き、話し始めた。
「私が5歳の時、貴方が産まれたんだ。黒葉の黒をつけたのが私ね?とても可愛くて家族といる時間が楽しかったんだ。でも急に現実が酷くなってきてね?私は誘拐されたんだ。不審者に。そして捜査が始まって、それでも見つからなくて死亡判定になったみたい。なんとかその不審者から逃れたんだけど、また変なところに捕まってね。その時から10年前まで捕まってた訳なの。そして私はそこを抜け出した。そして家に帰ったら誰もいなくてね。とりあえずテレビをつけたんだ。そしてテレビはほぼAIの事についでだったかな?そのニュースに死者の名前がずらァっと出てきて、それで親の名前があったの。私はすごく悲しかった。とても悲しかった。ので、コイツら潰すってなった訳。簡単に言えばだけど」
そんな事は一切知らない……話が頭に入ってこなかった。正直嘘だと思っている。
「嘘だと思うんだったら1枚だけなら家族写真があるよ」
それを見せてもらった。ちゃんと私のお母さんとお父さんだった。でも私は一切知らない……何かがすり抜けているのだろう……