2.エルフ賢者とミルク
祝、1ブックマーク~~~~~ぱふぱふ。
しょぼい祝福だな! まあ! 人気ない作品になってしまった。そりゃそうだよね。若い子に子育てなんて……。そうでそうです。作者が需要を読み間違えてるんです。グスン。でも始めちゃったからもう少し続けますよ。出来たらブクマやら評価、レビューなんてして頂けたらうれしいな~。
ここは深い森の中にある庵、エルフの私にとって森の中はなんら苦になる場所ではなくむしろ心地よい場所だ。
この庵は私の研究室兼住まいだ。……主に研究室だが。家具と呼べるものは小さなベッドとテーブルに椅子が一脚。隣の部屋には一応竈があり、自炊も出来る。
そのほかの大半を占めるのは書棚や薬品棚、器具置き場などでそこにも入りきらずに書籍や物が溢れ返っている。一応は整理整頓をしているのだが……その、なんだ、研究に必要なものが多くてな。
この庵での生活が時々寂しくなることもあるにはあるが、決して今の状況の様になってほしいと望んだわけではない。ましてやここまで五月蠅くなる事など想像した事もない。
この騒々しさをただ一人で出しているのは、机の上の籠に収まっているこの赤子だ。なぜこうも赤子の泣き声と言うものは、無性に何とかしなくてはと思わせるのだろうか。私が女だからなのか?
そう、私は女を300ね……げふん、げふん。いやいやまだ大丈夫。私はまだ適齢期の範疇だ。大丈夫なはずだ。大丈夫だよ……な? えーと、293年ほどやっている。未婚のうら若きエルフだ。
おっと。なんだか現実逃避をしてしまったが、今、問題なのは乳、乳だ。私が出すことは出来ない……事も無い。魔法で肉体改造を行って出すことは出来ると思うが、最終手段としたい。
次に貰い乳をする事だが、ここは深い森の一軒家。直ぐに貰い乳が出来る筈もなし。これは後の検討事項だな。とすると代替物……か。
「えーと、確か保冷具の中にヤギのミルクがあったな。それで良いだろう」
保冷具とは魔道具の一種で物を冷却して保存しておくための道具だ。もちろん自作だ。動力は魔物の体内にある魔結晶だ。
原理は簡単だ。魔結晶から魔力を供給して氷結石を作動させると、あら不思議、冷気が氷結石から溢れてくるのだ。その冷気で箱の中を冷やしているだけだ。
「あちゃー。今朝飲んでしまったから残りが少ないな。まあ仕方ない。とりあえずこれを……ん? このままでいいのかな?」
保冷具から出したばかりのヤギのミルクはひんやりと冷たくすっきりとした味わいだ。……されど赤子に飲ませるにはちょっと冷たくないかな~?
待て、待て、待て、私。考えるんだ。先ほどの失敗を忘れた訳ではあるまい。……千切れるかと思った。クスン。
……。……。そうだ、隣のお姉さんは温めていた! 赤子は弱い。そこら中から邪気が入って簡単に死んでしまう。邪気を殺すためには火を通すことが肝心だった。
私は慌てて竈に移動するが、ドサドサドサ、ガラガラドシャーン。積んであった書籍の山に蹴躓いてそのまま隣の器具の山に突っ込んでしまった。何たることか! 誰だこんなところに書籍を山積みにしておくとは!
あー、うん。私なんだけどね。えーい、今はそれどころではない。幸いヤギのミルクを溢す事はなかったので竈の間に飛び込む。ヤギのミルクを一旦置いて、竈に薪をくべる。
『点火』
私は賢者、生活魔法などお手の物だ。やや薪が激しく燃えているが、魔力を込めすぎたかもしれない。当初の目的は果たしているので良し。
石綿を引いて撹拌ビンにヤギのミルクを入れて乗せる。直ぐに鞴を使って空気を送りながらどんどん加熱していく。ああ、後ろでおぎゃおぎゃ泣いてる~。非常に気が急いて仕方ない。
私は鞴でガンガン風を送り一気にミルクを温める。温まったミルクを取ろうと私が手を出すと。
「アッチ! これ熱過ぎ! こんなの私でも飲めないって。……失敗した。待て、待て、待て、私。隣のお姉さんも凄く温めてた気がする。うん。あってる、あってる。えーと確かこの後は……そうそう冷水で冷やすんだった。」
ここでまたはたと気付く。どうやって飲ます? そもそもこの撹拌ビン綺麗だったか? またも隣のお姉さんがやっていた事を思い出そうと必死になる。
えーと。えーと。そうだ! 煮沸! 煮沸だ! くっ。ちくせう。やり直しだ。中身をいったん戻して洗い直してから、鍋に水を汲んで底に沈めると。えーと、授乳は……この注射器でいいか? これも煮沸だ。
大急ぎで鍋で湯を沸かして煮沸をする。先ほどのミルクをもう一度温め直して今度は庵の裏手の井戸に向かう。おっと、赤子をそのままにする訳に行かないだろう。籠に入れて一緒に連れて行こう。
ああ~もう。何が何だか分からなくなってきた。やることが多くてこんがらがる! えーと。赤子は私の横に置いておけば良しと。盥を用意して釣瓶で水を汲んで行く。これも良し。
……でミルクはどこだ? あ~~~、竈の間に忘れて来た。慌てて竈の間にとって返すもドンガラガッシャン、ドサドサ。いててて。くっそ! またやってしまった。えーい後だ後。
竈の間にとって返した私は、撹拌ビンをひっ掴む。
「――っ! あっちー!」
またやらかした。熱いって分かってたのに。赤くなった手のいらをフーフーしながら鍋掴みをはめてからそっと撹拌ビンを持って井戸へ移動する。今度は転ばないよう周囲を確認しながらだ。
だんだん赤子の泣き声が弱くなってきた気がする。何か拙い事態が発生しているのか? 分からないが拙い気がする。大樹のところからだから小一時間ほど経つのか。
急げ、急げ、私っ!
え~と、人気ないので暴露しちゃいますけどカーヤさんはこの後冒険者になります。子育てしながら冒険もします。うん一応腕の良い魔道師なんだよ。ポンコツ臭がするのは子育てだけだから。でも俺TUEEEEE的な事にはなりません。すいません。




