宇宙人を食べました?
その翌日、私は小町さんのことを含め、ミディアルたちの件ついて、ユイナさんとマサミちゃんへ説明した。そのあとにアズネさんに連絡を入れた。
反応はそれぞれだったが、祠を狙う連中が減ることは、みんな喜んでいた。
それならとユイナさんから提案で、みんなで話し合った結果。私とマサミちゃんとユイナさんで再び、ミディアルたちの住む屋敷を訪問することになった。ロンも一緒に向かう。
その理由は、ミディアルたちから連絡を待つだけなく、こちらから積極的に行動して情報を手に入れて、祠を狙っている連中を特定しようとするものであった。
「悪人は悪人同士でつるんでいるかも知れない」とユイナさんが言う。
だから、何か先手を打てるならば、今の現状が変わるかも知れないからと、ユイナさんがみんなに自分の希望を伝えた。
*
――ミディアルたちの屋敷にある応接室にて。
「まずは始めにこちらをご覧下さい」
リディアルがそう言うと同時に、室内が暗くなり部屋一面にホログラムが表示される。
私は以前に、土の守護神様のところで同じようなものを見ていたから、驚きはしないが、マサミちゃんとユイナさんは最新技術を見せられて少し驚く。
ミディアルとリディアルも表情は変わらない。彼女たちとっては当たり前のことだろう。
リディアルから、これは目に見えているというよりは、脳が騙されて幻覚を見せられていると説明される。
「何の接触もなしに脳内ハッキングですか!」とマサミちゃんが抗議するが、「あら、他の星では普通ですよ。脳に影響は及ぼしません。こちらの星でも既に検査済みです」とミディアルに言われる。
ちなみに目の前のホログラムはロンにも見えている。
「では、簡単に銀河系と周辺銀河について説明します」と長々とリディアルが宇宙の配置を説明するが、――ほぼ全員が聞き流す。
(うん。こちらが行くことないもんね)
次に飛来して来ている宇宙人の画像を順に見せられた。
これらは私たちが今まで退治して来ているものに限定されている。
私が見たこともない宇宙人が、かなりいるが、そのほとんどは小町さんが屠ったやつらしい。
――みんなですごいよねと話す。ロンも驚いている。
ここで「これからは安易に殺さないで欲しい」とミディアルから頼まれた。
いや、こっちは悪くないよ。と全員で答える。
めちゃくちゃ討伐している張本人いや、犯人でなく当の本人はここにはいない。
来るわけがない。なんせ、こんなに殺しているんだから。
……小町さんがサムズアップしている姿が目に浮かぶ。
そのあと、私はミディアルから注意される。
それは以前に倒した宇宙人を食べているからだった。
「チハル。お、お前、食べるんか?」
「あら、チハルさんはそんな野蛮な人だったの?」
マサミちゃんとユイナさんから軽蔑される。
「だって、血も出なかったし、切ったら普通のお野菜と豆腐だったもん」
「ですから、そう考えちゃダメなんですよ」とリディアルからも言われる。
「それじゃ。チョコレートの宇宙人が来たら食べないんですか?」
と、開き直って私は二人に問う。
「……うぅ。ウチ、食べるかも」
「ふつう、私は食べませんけど」
マサミちゃんの大好物を引合いに出して仲間に迎え入れた。
だって、小町さんが倒した宇宙人の中かに、……どうみても、チョコレートで出来た熊だろうと思しき者がいたのを見つけているからだ。
「――ですから、お願いします。チハルさん、見つけても食べないでください」
「はい、分かりました。以後、気をつけます」
ここはかわゆく、(てへっ)としとけ。
「では、次ですが、これから飛来する宇宙人のうち、そちらにご迷惑を掛けそうな対象を紹介します」
目の前に表示された宇宙人の数に、私たちは驚く――ロンも驚いて立ち上がったが、……何も言わなかった。
マサミちゃんの表情が青くなった。
「な、なにこれ……」
ユイナさんが怒りを抑えながらミディアルに尋ねる。
「ミディアルさん。――どういう意味ですか? 私たちに説明して頂けないでしょうか?」
ふっと鼻で笑った表情を見せて、ミディアルは立ち上がり、宇宙人たちの映像の前で語り出す。
「――ですから、宇宙は広いのですわ。私たちが、今紹介した宇宙人だけでも1万種くらいはいますの。
但し、飛来するに当たって条約がありますから、これらがいっぺんに来ることはありません。
しかし、向こうにも一部、連携を図ろうとしているものがいます。それらを見つけ出して処罰するのが、私たちの役目でもあります」
(おや? 連携する連中がいることを聴けたよ)
ユイナさんが言ってた通りだったが、ミディアルが対処してくれるらしい。
それにしても、この数からして……かなり無理があるね。
私たちの住む星は、なんて儚いのだろう……一斉に侵略されると、数ピコ秒も立たずに、何もかも残らないではないかと畏怖する。
だからといって、この数をどうするかなんてキリが無いだけで、私は与えられた役目をコツコツとこなしていく。――守るとはそういうもんだろうと思う。
(……それにしても嫌なことを教えてくれるよ。まったくだ!)
アズネさんを連れてこなかったことが幸いだった。
彼女がこれを見たならば、絶望してしまうかも知れない。
ここにいる三人は覚悟が出来ているから、まだ持ち堪えている。
(やれやれ、初心者にはきつい情報だね)
これでもザコ職人を自負する私なら見た目で、ヘボそうな宇宙人が多いことに気づいている。なぜ、そんなに弱いのに祠を狙うのかが不明だ。
でも、中には見た目がガチでやばそうなヤツもいる。だから、相手の実力も分からないから怖くもない。
「私たちは井の中の蛙ってことね」
状況を飲み込めたユイナさんが呟く。
「マサミちゃん。大丈夫?」と私は心配する。
「うん。大丈夫、いっぺんに来へんのやろ。チハル」
マサミちゃんも理解してくれたようだ。
これが小町さんが求めていた情報だったが、私たちが先に見せてもらい驚いている。彼女がこの数の宇宙人が祠を狙っていると知れば、次にどうしたのだろうと考えてみるが、思い当たる答えを見つけることは出来なかった。
この宇宙人たちが全部来なくなり、それから宇宙怪獣が出現するかどうかを見極めたいと言っていたが、果たして出来るのであろうか。
それにミディアルの監視から抜けて、こちらに来たものは従来通り対処する必要があるし、結局のところ、今までとそんなに変わったことはない。
まずは、つるんでいる悪しき連中を先に見つけることが優先だ。
ある程度の目星はミディアルたちも気づいているはず。
だから、今回このような情報を教えてくれたわけだし、守護神様も、この日が来ることを知っていたのだろう。
そう考えがまとまると自然に落ち着いた。ただひたすらに頑張って行けばよいだけだ。ここで紹介された宇宙人は、ミディアルたちが発見次第に対応するらしい。
「では、リディアルさんにお聞きします」と私は手を上げて尋ねた。
「はい、なんでしょう? チハルさん」
「彼らは、どのようにして、この星にやってきますか? ――それにどこに着陸して、出没するのか分かりません。――直接、近所に現れることはありますか?」
「いえ、それはありません。こちらの星の人たちに見つかるような行為をすれば、条約により即処罰されます」
(……それはそうなんだね。だから見つからないのか)
これは先日、小町さんのところでハイエルちゃんから聴いた話である。
「でも、あの鹿の人は、自由に、この星に突如飛来すると、ある方から聴きました」
ここは素っ気なく訊いてみた。
気まずそうに咳払いするリディアル。
「それについても……対策は進んでおります。違法な侵入については、罰則が強化されることが決まる予定です」
なぜ、やつらだけが許されているのか分からない。
もしや、そもそもが全てが自由に飛来してきていて、ミディアルたちが努力しているかも知れない。
これ以上は追及せず、別の方法で確認して行こう。
「ところで、リディアルさん。私たちのところに現れる宇宙人の目的は知っていますか?」
「はい、それはそちらが保有する未知のアイテムを狙っての行動かと推測します」
リディアルがそう答える。
やはり、小町さんが言っていた通りかも知れないと私はマサミちゃんとユイナさんの表情を確認する。二人も頷いた。
そこでミディアルの方から「ここまでにしましょう」と呼び掛けられ、今回の話を終えることにした。
今日は色々と知り過ぎて、いっぱいいっぱいだった。
なんせ、祠を狙う宇宙人が1万種も、いるんだからね。
読んで頂いきありがとうございます。




