4.エルフ賢者と抱っこ布?
おお! 初評価に続き徐々に人気上昇中? ……軽い冗談ですorz。アクセスすらして貰えてません。
でも頑張りますとも! 皆さん応援感想ブクマに評価レビュー何でもいいからお声を~~~~~!
心がくじけそうです。クスン
しばらくは多めの更新を心がけますが、見切り発車なのでどこまで続くか……。
予想外に手間のかかってしまった洗濯だったがやりきった。既に昼を過ぎ日は傾き出していた。赤子を見つけたのが朝。それからずーとドタバタしていた事になる。
洗濯などそうそうしないのだから。普段は生活魔法の『清潔』一発で凌いで……げふん、げふん。いつも便利な魔法でお茶を濁している訳じゃないぞ。
さすがに上から下からの粗相はどうしようもない。出来ない事も無いと思うが、一応……な? 気になるであろう? まあ、そのうち気にもならなくなるかもしれないが……。
さてひとまずは落ち着いたかな。先ほどの推考の続きを……いや、いや。そう言えばヤギの乳の残りが少なくなっていたか。今後の事を考えるのが先だな。
ちび助を拾ってしまったからには今まで通り干し肉に薬草をかじって凌ぐとは行くまい。どうしても乳が要る。ヤギの乳は近隣の村まで行かねば入手は困難であろう。
ふむ。ふむ。ハッ! そう言えば……初乳。初乳は必要ではないか? なんか聞いた事があるような気もする。えーと、なんだったか。
そうだ、そうだ。赤子はまだ邪気に対して耐性が無く母親から乳を貰うことで母親と同じ耐性を付ける筈だ。と言うことは……うむ、ちび助はどう見ても生まれて間もない。首も据わっていなければ、目も開いていない。
初乳は飲んでいるのか? 飲んでいると仮定するのはいささか楽観的過ぎるだろう。飲んでいないとして対処するのが合理的であろうな。
では次にヤギ乳などの代替品は栄養価の面で不安がある。ここは検討課題だった貰い乳をすべきだろう。ヤギ乳などの代替品は夜中など貰い乳がどうしてもできない場合に限った方がよい。
更にどのくらいのペースでちび助は乳を飲む? 私の記憶では3刻に一度、これがおよそ一年続くはずだ。この頻度で貰い乳をするにはこの庵から近隣の村までは遠すぎる。
ちび助の事を考えるならこの庵は締めるしかないが……研究が! ふぅ~。落ちつけ私。仕方ないな。ここを締める日が来ようとは考えもしなかったが……。
エルフの長い耳がヘニョっと垂れ下がるのが自分でもわかる。一生をかけるつもりで研究に没頭していたが一時中断せねばなるまい。
思い立ったが吉日だ。今から出発すれば夕方までに付くはずだ。まずは近隣にある村、カエラ村を目指す。ここからはおよそ一刻。ちび助と荷物を抱えるとなるともう少しかかるやもしれん。
すぐに出立の準備だ。まずはなには無くとも金だ。路銀が要る。えーとお財布は……あった、あった。って中身が……ほとんど無い! ぐはっ、自給自足で何とかなってしまうからな~。
遠い目をしている場合では無い。金目のものはないか。ならばポーションをありったけ持って村で換金するしかないな。カエラ村なら何とか都合してくれるだろう。
次は……窓の外に旗めく洗濯物が目に入る。布だな。それに食料も少々。あとは採取の時に必要な物があればいいか? よし大きめのリュックに全部突っ込んで、身体強化魔法をかければ持っていけるだろう。
それからちび助はどうやって運ぼう……。籠に入れて持つか? いやいや、片手が古老の杖で塞がるとしてもう片手が塞がってしまうのはいただけない。
せめて片手だけでもフリーにしておかないと。何かないかな? 辺りをキョロキョロ見回して、ベッドが目に入る。シーツ! あれで包んでっと、ちょっと大きいか。
半分に折って、対角同士でちび助を包んで袈裟がけに体の前で抱えるっと。出来た! これなら早々落とす事も無かろう。うむ。顔もちゃんと出てるから息苦しい事もあるまい。
「よし。こんなもんだろう。今から出発すれば夕方には着くな。向こうに着いたらまずは直ぐに貰い乳、それから村長に一泊とポーションの引き取りをお願いして、夜中の分のヤギ乳も確保か」
大ぶりのリュックを担いで、頭にはちび助が入っていた籠をかぶり、杖を持ち、ちび助を確認する。……がしゃがんだ状態から立ち上がれない!
やはり無理か。非力なエルフではちょっと大荷物過ぎた。仕方ない。あとでひどい事になりそうだが……。
「身体強化」、「筋力増強」
立て続けに強化呪文を唱える。スリムな私の体がボコボコと音がしそうなくらい膨らむ。たおやかな私の体が細マッチョほどに……なんと醜い。
2倍程度とはいえ強化すると見た目も変わるのが難点だな。当然と言えば当然なのだが、魔法で強化するのはもちろん肉体だ。骨は太くなり骨密度も増して筋肉も増量する。皮膚は固くなりアドレナリンも分泌される。
魔法でコーティング? 馬鹿を言うな。そんなこと外骨格を別に作るようなものだ。その外骨格が別に動くんだぞ。中の肉体は柔らかいのだからバキバキのグチュグチュになるに決まっている。
鉄で出来た動甲冑がまだ試作段階なのがいい例だ。実験段階で何人が死んだことか。
強化魔法をかけた体は重い荷物をものともせずひょいっと立ち上がる事が出来た。150年住んだ庵を後にして森の中に分け入っていく。