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フリージングブレイク

作者: はさら

壊した世界に自分がいる。


ここは、一面が氷に覆われていて、一年で氷が完全に溶けている日なんて、数日しかない。

そして、氷だけが一面に広がっている中、その真ん中に自分が壊した世界がある。

その中に入るか、入らないのかをいつまでも戸惑っていて、また明日でいいかと次の日に託す。


次の日の朝、まだ、僕が壊した世界がある。その中に入ろうと今度は決断する。

しかし、その中の水に少し触れただけで、やはり止めてしまおうとする。

どうしてこんなにも、この中には入れないのだろうか?

回りの世界はいくらでも歩ける、どこへだって行ける。

でも、この中だけはなかなか入ろうとは思えなかった。


その日の夜、今度はこの世界にいるのは僕だけしかいないが、別の世界には僕以外にもいる。

そのことを思い出し、そこの世界の住人にこの中に一緒に入ってもらえないか尋ねてみようと思った。

なぜ、そう思ったのだろう?

一人では引き返してしまう、その穴の中にどうして誰かと一緒なら大丈夫だと思ったのだろう?

その答えは出なかった。


次の日の朝、早速、別の世界へ行くことにした。周りは氷で覆われているのでどちらがその道に続いているのかわからない。

とりあえず、壊した世界を起点に少しずつ離れてみようと思った。

少しずつ、一歩ずつ。

気づけば、壊した世界は見えなくなっていた。


ずっと歩き続けた。

どこにも別の世界なんてないんじゃないかと思うぐらいに。

もしかしたら、壊した世界の中がそうだったのではないか?といつしか思うようになった。


もし、そうなのだとしたらどうしたらよいのかわからない。

誰かと一緒ならできると思えた。でも、そのためには壊した世界の向こうに飛び込む必要があった。


どうしたらよいのだろうか?

もしかしたら、これは呪いなのかもしれない。

僕がここから動けなくするための。

一人では壊した世界の向こう側にいけず、でも、向こうに行かなければ誰も一緒に壊した世界の向こう側へは飛び込んではくれない。


もしかしたら、世界はこんな風にすべてを隔てているのかもしれない。

そうやって、考えながら歩いている内に、また最初の壊した世界の目の前にいる。


一体どうしたら自分は向こう側に行けると思えるのだろうか?

この間、思い浮かんだ方法は恐らく使えない。

では、こういうのはどうだろうか?

目を閉じるのだ。目を閉じたまま歩けば、向こう側に行く直前に立ち止まって考えるようなことはしなくてすむ。

それなら、気がつけば壊した世界の向こう側に気が付いたらついているはずだ。

立ち止まって考えることもないんだから、そうしよう。


僕は目を閉じた。


しかし、今度は困ったことに一歩前に進めなくなってしまったのだ。

どうしてなのだろうか?


一歩が踏み出せない。

さっきまで、簡単に出来ていたことが難しくなってしまった。

できないと思ってしまったのだ。


このとき、僕は歩くことができなくなり、できないことが一つ増えてしまった。


仕方がないので、目を開けることにした。


今度は、もっと違うことをしよう。どうしようか?


そのとき、突然、地面が割れて壊れた世界に飛び込むことになってしまった。


中に入って、しばらくしたら、こんなに簡単なことなのかとびっくりした。

見渡すと、そこにはたくさん、自分とは違う存在がいて、自分と同じ存在がいた。


一度だった。その一度が自分からではなく何か別の環境により起こされた。


それからは、その世界に飛び込むのが楽しくなった。

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