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依頼する宇宙人

※ここから敵でない別の宇宙人が現れます。

 ――夏休みも半ば、ロンに連れられて私はある町に向かう。


 電車に乗り二駅先の住宅が多く並ぶ町へと……改札口を出ると駅舎に隣接するバス乗り場からバスに乗って移動する。


『チハルちん。着いたのじゃ』

「ふうぅ。ここかぁ」


 着いた場所は古びた大きな西洋風の屋敷だった。蔦に覆われた館。でも庭や塀などはきちんと手入れが行き届いている。


 なぜ、この場所に来たかというと、ここに善意ある宇宙人たちがいると教えてもらえたのだ。


「ロン。大丈夫なの。安全な宇宙人なんだよね」

 私は少し緊張している。


 ロンはいつも通りの感じでこう言った。

『チハルちん。守護神様から頼まれたのじゃ。一度会って、話を聞いてみる必要があるのじゃ』


「でも、本当に本当に大丈夫なんだよね」

『心配しなくてよい。妾がついているぞぇ』


 ……ここは信用して向かうしかないのか。話って言っても何を話すのだろう。


 一人と一匹は屋敷の門をくぐり、大きな扉の前に立つと「ギィィ」と無人で空いた。


「わあぁぁ。びっくりする」……ここはホラーハウスか。


 だが、玄関の中に入って見れば、人が住んでいるらしく置かれている貴重品などは掃除が行き届いていて驚く。しかも、中は立派な西洋の屋敷だ。


「ねぇ。ロン。勝手に入っていいのかなぁ?」

『……チハルちん。現れたのじゃ』


 奥から複数の靴の音が聞こえるやいなや姿を現した双子の女性――。

 綺麗な容姿をした長い銀色に近い金髪に白いフリルのついたワンピース姿。チハルたちの目の前に二人並んでお辞儀をする。


「お待ちしておりました。わたくしミディアルと申します。こちらが妹の」

「リディアルと申します。姉共々、お見知りおきを」


「はい。は、初めまして、狭井(さい)チハルと申します」と緊張が隠しきれずに声がうわずってしまった。

 

「では、こちらにどうぞ」

 ミディアルに声を掛けられて、二人は並んで先頭を歩き出した。

 そのあとを私はロンを抱えてついて行った。


 そのまま案内されて奥の部屋と進む。そこは応接室のようでアンティーク調の貴重品が並べられて自分が場違いのような感じで緊張する。


 ミディアルに進められて私は目の前の黒皮のソファーに座る。

 床に下ろしたロンはソファーの脇で、お座りしてミディアルたちの様子を見ている。


 ミディアルも対面側のソファーに腰を下ろすと妹のリディアルが奥の部屋からティーセットを運んで来て準備を始めた。

 その様子をしばらく眺めていると「粗茶です」と紅茶を差し出された。


 ミディアルはこちらにゆっくりと目くばせする。

「では、来て早々。お話致します。本日は足を運んで頂きありがとうございます。チハルさんのことは先日の騒動で知っております。冷めないうちにどうぞ」と右手を差し出され、紅茶を進められる。


『ロン。飲んでも大丈夫なの?』

 私はロンに念話で尋ねると、やや呆れた口調でロンは言った。

『チハルちん。警戒しなくてよい』


「では、頂きます」口にした紅茶はその香りから高いやつだ思ってしまう。


 その様子を見届けるようにミディアルは話を始めた。

「すでに私たちの正体についてご存知でしょう。わたしたちはラウラスというところから来ました。こちらの星ではわたしたちの容姿から、妖精エルフと思われるでしょう。実際、太古の昔に訪れていた者たちがそう呼ばれいたと記録にあります」


「エルフですか?」(……およよ。ファンタジーだよ)


『ロン。彼女たち宇宙人なんだよね』

『そうじゃ。彼女たちの容姿は素のまま、変装などはしとらん』

『それはそれで凄い美人さんだよね』


 紅茶のカップを置いて私からミディアルに訊いてみる。

「そうですか。それで私にどのような御用でしょうか?」


 少し小さな吐息ついてミディアルはこう言った。

「協力して頂けないでしょうか? いえ、勘違いはしないでほしいのですが、我々を狙っているものから守ってください」


 私はここに来たことをすごく後悔しだした。

「それって、何者ですか。まさか……」


 ミディアルは私の問いには答えず、間を開けてから話を変えた。


「わたしたちはこの星の方と友好関係を気づきたいと思っていますが、他の星のものたちは、わたしたちの行動を妨害したいと考えています。ここまでお話をしましたら判って頂けるでしょうか?」


『はあぁ? ロン。宇宙人を宇宙人から守ってねと言うことだよね』

 念のためにロンに尋ねる。


『実はなぁ。チハルちん。それがな。宇宙人でなく……』

 ロンが申し訳なさそうにそっぽを向いた。


「えぇぇ 宇宙怪獣からですかぁー」

(……いけねぇぇと思った時はすでに遅かった)


『チハルちん。よく考えたてから答えても良かったんじゃが』とロンが呆れた。


「はい、まさしくチハルさんが察する通りでございます。こちらからも情報など協力は惜しみませんので何卒よろしくお願い存じ上げます」


「おぉぉ……」とうろたえるチハルだった。

(……なぜ、どうして、どうなると、どのように、こうなった。これこそ宇宙の謎を解くというやつか)


『チハルちん。妾たちの目的と一緒だから協力してやるがよい』とロンは言う。

『ちょ、ちょっとねぇ。ロンさん。ここはさぁ。もう少し慎重に行った方が良いのではないでしょうか?』


『実はチハルちん。彼女たちがこの星に来てからなぁ。宇宙怪獣が増えていることが分ったのじゃ。それに彼女たちと敵対すると、この星が滅ぶ可能性があるのじゃ……』


「ゴク。……」私は唾を飲む。


『ようは自分達はめちゃくちゃ強いんだけど面倒だから、しつこい連中を代わりに退治してね。ということだよね』

『おおぅ。チハルちん。賢いのうぉ。その通りじゃ』


(……うぅ。何かが違うような気がする)


「とりあえずは、ご協力はしますが実行する都度ご相談願います」と言ってみた。


「それならば、問題はありませんわ。そちらの目的とわたしたちの目的は一致していますからご協力させてください」


 なんとなくなんとなくだ。これって初めから決まっているような感じがする。


 そこに横の席からリディアルがこう言った。


「チハルさん。お姉さまが一方的に話しましたが、実はわたしたちにはあなたがたの未来が見えているのです。いえ、チハルさん個人の未来でなく、この星全体の人の未来です。そして、その時が来たのかを確かめるためにわたしたちはやってきました。しかしですが、このことを良しとしない者の方が多いことを知っておいて下さい」


「ダメよ。リディアル。そんなことを言うと彼女には負担が重いわ」

「そうですね。お姉さま」


(なんていうかぁ。このやり取りが信用できないんですけど……)


『チハルちん。ここは冷静になるのじゃ』

『うん。わかっている。わかっているよ』

 ロンに忠告され私は自分がやけくそにならないように気を付けた。


「ふうぅぅ」と重いため息を吐く。


「では、話はあらまし分かりましたので、それではお聞きしますが、その宇宙怪獣を教えてください。倒せる相手ならパッパッと退治しちゃいます」


「あら、頼もしいのね。チハルさん」とミディアルが笑顔を見せる。

「ありがとうございます」とリディアルは頭を下げた。


「こちらこそ」(……こうなればやってやろうじゃないか)


 ミディアルは冷めた紅茶を一口飲んでから「それでは……」と宇宙怪獣の説明を始めた。


最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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