小説家になろうあるある
「ねぇ……ゎたし……ぁなたのことがずっと……」
午前0時。薄暗い部屋の中、か細く震える女の声がこだました。
女の声はいやに禍々しく、蠢く蛾の幼虫ような気味の悪さを放っていた。
「誰だ!誰がいるんだ!?」
男が驚き叫ぶ。咄嗟にベッドから逃げようとするが、女に馬乗りになられ、身動きが取れない。
「ねぇ…………ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ…………」
その女に意識というものが存在しているのかすら分からない。女は手馴れた様子で、骨張った白い手を使い男の首を掴み、締めあげる。
「ッ!?」
懸命にもがくが、その細い体からは想像もつかないほどの強い力に男は圧倒され、最期に力なく、うわ言のようにこう呟いた。
「違う…………俺は……おれは読んでい
「あークソつまんねー。またこんな話かよ。もう見飽きたわ」
そう呟いた男は「小説家になろう」というサイトをさもつまらなさそうに閉じると、スマホをベッド脇に放り投げ、眠りについた。
「ねぇ……ゎたし……ぁなたのことがずっと……」
午前0時。薄暗い部屋の中、か細く震える女の声がこだました。