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エルフ賢者の子育て日記  作者: 剣の道
第一章 新生児編
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32.エルフ賢者と一般冒険者への道⑦

 あれから更に森の奥に入った。さすがに獲物が濃いよ。私達のパーティーでは鳥などの獲物は私の出番、遠距離攻撃の手段がないからだ。


 奥に入ったら大分鳥が多いので私の出番も増えたよ。地上の獲物だとあんまり私の出番って無いんだよね。嬉々として二人で仕留めに行くからなんだけど、100歩譲ってジーンはまだ納得もしよう。


 でも侍祭だよ。結構侍祭って偉いんだよ。その侍祭様がメイスでドッカンドッカン攻撃してるって何か間違って無いかな~。


「ジーンさん、新しい武器結構いいですね」


「ああ、切れ味も増してる。斬り飛ばし易い!」


 二人が喜んでるからいいけどさ。ん? 来た来た。この反応はホブゴブ確定だね。初見だから注意しておこう。


「おおーい。ホブゴブ2、おかわり来るよ。一応初見だから一人一体だけだからね。危なくなったら私が魔法使っちゃうからね」


「「え~、カーヤさんは控えてよ」」


 なんで援護するって言うのに断られにゃならんの? もうそこから間違ってるでしょ! でも最近このパターンなんだよね。


「はい、はい。苦戦しなければ、手は出さないから頑張んなさい。来るよ!」


 出ましたホブ。ゴブと同じで体色は緑色。大きさはゴブより二回り大きい位で、カエデと同じ位の背丈。ジーンの方は問題なく斃すと思うけど、さてカエデはどうかな?


 ジーンの方の戦闘は割愛するね。首切り落としただけだから。メイスを構えたカエデ。真正面から対峙しちゃってるよ。


 ホブが大きく振り被ってカエデを叩き潰そうと棍棒を振り下ろす。ひょいってな具合でサイドステップ(?)紙一重って言ってもいい位の近さで回避して下がったホブの頭にフルスイング。


 ……ゴパッって音がしたと思う。ホブの頭が消し飛んだよ。あれ? 僧侶とかって前衛職だっけ? なんか私300年位勘違いしてたかも。


「私思うんだけどさ、ジーンはカエデを鍛え過ぎだと思うな。そこんところどう思う?」


「……すまん。適正があり過ぎた」


 どうやら自覚があったようです。そーかー、適正かー。そりゃ分んないよね。そう言えば転生者で大地の女神の加護付いてるんだっけ。


 いっそカエデは戦士で良いんじゃないかって気もしてきた。いやいや、侍祭なんだから回復役も今後は必要になってくるから今に儘で正解だ……よね?


 なんか自信無くなってくるよ。さてこんな感じで森の奥でも戦えてますって言うか温い感じで戦ってます。最近は午前中に500キロ、午後にも500キロの肉を持ち帰ってるんだ。


 獲物が濃いから狩れる事狩れる事。ちょうどソウタのミルクも帰還してから貰い乳出来て好都合だよ。でも、飲む量も増えて来てるから合間合間でやっぱり哺乳瓶で飲ませてる。


 ちょうど血抜きの時間とか解体の時間とかに私だけ外して貰ってる。悪いなとは思って無い。だって喜び勇んで解体するんだもん。


 そうなんだよ。お肉! お肉の力は偉大だったよ。今だけ狩ってれば内臓もそんだけ出るってこと。つまり、自家消費分の内臓も多くなるんだよ。


 お肉ルンお肉ルンとか鼻歌が聞こえてるよ。さすがに自家消費も限界があってさ、食べきれないんだよ。最近はマーサさんが安く買い取ってくれたりもしてるけど、まだ多い。


 ママ友を招いての焼肉パーティーもしたよ。ふふふ、内臓のおいしさを知ってもらうのが、趣旨。ここでしか売ってないお・あ・じ。


 ママ友消費者計画の一環です。案の定乗ってきた。他のお肉より格安でそこそこ美味しい。売れるよね。ママ友宅でも毎日お肉が出されるようになりましたとも。


 それでも100キロ超の内臓は捌き切れないからカエデが孤児院を巡って奉仕活動に利用……げふんげふん。活用したりしている。


 侍祭様の人気もうなぎ昇りで、次は司祭かってなもんらしい。マーサさんにも他の飲食店に卸して貰って何とか捌いてるところ。


 普通の肉の売れ行きも上々らしい。それでもみんながみんな毎日お肉を食べるのには足らない。まあ、この街も20000人以上の人間が居るからね。


 それでも30トンのお肉の調達にはかなり時間を要した。それでもやり切ったよ。これで晴れて冒険者を名乗れる。


「おめでとうございます。Dランク試験の受験資格を得ました」


 おや? 聞き慣れない言葉を聞いた気がする。受験資格? なんだそれは?


「……どう言うことかなサーシャ?」


「ご説明しますね。ここから先は、魔物相手の本当の冒険者です。なんちゃって冒険者じゃ死んじゃうんです。なので対魔物戦をこなしていけるのか試験をする決まりです」


 なるほど。理由は分かった。では何をやるのかだ。そこが肝心だ。また無理難題じゃないだろうな。30トンはつらかったぞ。


「で、何をやるんだ」


「オークを1対1で斃せる技量がある事。これが個人技量の確認です。次にパーティー技量の確認ですが、トロルです。トロルの討伐が必要です」


 ふーむ。案外まともだぞ。どこかに落とし穴でもあるのか? まあ、個人でオーク討伐は無難なところだ。パーティーでのトロルはやり過ぎじゃないかとも思うけど無理って程でもない。


 総じて無難。……おかしい。今までの経験からおかしい気がする。まとも過ぎ? 思わずサーシャを睨んだまま沈黙してしまった。


「ここからは真面目なんですよ。獣やゴブ辺りならそうそう死にませんし、稼げる事も分かりましたよね? でもここから上に行くと死ぬ確率がグンと上がるんです」


「そういうことか。試験受けよう」

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