25.エルフ賢者と魔法の訓練②
大分上手くなってきたな。こいつらの成長は、私とソウタの死活問題だから手加減はしないよ。心を鬼にしてやるんだ。
「よし。集中拡散は出来るようになったな。次に先鋭化までしてそのまま体中を巡らせるんだ」
なんか二人の私を見る視線が鋭い気がするけど、まあ気にしちゃいけない。そろそろ体も動けるようになるだろう。
最後にやっとくか。
「ジーン行くぞ。魔力を散らして見せろ!」
両手で乳を鷲掴みにして搾る様にして頂点を摘まみあげる。今までで最高に力を入れた。流石のジーンも堪え切れなかった様で凄い悲鳴が上がる。これを何度も繰り返して仕上げだ。
「ぎやああああ」
続いてカエデだ。ジーンに較べてまだ硬さが残る乳を搾るのは、忍びないがここは心を鬼にして搾り上げる。
「ががああああ」
ラストスパートだ。今まで痛みに反応して魔力を集める癖がついたところでその逆、痛みに反して魔力を散らさないといけない。
苦しかろう。私には分かるぞ。経験者だからな。この拷……げふんげふん。スパルタ法の仕上げなんだよ。
グッタリと突っ伏している二人はやり切った。やり切らせたとも言うけど。これで魔力操作法の基礎はマスターした。あとは修練あるのみ。ダメならもう一回やるだけだけど、たぶん大丈夫。
私も何が何でも習得した経験があるから。
「これで魔力操作の基礎は終了だ。忘れちゃうともう一度だから頑張るように! 以上」
もう一度のところでビクンと体が跳ねたけど体で覚え込んだのだろう。さて、真言でも教えておこうかな?
「ほら、起きなさい。真言教えるから。まずジーン。『身体強化』これが使えるように練習してね。カエデ、『小癒』他の神聖魔法は神殿で習ってるでしょ?」
「「……はい」」
「ほら、立った、立った。軽く体を動かしておくよ。私はポーション作って売り払ってくるからちゃんと鍛えてるんだぞ」
私は宿に向かって歩いて行く。宿に入る直前で一応忠告しておく。
「早く服着た方が良いよ?」
バッと自分の胸を隠す二人。慌てたように体を拭いてから服を着る。私も経験あるな~。これだけやられると、裸なのが気にならなくなるからフ・シ・ギ。
部屋に戻って、乾燥が終了しているセラム草を薬研で磨り潰して行く。細かくなったところで乳鉢に移して水と一緒にさらに混ぜる。
ここで『製作』《メイク・ポーション》。濃い原液のポーションが完成する。これをスポイトで少量ずつ素焼きの薬瓶に入れ水を加えて混ぜ合わせる。7級ポーションの出来上がり~。
うーん。6級にはならなかったか。どこでしくじったかな? 磨り潰しが甘かったかな~。ここまでやると6級になるんだよね私に場合。
まあ、いいか。同じ要領でケルの根を少し混ぜる。今度こそ6級ポーションになった。そうです。ケルの根は増幅効果のある薬草です。触媒と呼ばれています。
さて、およそ100本分だけどどこに卸そうかな。順当に考えれば薬師協会か冒険者協会。最初だからいいか。
6級ポーションを薬師協会に7級ポーションを冒険者協会にそれぞれ納品した。やっぱり買い叩かれた。合わせても250000ピコにしかならなかったよ。
薬瓶だって高かったのに! 魔力コーティングまでしたんだよ? 魔力コーティングは、ポーションの劣化を防いでくれるんだ。これが出来るか出来ないかでお値段も違うはずなんだけど。
え? 十分だって? まあ、そう言われればそうなんだけど。いやーやっぱ自前だと良いね! また薬瓶買っておかなくちゃ。
私が裏庭に戻ったのは1刻位経ってからだ。二人の様子はどうかな? ジーンは大剣で素振り、カエデも錫杖で型稽古かな?
真面目にやっていました。
「おまたせ。稼いできたよ。早く二人も貢献してくれよ」
「「うん!」」
時間をおいたから根に持っていないようだ。良き哉、良き哉。私の場合は1週間位根に持ったからな。お陰で豊満なボディを手に入れたとも言われているけど証拠はない。
ソウタを籠に入れて、私も汗を流す。夕方になったので終了した。井戸水で汗を拭いて、ソウタを抱える。泣きだす前に移動開始だ。
ふふふ。二人には洗濯を頼んじゃった。まだ稼いでないからね。雑用は見習いの仕事だよ。お乳を貰ってソウタも満足そうだ。
さて、二人にも飯を食わさないと限界だろう。宿に戻って酒場のテーブルに陣取る。『美女と野獣亭』はそこそこ人気があるみたい。
三々五々、食事だけの客が来る。内臓の素焼きが特別メニューに加わって人気を博してるんだ。私達はもちろんただ! 二人の食事代1400ピコを払って早速食べ始める事にした。
私たちにエールはまだ早い。もう少し稼げないと散財は命取りになりかねない。日常品もあんまり持って無いんだよこの二人。
そっちも揃えなきゃならないし、服も着た切り雀だからね。日当10000ピコ位じゃ生活するだけでいっぱいいっぱいなんだ。




