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エルフ賢者の子育て日記  作者: 剣の道
第一章 新生児編
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8.エルフ賢者と冒険者協会

 入門のところでライセンスが古い事が分かったのですぐにでも更新しておく必要がある。街に出入りするたびに税金を取られたのでは適わない。


 通行人に聞きながら冒険者協会に向かって歩く。ソウタは馬車での別れ際にお乳を貰っているのでしばらくは大丈夫だ。


 冒険者協会はどこでもそんなに変わらないな。カランコロンと扉が鳴る。冒険者協会の中は閑散としているが、人が居ない訳じゃない。


 全員の視線が私に突き刺さるが、いつもの事だ。直ぐに興味をなくして視線は散らばっていくだろう。ん? 全然散らばらないな。凝視と言ってもいい位に視線が突き刺さる。


 不審に思いながらも、一歩一歩正面の受付カウンターに向かって進む。全員の視線が追い掛けて来ているが、まあ気にしても仕方あるまい。エルフが珍しいのだろう。


「すまんが、ライセンスが古いらしい。更新を頼めるか?」


「は、はい。では、古いライセンス証をご提示ください」


 私は懐から金級の冒険者ライセンスを取り出しカウンターに置く。ふふん。見て驚け金級と言うのはなかなか辺境ではお目に出来ない高ランクだぞ。あと少しで白金級になれたのだが研究が楽しくてな。


「は? ……これなんですか?」


「金級の冒険者ライセンスだろう。見たことないか? まあこの辺りでは珍しいかもしれんな」


「金級? ちょっとお待ちください」


 そう言って受付嬢は私のライセンスを片手に何やら階段を上がって行った。しばらく待つと初老の男性を連れて受付嬢が戻ってきた。


「あなたが金級の冒険者ですか?」


 受付嬢に伴われてきた初老の男性が話かけて来た。私は訝しみつつもそうだと答え、二人を見る。受付嬢は困惑顔で初老の方は珍しそうだ。


「申し遅れました。私が当ギルド支部の支部長のマルクスです。いやはや、私も金級と言うライセンスを見るのは初めてです。かれこれ200年くらい前のライセンスですよね?」


 は? あ、いや。その位経つかもしれん。十代のころに作って百代にはまだなっていなかったと思う。今が293歳だから……その位経ってるな?


「え? あ、いや。そのくらい……かな?」


「はっはっは。さすがにここまで放置されると無効です。再取得をお勧めします」


 なに~! 再取得? と言う事はやり直しか!


「いやいや、ちょっと待ってくれ。いくらなんでも再取得はないだろう? 金級だぞ。それなりの腕はあるんだ」


「……それって200年前の事ですよね? 腕鈍ってますよね?」


 受付嬢が疑わしそうな眼を私に向けてくる。ぐふっ! 言い返せない。この後なんだかんだ言い募ったが結局規則の一点張りで再取得となってしまった。くそ! 3000ピコもふんだくられた。


「改めまして。再取得おめでとうございます。カーヤ・シュバリエ様は本日より冒険者として再出発して頂きます。|昔『・』とかなり違いますのでご説明いたしますね」


 この娘、昔を強調した! 中々良い根性してるじゃないか。良いだろう。さっさとランクを上げてやろうじゃないか。


「新規登録と同じ扱いになりますので、まずはNランク冒険者です。Nとは冒険者の卵でF,Eランクが見習いD,Cが一般、Bがベテラン、Aが一流、S、SS、SSSは……化け物ですね。SSSは歴代でも一人だけ、SSで数人です。Sは国で一人か二人くらいみたいな人たちです」


「ふむ。その辺は名前が変わったが、私の知識とそう変わらないようだ」


「各ランクによって受けられる依頼が決まっていますので稼ぎたいのならランクを上げる事をお勧めいたします。各ランクの昇格には厳密に決まった昇格条件が存在します。昔のようになんとなく強そうとかはありませんのでご了承ください」


「いちいち昔々言わんでよろしい。で、昇格条件は何だ!?」


「はい。まずはFランクですが、採取です。ポーション素材となります薬草類を正しく集めて来れる事が昇格条件となります。」


「ああ、それなら持っているぞ。私はポーション作りもしているからな。これでいいか?」


「はい。きちんと採取されていますね。解毒草もあるようですね。十分です。Fランク昇格おめでとうございます。」


「ああ、それで次は何だ?」


「はい。Eランクへの昇格条件は、まだ採取です。各種薬草類をそれぞれ100束、納品して頂きます」


「100本だと! また面倒な条件だな」


「いえ。100束です。一束10本ですから1000本ですね。」


「ちょっと待て。1000本? おいおい薬草類と言ったな? ポーションの材料のセラム草、解毒草、三日月草や満月草もあるし、ケルの実やクガンの根など数えきれんぞ」


「はい。まずはきっちりと体に採取の基本を叩き込んで頂くのが趣旨ですので大変だとは思いますが頑張ってくださいね」


「……薬草採取では稼げないだろう? それでは暮らしていけないじゃないか」


「皆さんアルバイトをしながら数年掛けてこなしているようですよ。それに薬草でも数をこなせば何とか生活出来ますから。皆さん色々おっしゃいますけど、簡単に死んでもらっては困るんです。直ぐに討伐だなんだと無謀な挑戦をして若くして亡くなる方が多くてそれで出来た規則ですから」


 言わんとしている事もやろうとしている事もその目的も理解はできるし賛同もしようが私は金級だぞ。ちまちま薬草採取などしている暇ない。


 魔法一発でワイバーンでも狩ってくれば当面の生活費は安泰のはずが……。

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