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突撃☆紅蓮隊!! 1―2. 多勢に無勢を覆せ!

「勇者から魔王に転職したので世界征服始めました」の外伝となります。(略して勇魔王)




カケルメインの冒険は今後外伝として書いていきます。


ここからは紅蓮隊は三人での活動・冒険が多くなるので本編では「こんな事がありました。」位にして外伝で書いていきます。

1階から塔の外周に沿うように時計回りに弧を描きながら上に階段が続いている。

一段毎の高さはそれほどなくて、傾斜は緩やかで僕らみたいな子どもでも上りやすい。


そう言えば、、、二人は何歳何だろう?

僕はつい最近になって結成された紅蓮隊の仲間であるシルフィとウェンディの事を殆ど知らない事に今さら気がついた。


「そう言えば、二人はいくつなの?」

「いくつぅ?」


ウェンディが怪訝な顔を僕に向ける。

どうやら質問の意図が伝わっていないようだ。


「な、何歳かって事だよね?私は11歳だよ。ポンメルン王国のダールの街出身なの。」

「ウェンディも同じ位だと思うにゃ。小さい頃に大じじいに拾われてから9回ケーキを食べたからにゃ!多分シルフィと同じでいいにゃ!同じがいいにゃ!」

「歳は好き嫌いで選べるものじゃないと思うけど面倒くさくなりそうだから、それでいいや。」

「なんだにゃ~、一番年下の癖に生意気だにゃ!」

「な、何で僕が年下だってわかるのさ。」

「小さいからにゃ!」


ウェンディが自信満々な顔で僕の頭をポンポンと叩いた。

何だろう、凄くムカつく。

僕はウェンディの手をパッパと払う。


「ふふ、本当はカグヤ様に聞いておいたのよ。」

「え?」

「あー!シルフィばらしちゃダメにゃ~。」

「アハハ、ごめんね。ウェンディちゃん。」


ウェンディが恨めしそうにシルフィに抗議するが、シルフィはそれを柔らかい感じの笑顔で躱す。


多分、年齢的にはウェンディが一番上何だろうけど、精神的にはシルフィが一番お姉さんって感じがする。

勿論種族の差もあるんだろう。


僕は鬼人族、シルフィが人族でウェンディは猫耳族って言われている。

でも、本当にいたんだな、、、猫耳族。


ウェンディの種族はかなりレアで国のような集合体をもたない民族だって聞いた事がある。

最近は見かける者はおらず、絶滅したとも言われているんだっけ?


「あ、2階についたみたいだね。」


真下を見ながら色々考えていた僕はシルフィの言葉にハッとして顔を上げて正面を見た。

途中で平たい廊下状になり、右手側に扉があった。

おそらくは2階なんだろうけど、階段はまだ先に続いていて最上階を目指すだけならこのまま無視して上に行けば良い。


「カケル君、2階にもやっぱりいるよね?」

「うん、たぶん。」

「全部掃除するにゃ!」


そう、僕らの目的は2つ。

最上階のワイバーンを倒す事と、アルベルトが戻って来る迄にこの塔の〃掃除〃、つまりは塔の魔獣を全て倒しておく事だった。


それが僕ら紅蓮隊に与えられた任務だ。

だから2階を無視して進む訳には行かない。

魔獣がいないか確認しながら上の階に進み、魔獣がいるなら全部やっつけないとダメなんだ。


僕は警戒しながらゆっくりと2階の扉を開いた。

1階と同じように真っ直ぐに奥まで続く廊下、ただ、奥に部屋はなく、塔の端から端まで貫いていて奥には綺麗に装飾された窓が夕陽を取り込んでいる。

そして左右にいくつかの扉があり、おそらくは塔に来た身分の高めの人の為の来客用の部屋だったんだろう。

塔の広さに対して部屋数は左右合わせて六部屋位だから相当広そうだ。


まず、左手前の部屋から開けて中を確認する事にした。

ゆっくりと音を立てないように扉を少し開けて中を伺う。


中も豪華な装飾と高そうなベッド。

遺跡であることを忘れさせる程に綺麗にされている。

窓から射す光で部屋の中は明るいが、廊下と違ってランプなどの光は消えている。

中に魔獣がいない事を確認すると扉を大きく開き室内を見渡した。

この先で使えそうなものがないかを確認するが、めぼしいものはない。


次の部屋をチェックする為に扉を締めようとした時だった。


バンッ!!


「うぇ!?」


大きな音がなりビックリしてそちらを振り向く。


「あぁ、、、ウェンディ、、、。」


ウェンディが何の警戒もなく扉を開けてしまっていた。

音に反応した中の住人、魔獣がこちらに注目している。


「ウェンディ、一旦下がるよ。」


僕はウェンディの手を掴んで下がらせる。

その時、廊下の奥からも気配を感じて振り向くと、他の部屋からも魔獣やゴブリンが扉を開けて出てきていた。


僕らが開けた部屋からも大きな虫型の魔獣が4匹位がゆっくりとこちらに向かって来ている。


「か、カケル君!どうしよう!」


数にして10匹はいる!

全部を一気に相手には出来ない。


『多勢に無勢?なら一対一に持ち込んで戦えばいいよ。』


アルベルトとエルフの王国レイグランドに向かう道すがら、修行と称して魔獣の巣に放り込まれた時の事が頭をよぎる。


僕は咄嗟に周囲の状況を確認した。


「シルフィ、ウェンディ!ドアの外まで走れ!」


そう叫んでから、掴んでいたウェンディの腕を引いてドアの外に走るように促す。


「にゃう~」


ウェンディは不満気に喉を鳴らすが無視して背中を押してドアの外に押し出す。


「グガガガー!」


ゴブリンがこちらの動きに気づいて大声を上げて僕らの方に走ってきた!


「ウェンディ!早く!」

「ウェンディちゃん!」


僕らの声に押されるようにウェンディがドアの外に出たのを確認すると、僕はドアの入り口真ん中に陣取った。


「シルフィ!強化をお願い。ウェンディは影手裏剣で遠隔攻撃お願い!」

「はい!」

「行け~!影手裏剣にゃ!」


シルフィの魔法で強化された影手裏剣が廊下奥の魔獣達に突き刺さる。


「ぐぎゃー!」 

「させない!お前みたいにキモいのが女の子に近づくな!<<挑発>>」


ゴブリン達に挑発をかけ続けて自分に注目させる。

僕は、ゴブリンや虫魔獣達が襲いかかるが小枝剣を振り回しながら、彼らが決して僕の後ろに行けないように邪魔をしていた。


時折喰らう攻撃もシルフィの回復魔法で耐えながら、その間にウェンディの影手裏剣で一匹また一匹と魔獣が倒れていった。

どれだけ耐え続けただろう。


目の前で棍棒を激しく振り回していたゴブリンがついに力無く後ろに倒れる。


それまでの喧騒が一転して静寂に、包まれた。


「お、おわった?」

「うん、この階にはもうなにもいない。カケル、良く頑張ったな。」


僕は行きも絶え絶えに、誰にというわかけでなく確認の声を上げ、それに応えた声に安堵してその場に、へたりこんだ。


「ありが、、、とう?」


その声に礼を言おうとして気づいた。

明らかに聞こえた男の声。


アルベルトのような優しい保護者的な声だった。

僕は咄嗟に立ち上がり、身構えながら辺りを確認する。

でも、誰もいない。

いるのはシルフィとウェンディ。

男の声の主はいないか。


どうやら疲れきってアルベルトの幻聴が聞こえたようだ。


「一度、1階に戻ってやすまない?」


そんな僕の提案に、二人は首を何度も縦に振って同意した。

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