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エルフ賢者の子育て日記  作者: 剣の道
第一章 新生児編
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17.エルフ賢者と神官見習い

 ソウタのお乳を貰いに行く道すがら話しているのは神聖魔法についてだ。


「加護持ちの場合、自前の加護を分けられるから比較的容易にできるはずだ。しかし加護持ってないと神様から分けてもらうから結構大変見たいだな」


「はぁ~。えーと神聖魔法も普通の四大魔法と同じように修行すれば身に付くと?」


「そうそう。身に付く」


 おっと着いた着いた。ママ友宅。アンナがあれから確認してくれたから今日はここでいいはずだ。


「ちょっと、ソウタにお乳貰うから待っててくれ。そのあと籠を確認しに行こう」


 何人目か忘れたけどママ友の家の台所を『清潔』でキレイにしたら、ついでに厠もだって1000ピコ払ってでも一気にやりたいらしい。でも脱臭は別料金だから200ピコねって言ったら驚愕の表情を浮かべてた。


 言っておくけど『加熱乾燥』はサービスなんだぞって伝えたら納得の表情に変わったよ。お得情報があるとなぜか納得してもらえるな。元々お得作業なんだが……。


 今度マーサさんのとこも『加熱乾燥』しといてあげよう。きっと喜んでもらえるだろう。お茶位サービスで出てくるかも?


 おっと、大通りを進んで丘の上にある主神殿を目指すつもりだったけど、広場にある分殿の方に連れて行かれた。


 正式には主神分殿だ。いやいや、私が名前を知らないだけでちゃんと主神にも名前があるかも?


 分殿の裏手に神官の宿舎があり見習いはさらにその奥、日辺りの悪い狭い部屋なのだそうだ。


「ここが私の部屋になります。ちょっとお待ちください」


 そう言って目の前にはコップと水差しが置かれる。勝手に飲めってこと? まあ、水なのは仕方ない。お茶、高いからね。


 何気にポケットから香草ラモングラスを出して軽く揉んでから水差しに入れる。これでしばらく待てばいい香りがする水になるはずだ。


 ラモングラスは柑橘の香りがする草の事。香りだけだから本当は、柑橘の皮とか入れるとおいしいんだぞ。


 カエデさん……カエデでいいや年下だしめんどくさい。部屋の隅でごそごそやってたけど、どうやら籠を見つけたようだ。


「ありましたよ。もう何年も仕舞いっ放しでしたのでどこに入れたか忘れちゃって」


 へへへとか笑ってる。私は仕込みが済んだ水差しからコップに水を注いであげる。うん、水差しは陶器で出来ているから中身は見えない。注ぐ時に『冷却』(コールド)も使っているからヒンヤリおいしい香草水だ。


 ふわっと香る柑橘の香り、目を見張ってカエデが目の前に置かれたコップを見詰める。恐る恐るコップを掴んで飲み干した!


 私がびっくりしたよ。いきなり飲み干すとは思わなかった。ちょっとした悪戯なのに。逆にしてやられた気分だよ。


「ふわぁ~。おいしいですね。冷たくて爽やかです。これってカーヤさんが?」


「ふふふ。びっくりした? 種は簡単なんだけどね。ちょいとラモングラスを入れて『冷却』を使っただけ」


「へへへ。いいですね。ラモングラス。あ、いけない。これです。私が入っていた籠です」


「じゃあ、ちょっと拝見」


 と言ってもきっとソウタと同じ仕掛けじゃないかなと。……やっぱり。この籠、底がちょっと厚く作ってあって頑丈になってるんだけど、底が二重底なんだ。羊皮紙一枚分だけの二重底。


 なかなか見つけ難い。底蓋の一枚をメキッてな具合で剥してほらあった。羊皮紙が一枚。


「あったあった。ほらね。えーと、なになに。名前はカエデ・サイトウ、あとは育てよか同じだね。あ!」


「え? どうしました? 私名字もあったんですね。え? そこじゃない?」


「おお~、これって大丈夫なのか? ほらここ見てみな」


「……大地の女神さまの紋章ですね」


「……冷静にね。カエデは主神じゃなくて大地の女神の加護があるんだよ」


「……なんか納得できます。主神様の正義は我にありみたいな教義に馴染めなくて違和感あったんですよね。」


「え? ああ、そうなんだ。で、改宗(?)とかって簡単に出来るもんなの?」


「ええ、出来ますよ。同じ5大神ですから、ちょっと嫌味を延々と言われる位です。洗礼も受け直しますよ。なんか色々納得出来ました。カーヤさん、私カーヤさんが言う通り直ぐに修行に出ます。面倒見てくれるんですよね?」


 ガシッと私の手を両手で掴んでグイッと顔を突き出してくる。近い近いよ顔が。え? 私が面倒みるの? ちょっと待って、私ソウタで手いっぱいなんだけど。


「え? あ、うん。どうだろう? ほら、私Eランク冒険者だからお金とか持ってないし、下積み中だよ?」


「ええ、ええ。分かっています。多少の持ち合わせがありますから私も一緒に下積みします」


 あれ~。遠回しに断った気がするんだけど人族の言葉だと違ったのか? なんかこのまま流されそうな雰囲気だな。


まあ、パーティーメンバーは探さなきゃいけなかったから好都合? 加護持ちがパーティーメンバーって凄いよね?


 うん。結局流れのまま3日後に『美女と野獣亭』で合流することになったよ。身辺整理とか改宗に洗礼の受け直しとかで3日ほしいんだってさ。どうしてこうなった?

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