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ちびっ子襲来

 ――初秋に入り何気ないある日のこと。


 我が家に誰かが訪ねて来た。玄関ドアのチャイムが鳴る。

「ピンポーン! ピンポーン!」と立て続けに2回。


 二階の部屋では「ぶぎゃ」と目覚めて「おっと、いけねぇ……」慌てて、よだれを拭き取る。

 本を読んでいたはずの私は、いつの間にか寝てしまっていた。

 窓の下にいるロンもスヤスヤと寝ている。


 今日は休日。パパとママは買い物にお出かけ、お兄ちゃんは遊びに行って、私は留守番しているというよりは、ただ家にいるだけ。


 午前中のうちにランニングと特訓などは終わらせて、昼ご飯を食べたあと、時間があったので季節柄、お兄ちゃんから借りた本を読み始めたばかりだったが、(ぽっかぽっか)の陽気に負けて寝てしまった。


 目覚めた理由を思い出す……とりあえずは部屋を出て「はぁぁ~いぃ~」と気持ち大きく返事してから階段を降りて玄関のドアを開けた。


 そこには私より幼い可愛い金髪、銀色に近い綺麗な金髪の女の子がひとり立っていた。


「はぁ~い! 宇宙人ちゃんです!」


「…………」数秒固まることしばし。

 ここはこうだろう「うちは間に合っています」とドアを閉める。


「ダン! ダン! ダン! ダン! 開けてくだちゃい。チハルちゃん! 開けてぇ~」


「なぜ、私の名前を知っている? はて、そういえば……」


 どことなく似ている人物を思い出そうとして、そう、あの髪色と整いすぎた美形の幼子。紅茶を飲みながら「ホホホホホホホホホホホホ――」と笑う姉妹たちを思い浮かべた。そんな笑い方はミディアルだけ。


「お姉さまが、ここを訪ねるようにと教えてもらったのですぅ~」


 ほら、やっぱり。……まずは確認。


 迂闊(うかつに)に個人名を出すと危ないからとパパから聞いた謎の訪問販売対策を思い出す。法律が変わって最近来ないんだけどね。


 今はインターネットの時代だから、ランサム仕掛けらえて……もにょもにょとパパのテロ認定ネタまで、しっかりと思い出した。


「はい、そのお姉さまとやらは、どちらのお姉さまですか?」


「はい、わたしの姉は、双子のミディアル様とリディアル様です」

 うん。ついに来たのか。あなたたちが求める友好関係先はここではないのだが。


「ミディアルたちの妹さんでしょうか?」

「はい、そうです。チハルちゃん」


 仕方なくドアを開けてあげる。少し涙目になりながら両手を腰にあて名乗った。

「ありがとう。私、ハイエルと言います。よろしくね!」


 軽く飛び跳ねて玄関に入る。

 なぜか、「ピシッ」と両手を挙げて着地のポーズを決めていた。


 その仕草をやめて、もぞもぞとしだし、こちらをじっと眺める。

 私が、……なに!? と聞きたい表情を見せた途端「はい、まずは喉がカラカラなので粗茶を要求します」「はいぃ?」二人の間に僅かな沈黙……。


 仕方なく一応はお客様として迎え入れる。

「では、中にどうぞ! ハイエルちゃん」


 そこにロンの声が聴こえた。

『チハルちん。誰が来たのじゃ?』

『うん、ミディアルたちの妹らしき子がひとり訪ねて来たよ』と念話する。

『そうなのじゃな』

『そうだけど、なにか問題でもある?』

『……居間に通すのじゃな』

『そうするね。部屋まで入れると面倒なんでしょ』

『うむ。その通りじゃ。では、任せたのじゃ』


 そう言ってロンは念話を閉じた。

 私は宇宙人のお世話係なのかと心の中で叫びたい。


「ふぅう~、ではこちらへ」

 右手を差し出して彼女を我が家の居間へと案内して「こちらのソファーへどうぞ」と座らせた。


 ハイエルちゃんは珍しいものを見るかのように部屋中をきょろきょろする。

「ほぉ~。ふぅ~ん。これが平民の暮らしなのねぇ~」


 いつから私はあなたの星の住人になったんだと苦笑いする。

 もしかして、お嬢様なのかな? と思い首を傾けて私は台所へと移動した。


 とりあえず、お子ちゃま向けにオレンジジュースと、おかきを少々、茶菓子として彼女の前に出してみる。


 なにも言わずにコップを両手で抱えて(クピクピ)とオレンジジュースを飲み終える姿を見た。


 よっぽど喉が渇いていたらしい……宇宙人もオレンジジュース飲むんだね。

 しかし、おかきは食べない。


「チハルちゃん。お話を聞いてください」


 私も対面の位置に座布団を敷いて座る。

「はい、なんでしょう? ハイエルちゃん」


「私、お姉さまから聞きました。温泉ってなんですか?」

「温泉って、温泉? あの温泉ですか?」

「はい、温泉です」


「それは……、地面からお湯が沸いて、みんなで入れる施設ですが、それが何でしょうか?」


「はい、分かりました。宿泊経費(しゅくはくけいひ)に温泉の領収書(りょうしゅうしょ)がありましたがなぜでしょう?」


「ドキっ」おたくは何歳なんでしょうかと尋ねたい気持ちでいっぱいだ。


 ここはぐっと(こら)えて説明しよう。その前にミディアルに事前に渡された用紙に日付と場所もきちんと書いて領収書一式りょうしゅうしょいっしきと残金を合わせて渡したよね。


 なぜ、私がその用紙(精算書(せいさんしょ))を書けるかは、パパが月末に家でパソコンの前で悶々(もんもん)としながら入力しているの姿を見ていたからだ。


 その時はなにも言われなかったんだけど、あれですか? 

 温泉だめとか、いまさら言いませんよね。

(へへぇ~ん)と心の中で開き直る……うん、開き直る。


 それよりもバーベキューはもっとヤバいが、経費(けいひ)で落ちるとリディアルから訊いているからそっちは大丈夫なのか?


 なぜ、宇宙人に会計(かいけい)チェックされるのだろう。


 そもそも、どこの経費(けいひ)なんだとツッコミたいし、ミディアルたちのところに就職(しゅうしょく)したつもりもない。とりあえずはお約束の弁明(べんめい)を申し上げるよ。ここまではパパの行動をよく見ているからね。


「はい、目的地の宿泊先がそこしかなく、でも、事前にリディアルに2回確認しましたよ。そこなら大丈夫と」

「分かっています。問題は私を連れて行かなかったことです!」


「えぇ!?」と硬直すること数秒。


 ……さっぱり意味が分からない。


「お金を出しますので連れて行きなさい。チハルちゃん」


 ――と謎の会話が数分続き、再び温泉に向かうチハルたちであった。

(姉と行け、姉と……)


お読み頂いきましてありがとうございます。

新たな展開へとつづく。

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