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小さな人形の人形劇  作者: おくま
2/4

2 プロローグ 中篇

次の日から雪の生活が少しだけかわっていく


pppppp


「・・・ん」


決まった時間に病室に設置してある掛け時計が鳴る、その音に雪は

気だるそうに起き上がる

頭がまだ起きておらず少しのあいだ、前を見たまま動かない


コンコン


(・・・ああ 回診の時間か)


扉の音に反応して 少し頭が動き出したがどうでもよかったのか

返事もせず動かない


「雪ちゃーん おきてるかい?」


少し時間が空いても返事がなかったせいか 遠慮がちに声を落として

入ってくる


「・・・え あ!!」


いつもと違う声質に反応して扉のほうを向くと、そこには

前日に自分の感情をすべてぶつけた相手

祖母がゆっくりと部屋に入ってきた。


「おばーちゃん! ごめん 寝ぼけてて! 」

「いいの いいの 私ね、雪ちゃんに会いたくてね早起きしちゃってねー、

寝てたかい?」

「んーん 目覚ましがなって起きたとこ!」


雪には部屋に遊びにきたり会いに来てくれた人がいなかった為

どうすればいいかわからない、それと自分に会いに来てくれた嬉しさと恥ずかしさもあり

上半身があっちこっちえ向いて手を上下にぱたぱたと動かしてなにかをしなきゃと

せわしなく動いている

その姿の孫をみて祖母はあまりのかわいさに少し笑みを浮かべて

ベットの横にたち、雪の頭をやさしく撫でる


「ふふふ 私の孫は世界一かわいいわねー」

「・・・あう」


雪は恥ずかしそうにうつむいたまま固まってしまう しかしその手は暖かく

やさしい手だった自分の中がポカポカと暖かくなっていく


「ふへへー」


祖母を見上げて目があうと二人同時に目を細め微笑み会う

祖母はそれを見て満足し 撫でていた手をとめて逆の手に持っている紙袋を雪の前に出す


「雪ちゃん 今日ね こんなのをもってきたのよー」


そういって紙袋から編み物で使う年季がかなりはいったかぎ針とたくさんの色の毛糸をだす

雪はそれを見てテレビで使っていたのを思い出した


「おばーちゃん これ編み物する奴? テレビでやってたのをみたことあるよ」

「ええ そうよー ゆきちゃんよかったらおばーちゃんと一緒に作りましょう

私の編み物が好きでねー 雪ちゃんと作れたらもっと楽しいとおもうの」


そういって自分にかぎ針を渡してくる、初めて実物をもつとおもっていたよりも重く

金のめっきがかなりはがれているが錆びてはなく かなり丁寧に保管使用してきたのがわかる


「その針はねー私の母からもらったものなのよ たくさんの編み物を母からもらってねー

なにかを編んでる姿をみつけたら飛び掛っちゃたりして。

それなにー なに編んでるのーって 私のー?ってふふ せびっちゃててねー」

祖母は懐かしむように針に目をやり少し恥ずかしそうにでも 嬉しそうに昔の話を聞かせてくれた


「やる!! おばーちゃん そして僕が作ったのをおばーちゃんにプレゼントする!」

「あら ほんと!! 雪ちゃんからのプレゼントもらえるの それなら張り切っておしないと!」

「がんばるよー」

「ええ!、あっ そういえば 母が昔不思議なことをいってたのよ」

「不思議なこと?」

「ええ 母が小さい時に人形をつくったらしんだけど その人形が初めての作品でねー

長い時間使ってようやく完成したもんだから嬉しくて ずっと一緒に行動してたって

寝るときも 食事のときも 外に遊び行くときも そして ある日人形に今日は何して遊ぼう?って

話してたら声が聞こえてえたんだって」


(今日は外に出てはダメ!!)


「母は最初だれかわらなくて周りをみわたしたんだけどだれもいなくて お人形が自分に喋りかけて

くれたとおもったみたいで、そのまま 家でお人形とおしゃべりしてたみたいなの そのあとは人形が会話してくれなかったみたいのだけど、

それでその夜にね帰ってきた父が近くのよく母が遊んでいた公園の前の道で交通事故があったらしくてね

時間も遊び行こうとしてた時間のすぐ後だったらしく もし 母が遊びにいっていたら巻き込まれてたかもしれなかったんだって」


僕は祖母が言ってることがあまりわからなかった そもそも人形が喋るわけがなく

もし仮に喋っていたらそれは只のホラーだ

だが なぜだろうそれを全部嘘とはおもえない 祖母の母がどんな人か知るわけもないのに

だけどその年季が入った針をみていたら疑う気持ちがなくなってしまうのだ。


「ふふ まあ 作り話だとは思うのだけど、もしそれが本当なら雪ちゃん

たくさんのお友達をつくって この部屋に大所帯でつくっちゃいましょ!」


祖母が景気よく声を出して僕に編み物を教えだす 教わりながらふと


(友達かー それもいいなー でも それなら)


僕はテレビのほうに目をやると 少し前にやっていたアニメで仲間と様々な場所でたくさんの冒険

をしているのを思い出し そんな 仲間と僕も冒険をしてみたいと思い、見終わったその後に

その主人公を自分に置き換えながらストーリーをつくって想像のなかで自分が勇敢に勇ましく

そして 頼れるたくさんの仲間と物語をすすんでいくのを作ったのをおもいだす


「ゆきちゃん まずは なにつくろうか?」


祖母が僕に悠々ときいてくる。

僕は祖母に「自分を創りたい」 そう願った


「あら雪ちゃんをつくるの いいわねー 私もゆきちゃん人形ほしいわ」


祖母はうれしそうに承諾してくれ 早速基礎知識から教えてくれた



          ーーーーーーーそれから 数日ーーーーーーーーーー


雪は一人で作れるほどに上達をしていた そもそも時間はいくらでもあり

祖母が丁寧におしえてくれていたのですぐに覚えていき、ずっと時間を食事を忘れるほどに

没頭していた、たまに祖母におこられもして

そして 作りはじめ数日ようやく人形が1体完成した 

自分のひざの上自分をモチーフにつくった少し武骨でアンバランスな人形がすわっている

それでも 自分が生まれて始めて一から作ったものがあり 心の中からこみ上げてくる気持ちは

いままで感じたことがないほどに大きなものだった 


(はやく おばーちゃんにみせたいなー)


まだか まだかと扉のほうをみているが 一向にこない


pppppp


いつものアラームがなる いつもならこの時間にくるはずなのに扉は閉まったままだ

今日はまだ 寝てるのかな? そんなことをおもっていたら

隣の部屋が騒がしくなっていた おばーちゃんの部屋だ なにかあったのか?うつむき考えて

ベットが目に入り

そして、自分はすぐに思い出す ”ここは 病院” 

背筋が凍り体が鎖でからだろ縛られてるかのように動かなくなり 動機は激しく心臓の音が耳の中でけたたましく鳴り響き手足の先がしびれるような錯覚を感じる

声は出ず、ただただ 音がしたほうに向いてかたまっていた 


すると 自分の部屋の扉から


コンコン


自分は扉の音に驚いたが そのおかげで少し頭が落ち着いた

肺の中の空気を一気に出し 


「ふうーっ・・・どうぞ」


おそるおそる 返事をした もしかした扉の前にいるのは看護師でその人が

おばーちゃんの・・・


「ごめんねー ゆきちゃん おそくなっちゃった」


祖母だった その姿を見た瞬間に体の力が一気に抜けたベットに横たわる


「あら どうしたの 体の具合悪い? お医者さんよんできましょうか?」


そんな自分をみて勘違いをして心配そうな顔をして額に手をやる その手を自分の手でそっと上にかぶせて


「んーん 違うよ ちょっと隣で音がしてたから心配になっちゃってね」

「・・・ごめんね ゆきちゃん 心配させちゃったねー」

 

祖母は手をそっと離し少し寂しそうな顔を見せた

僕はそれをみて気付いてしまった 気づきたくはなかった だが

やはり さっきもおもおったようにここは”病院”なのだ

その気持ちが顔に出る前に僕は祖母に


「そういえば おばーちゃん これ!!あげる」


そういって さっき完成人形を差し出す 

それをみた祖母の顔がいまにも溶けそうな勢いで崩れていき


「あら? ほんと! もらってもいいのかしら?」

「うん おばーちゃんのためにつくったよ!」

「わー かわいいわねー それに よくできてるわ!世界一の人形 いえ 銀河一ね!!」


祖母は嬉しそうに顔が緩みっぱなしである そのまま緩み続けて溶けてなくなるんではなかろうか


「これは 私の部屋にかざらしてもらうわねー」


そういって 自分の部屋にもどるのを見届けて僕は小さい声で


「がんばったってよかったよー これでおばーちゃんも部屋にもどっても寂しくないねー」


そういって 祖母がかえってくるのを待って 帰ってきたら又人形作りを始める


(次は 冒険仲間を作ろうー いろんな人や動物 そういえばテレビでやって妖怪とかも人でないの

もおもしろそうだなー そうだ 作っていったら名前つけてあげよう そして いろんなストーリー

を考えて人形劇をやろう!!)


僕はどんどん出てくる創作欲に胸を鳴らしながら おばーちゃんと一緒につくっていく


だが 1年後にはその祖母はなくなってしまう もともと 体はよくはなく治すことも不可能だった

なら 残りを孫といたいと願い 父が条件つきで許したみたいだ


最後に会った夜祖母は僕の人形をずっと手に持っていた 大事そうに愛おしそうに

そして 部屋にもどる際そって自分を抱きしめて


「・・・大好きよ ゆきちゃん」


そういって部屋にもどっていき 帰ってはこなかった 

寒くなったり 熱くなったり(´・ω・`)

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