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記憶を失った僕と彼女たち  作者: 天笠愛雅
21/38

レース

それから1時間ちょっとで100mの決勝の時刻になろうとしていた。陸上競技の花形とだけあり、スタンドには予選や他の競技と比べて、遥かに多くの観客が集まっている。


100mのスタート地点付近には既に選手が待機している。もちろんそこに芽衣の姿もあった。

1人、落ち着いた様子を見せていて逆に目立っている。

係員に指示され、いよいよ選手がスタートラインに並び、スタートの確認を始めた。芽衣は4レーン。


「高校女子100m競走、決勝に出場します選手を紹介致します」

決勝のアナウンスが始まった。


1レーンから紹介され、4レーンが呼ばれる。

「4レーン、未原芽衣さん。扇ヶ浜」

他の選手よりも拍手が大きい。それは扇ヶ浜の生徒が多いという訳ではない。芽衣への期待の大きさを示しているのだ。


一on your marks


予選とは違った緊張感の中、選手たちは位置につく。この十数秒で地区のナンバーワンが決まる。たかが地区だが、されど地区。インターハイ路線は負けたらそこで終わりなのだ。

次はない。この年のインターハイはもう来ない。


-set


パンッ


乾いた音が戦場に響く。

スタートは横一線。

芽衣のスタートが上手くいっていない?

30m辺りを過ぎた。ここから差が出始めるはずだ。

だが芽衣が他の選手といい勝負をしている。あの未原芽衣は、いい勝負などしてはいけないのだ。

60m。トップスピードになると言われる地点。やっと芽衣が先行し始めた。

しかし、差が開かない。


まずい!


他の選手がゴール前で追い上げて来た。


「芽衣!!!」


「芽衣さん!!!」


「未原さん!!!」


悲鳴や歓声でかき混ぜられた会場は静寂に包まれた。

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