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遺書  作者: あや
3/5

食事と勉強

両親の私を見る目は日を追うごとに厳しくなっていった。


食事の席でも、少し肘をついた、背もたれに寄り掛かったという理由で母は私を怒鳴り、父は食事が不味くなると嫌そうな顔をしていた。

食事中にテレビがついていたがそれをチラリと見るだけでも叱責が飛び、弟は堂々と見ながら食べていても何も言われなかった。

私は食べるのが遅く、弟は早いから問題ないという言い分だった。


小学生になったある日、食事が並ぶのを椅子に座ってテレビを見ながら待っていると突然後頭部を殴られて顔面をコップに突っ込みコップが割れて鼻の下に刺さって血が出た。

食事が始まったらもうテレビが見られないため、今のうちにと夢中で見ていてお皿を置かれた事に気がつかず「ありがとう」と言わなかったというのが理由で父が後頭部を後ろから殴り、食器が置かれたテーブルに叩きつけたのだった。


父は私をそのまま怒鳴り続けたが、さすがに顔にガラスが刺さっているのと牛乳が飛び散っているので追撃はされなかった。

母は牛乳が散らかった事を嘆き弟は驚いた顔をしていた。


私は涙を流しながら慌てて洗面所へ行き震える手でガラスを外した。

皮膚が凹んで穴のようになっており歪な星形の小さな傷が出来て血が出ていた。

傷は小さいが深く、メイクで隠れるし目立たないが一生残る傷になった。


私がいると食事が不味くなると言われ、その日から私だけ別室で食事を取る事になった。

六畳の部屋を弟と半分に分けて自室として与えられていたが、母がその部屋に私の食事を運びながら弟に「ご飯できたよ」と声をかけ、弟は「はーい」と返事をしてリビングへ行き、電気が消された。

私は勉強机の明かりだけで1人、家族の笑い声やテレビの音を聞きながら食事を食べるようになった。

寂しかった。


その頃から私はテレビを見たり漫画を読んだりする事も禁止されるようになった。

ひたすら勉強をしろと言われた。

父はノルマを達成したら本を読んだり好きなことをして良いと言ったが、母はテストで絶対に100点が取れる自信がつくまでずっと勉強していろと言った。


父と約束をしたからと説明をしてもダメで、父が帰ってきてからその事を話すと「ママが正しい」と言って、ノルマを達成しても自由時間はなしになってしまった。

それ以来「勉強をしても意味がない。100%確実に100点とれるなんていい加減な事私には言えない。父は嘘つきだ」と勉強をすることをやめてしまい、父の引き出しから問題集の解答を盗み出しうつすと、あとはこっそり本を読んでサボるようになった。


それがバレるたびに殴られたが、勉強をする意欲は無くなり学力は低下していった。

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