#69 カピエトラの街
カロンさんの合格祝いも兼ねて、新たな領地となったカピエトラの街に旅行することにした。温泉があるから、きっとそれなりの観光地だろう。どうせならと、一泊二日で行くことにした。
ただ、車で3時間はきついので、例によってエイブラムの商社の機体を借りる。
そろそろ自家用に航空機を一機買ってもいいかな。6人乗りのプライベート機なら、今の収入で買えないことはない。
宇宙港に行き、商社の機体のある場所に向かう。宇宙港にロビーで、ばったりとエイブラムに出会う。
「おや、ダニエルじゃないか。どこに行くんだ?」
「新たな領地に行くんだよ。」
「領地?また領地をもらったのか?今までたいして運がなかったお前が、この星に来てから絶好調だな。」
「まあ、いろいろあってね。カピエトラという街に行くんだ。」
「ふうん…聞いたことないな。どこにあるんだ、その街。」
「王国の南のクワエラ山地の麓だ。なんでも、温泉街だと聞いている。」
「なに!?温泉!?」
急に温泉に食いついてきた。また何か閃いたのか、この男。
「おい、俺もついて行っていいか?」
「なんだ、うちは4人、お前のところは3人。この機体は6人乗り。2人分足りないぞ。」
「赤ん坊は抱っこすればいいだろう。一応うちの会社の機体なんだぞ?連れて行ってくれても問題あるまい。」
ということで、私は渋々了承する。
「こちらラッセル社所有の航空機、登録ナンバー1143。離陸許可願います。」
「こちら管制塔。高度2000での飛行を許可、ただちに離陸されたし。」
ゆっくりと浮上する航空機。そういえば、私が自分で航空機を飛ばすのは久しぶりだ。軍ではすっかり飛ばなくなった。
「いやあ、こういうとき便利だな。友人にパイロットがいるというのは。」
「それはそうとエイブラム、お前、あの空港で何か用事があったんじゃないのか?」
「いや、お前がこの機体の予約を入れてるのを見て来ただけだ。何かあるんじゃないかと思ってね。」
なんだ、最初からこっち狙いだったのか。どおりで都合よく現れると思った。
車で3時間の距離だが、航空機ならわずか10分ほどで着く。アイリーンとダリアちゃんが窓の外を見て喜んでるうちに、もうカピエトラに到着だ。
人口2万人のこの街。小高い丘の上に少し赤みのかかった屋根の建物が立ち並ぶ。中央には噴水のある広場があり、それを円形で囲むように街が作られている。
温泉街ということだけあって、あちこちに露天風呂が見える。ついでに、中にいる人も…あ、いや、こっちは見えなかったことにしておこう。
噴水広場の横に機体を着地させる。突然舞い降りてきた航空機を、街の人は珍しそうに眺めている。車も時折走ってはいるが、どちらかというと馬車の方が多い。ここはまだ中世の雰囲気が色濃く残る場所。王国の民族衣装を着た人々が多く行き交う。
しかし、街というだけあって人は多い。ダミア村やミリア村とは大違いだ。4、5階建ての宿が何軒もあり、広場の周辺には店もたくさん立ち並ぶ。
さて、まずは近くの人に町役場の場所を聞き、行ってみることにした。
町役場は、広場から少し奥に入ったところにある3階建ての建物。扉を開き、中に入る。
ドアに付けられた鈴がなり、その音に気づいた中の人がこちらへ振り向いた。
「あ、いらっしゃい。」
「ええと、カピエトラの町役場はここでいいんですよね。」
「そうです。どちら様で?」
「ダニエルって言います。」
「ダニエルさん。どのようなご用件でしょう?」
「ええとですね、どうやら私、ここの領主ということになってるらしいのですけど…」
私はそおっと男爵の紋章を見せる。これを見たその職員風の男は、急に血相を変えて立ち上がる。
「ええっ!?新しい領主様!?ちょ…ちょっとお待ちください!」
そう言って、奥の部屋に走って行ってしまった。しばらくすると、先ほどの男ともう1人別の初老の男性、それに女性1人が現れた。
「ダニエル男爵様、ようこそカピエトラの街へ!私はこの役場の長、ゴディバと言います。」
「はあ、ゴディバさん、よろしくお願いします。」
「こんなところで立ち話も何ですから、どうぞこちらへ。」
我々は、奥にある応接間に通された。見たところ、ここはすでに電化がされており、天井の照明が部屋を明るく照らしている。
「ところで男爵様。今日はどのような御用件でお越しになられたのですか?」
「ああ、カピエトラの街をまだ見たことがなかったので、一度来てみようと思ってですね。」
「そうですか。いや、是非ご覧ください。いい街ですよ、ここは。120年前に当時の国王陛下がここを訪れて、戦いの疲れを癒されたことから、この街が作られることになりまして…」
ゴディバさんから街の歴史が語られる。ここは傷や疲れを癒すのに最適な温泉らしくて、王国のみならず、帝国領内からも訪れる人が多いという。
王国の南に位置していることもあって、冬でも比較的暖かい。それで冬には王国貴族がよくいらっしゃるそうだ。
ところで、さっきからゴディバさんの横に立っている女性が気になる。小綺麗なワンピースを着て、おとなしく控えている。
「というわけで、是非ご領主様もこの温泉をお楽しみください。お供はこちらのレアが勤めさせていただきますゆえ、どうぞよしなに。」
「レアです。よろしくお願いいたします。」
さらさらとした長い髪をたなびかせ挨拶をするこの女性は、レアさんというそうだ。
「この女、実は二等魔女でしてね。」
「ええっ!?魔女さんだったんですか?」
「そうです。ちょっと彼女の技をお見せ致しましょう。」
そういうと、奥から水の入った大きな桶が運ばれてきた。その桶に両手をすっと入れるレアさん。
すると、桶の真ん中の水が盛り上がってきた。そのままレアさんが両手を持ち上げると、手の中に水の球ができた。
こぼれることなく浮かぶ、まん丸な水の球。なるほど、二等魔女の魔力にこういう使い方もあったのか。これはすごい。
そのまますっと桶の中に水を戻すレアさん。それを見たマデリーンさんが叫ぶ。
「何、今の!?面白そう、私もやる!」
そういうと、マデリーンさんも桶の中に手を突っ込んだ。
両手をゆっくりあげると、レアさんと同じように水の塊が手の中にできる。が、とても「球」とは呼べない。まるで空中に浮かぶアメーバだ。
「あれ?綺麗な球にならない。案外難しいわね、これ。」
「ああ…このような技ができるとは…そうだ、男爵様の奥様は、王国最強の魔女、マデリーン様でいらっしゃいましたね。魔女としては初めて、一等勲章を授与されたとか。」
よく知ってるな、ゴディバさん。一等魔女ゆえに、二等魔女と同じことはマデリーンさんにも可能だ。
「ですが、この技は少々難しいですぞ。なんども練習をせねば、ここまで綺麗な球を作ることはできません。」
「えーっ、そうなんだ。じゃあ、私もちょっと練習してみようかな?」
面白いけど、あまり役に立たないからそんなことしなくていいよ、マデリーンさん。しかしこの技、なぜ練習してまで体得する必要があったんだろうか?
「この技で、レアがご領主様の背中を洗い流して差し上げます。どうか、お楽しみ下さい。」
…なんだって?私の背中を流す?
これでピンときた。レアさんにお風呂で男性相手をさせるために、この技を身につけさせたのか。
「あの…ここの温泉風呂って、混浴…なんですか?」
「いえ、そんなことはございません。ただ、ご領主様をはじめとする貴族様のために、特別なお風呂をご用意しております。」
ああ、そうなんだ。で、そのお相手がこのレアさんというわけなんだ。
ゴディバさんとの話は終わり、レアさんに連れられてとある宿に向かう。
その宿とは、貴族専用の宿。泊まりがけで来るつもりだったから、宿があるのはありがたいけれど、なんとなく後ろめたい。
というのも、さっきから私の背中にマデリーンさんとカロンさんの視線を感じる。言いたいことは、なんとなくわかる。
「あの、先ほどゴディバ様もおっしゃってましたが、ご領主様の奥様はあのマデリーン様何ですか?」
「そうですよ。王国最強の魔女、雷光の魔女などと言われてますが。」
「そうよ!私はマデリーン!王国最強にして勇者!人呼んで『雷光の魔女』よ!」
「ああ、やはりあのマデリーン様でしたのね。ここでお会いできるとは、とても嬉しいです。」
やっぱり魔女界の憧れの的なんだな、マデリーンさん。時々勝負を仕掛けるやつもいるけど、概ね魔女には感激されるケースが多い。
それを聞いた、かつてマデリーンさんに挑んだ魔女が口を出す。
「マデリーンだけじゃないよ、私だって魔女なんだから!」
「あんたは瞬発型の魔女でしょ?そんなんじゃ最強は名乗れないわよ。」
「いいじゃない!これでも『石火の魔女』って言われてたんだから!」
それはあまり褒め言葉ではない意味の呼び名だ。しかも、知る人ぞ知るというレベルの呼び名。残念ながら、レアさんは知らなかった。
そんなやりとりをしながら宿に着く。そこは見るからに貴族向けの立派な宿だ。我々は中に入る。
「お部屋に案内いたします。そのあと…すぐお風呂になさいますか?」
「ええと、せっかくの温泉だし…ところで、マデリーンさん達はどうするの?」
「…入るに決まってるでしょ。あんたも、早く入りたいんじゃない?」
うーん、気まずい。私にそういう意思がないことを示さねば。
「そうだ!レアさん、マデリーンさんにあの技を教えてあげて!」
「えっ!?」
「その方がマデリーンさんも喜ぶよ。そうしよう!」
半ば強引に、レアさんをマデリーンさんに押し付けてしまった。
結局、私はエイブラムのやつと2人っきりで男風呂に入る。
「なあ、ダニエル。」
「なんだ?」
「レアさんにこっちに来てもらった方が、よかったんじゃないか?」
「そりゃお前の願望だろ。私はいいよ。これで。」
とはいえ、男2人きりで楽しくもない風呂で、正直言って何しにこの温泉街に来たのか、分からなくなっている。
だが、元々の4人で来たところで、私はやはりここに1人で入る羽目になっていたわけだ。エイブラムが1人増えただけ。そう思えば、私はいったい何を期待して温泉街に来たのだろう?
「ところでさ、ダニエル。」
「なんだ。」
「この領地も、うちの商社が絡んでもいいか?」
「なんだよ、ここにはロヌギ草はないぞ。」
「いや、温泉が欲しいんだよ。」
「温泉?なんだ、温泉卵でも作るのか?」
「いや、リゾート地が欲しいんだよ。地球401人向けの。」
最近この星に地球401の観光客が増えつつあるようで、観光地やテーマパークなどに手を出そうとしてるらしい。
ところがだ。例によって領主との交渉が難航して、うまくいっていないらしい。で、ちょうどいい領地を手に入れた私に食いついて来たというわけだ。
「ふーん、商社ってのは観光業もやるのか?」
「資源と名のつくものには手を出すんだよ。ここの温泉はまさに観光資源。我が商社にはうってつけの場所さ。」
まずいくつかの宿と提携して、王都とカピエトラを結ぶ定期バスを増便させ客を呼ぶ。そこに地球401の観光客を連れてくるそうだ。
「それにしても、あの二等魔女のあの技はよかった。あれはこの観光地の目玉になる。地球401の人間には受けるぞ!こうなったら王国中の二等魔女を集めて…」
「おい!」
「なんだ。」
「ひとつだけ条件をつけさせてもらう。地球401向けの宿の風呂は、男女別にすること。二等魔女を男風呂に入れるな。これが受け入れられなければ、私は承諾しない。」
「はあ!?何言ってるんだ。別に地球401の温泉街でも、こういうサービスはよく見られるぞ。今さらきれいごとを言ったって、しょうがないだろう。」
「自分の領地だ。できればそのきれいごとを通したい。」
「ふう…相変わらず堅いな、お前は。分かったよ、あの技は別のことに使うとするさ。」
私はここをいかがわしい場所として売り込むつもりはない。地球760の貴族向けには今更どうしようもないが、できれば地球401の人向けには、家族が安心してくることができる健全な場所にしておきたい。
風呂から上がると、マデリーンさんやミリアさん、それにレアさんやカロンさんがすでに部屋に入っていた。
「いやあ、難しいのね、あれ。私はちっとも丸くできないよ。」
「やってるとだんだんコツがわかってくるんですよ。マデリーン様ほどの魔女なら、もっと大きな水球を作ることができますよ。」
「いやあ、楽しいわ、この温泉。家に帰ったらもっと練習しよう。」
「いいですね、魔女の方々は。私にはできませんね、そういうのは。」
「いいじゃない、カロンは。学問ってやつを学んで、私らじゃできないことをやるんでしょ?」
すでにミニ女子会になっている。嬉しそうに話す彼女らの横で、アイリーンとダリアちゃんが遊んでいる。
アイリーンはガラガラをつかんで投げる。それが面白いのか、ダリアちゃんはげらげらと笑う。釣られてアイリーンも笑う。何がそんなに面白いのか分からないが、とにかく小さな子供はよく笑う。
レアさんもすっかりうちの女子らに染まっている。どちらかといえばおしとやかな性格の魔女。聞けば、せいぜいバケツ一杯の水を持ち上げられるほどの、普通の二等魔女らしい。
それでもあの技ができるのだ。目的はともかく、なかなかのアイデア。よく考えたものだ。
夜になると、下にある食堂に案内された。そこで出されたステーキが、なんと「ミリア牛」だった。
「これはミリア牛と言いまして、王国内で作られた高級肉でございます。遠く北西にあるミリア村というところから取り寄せておりまして、かの国王陛下も…」
シェフが今日の料理の説明をしてくれている。が、このシェフ、まさかそのミリア牛を生み出した張本人とそのミリア村の領主、およびイメージキャラをやっている魔女が目の前にいるとは、夢にも思うまい。
レアさんはミリア牛を食べるのは初めて。その不思議な食感と味に感動していた。それにしても、幸せそうに食べる人だな。
食事が終わると、レアさんは自宅に帰っていった。22歳のレアさんは、多くの魔女と同じく16歳で家を出て、この温泉街で1人細々と暮らしていたらしい。
最初は魔女であることを伏せて、宿で使用人として働いていたが、あるとき水球を作って持ち上げているところを見つかり、宿主に追い出されそうになった。
そこにたまたま居合わせたゴディバさんが、これを見て急に新たなサービスを思いついたらしい。そこに私が現れたというわけだ。
なんだ、あの技はレアさんのアイデアだったのか。この話を聞く限りでは、まだレアさんだけしかできないようだ。ということは、まだここでは魔女のよるいかがわしいサービスは行われていない。でも、私が王都に戻れば、レアさんは…
その日は宿に泊まり、翌日はまた温泉に食事を堪能。広場の横にある店を回って、木彫りや編み物といったお土産を買い、我々は家路につく。
帰る前にゴディバさんに挨拶だけしようと、町役場に立ち寄る。
「ご領主様、またお越しください。つきましては、今回の上納金です、どうか査収下さい。」
と言って袋を渡された。明らかに、お金が詰まっている。
そういえば、貴族と領地の間ではこういうやりとりがあると聞いたことがある。領主にお金を渡す代わりに、その領地を実質的に仕切る人物の多少の悪さにも目こぼしをしてもらうためだという。
私は受け取りを拒否した。このお金を町の近代化に使って欲しいとだけ言い残し、私は航空機に乗り込む。
「いいのか?せっかくだから、もらっておけばよかったのに。」
横でエイブラムが言う。
「いや、ああいうお金は受け取れない。私はそういう星から来たんだ。」
「そうか、相変わらず堅いやつだな。」
私なりの領地経営だ。他の星ではよく見られることだが、将来もしかしたら領地を取り上げられるかもしれない。そう思うと、あまり領地に頼った生活はしたくない。それ以上に私の倫理観が許さない。
せめて私がここの領主でいるうちに、この街が発展してくれるよう願うだけだ。その方が、私にとっても良い方向に行くように思う。
そして、カピエトラの街から帰ってきて2日後のこと。
あと3日で高校生活が始まるカロンさん。その高校の制服が今日届いて、ちょうどリビングでカロンさんが我々の前で着て見せてくれていた。
紺のブレザーとスカートにベージュ色のカッターシャツという組み合わせ。シャツが白じゃないのは、王都でよく見かける民族衣装の色に同化させるためだ。この格好は王都では目立つ。少しでも目立たないようにという工夫がされている。
その時突然、玄関の扉を叩く音が聞こえる。ドアホンではなく扉を直接叩くとは、少なくとも地球401出身者や王都の人ではない。
こんな時間に誰だろうか?まさかとは思うが、貴族の家を狙った強盗の類いかもしれない。一瞬緊張が走る。だがモニターを覗くと、そこには女性らしき人しかいない。
私が玄関に出た。扉を開けると、そこにいたのはレアさんだった。
「あれ、レアさん?どうしてここにいるの?」
私はレアさんに尋ねる。すると突然、彼女は目をうるうるさせた。
「…あのですね、私、ご領主様を満足させるまで帰ってくるなと言われて…それで王都にたどり着いて、やっとお屋敷を見つけたんです…」
なんだ?いったい何があったのか?私はレアさんをリビングに連れていく。マデリーンさんとカロンさんも驚いてレアさんを迎え入れる。
カロンさんが制服姿のまま、お茶を入れてくれた。それを飲むレアさん。
少し落ち着いたのか、レアさんはゆっくりと話し始める。レアさんが突然ここに来た理由、それは、私が上納金の受け取りを拒否したことだった。
このためゴディバさんが焦ったらしい。そこで、レアさんが温泉風呂で私の相手をしなかったのが悪いということになって、レアさんを送り込んで来たというわけだ。
あの街と王都の間には1日1回だけバスが往復している。これに乗ってはるばる王都までやって来たものの、私の屋敷がわからず探し歩き、やっと今たどり着いたという。
なんてことだ、まさかこんな事態になるなんて。私の判断は甘かったようだ。
かと言って、私はレアさんをどうこうしようとは思わない。だが、どうしたものか…
するとマデリーンさん、突然こんなことを言い出す。
「あのさ、思うんだけど、このままレアをうちの使用人にするっていうのはどう?」
「えっ!?使用人?」
「どうせこれから探すところだったんでしょう?だったら、レアを雇った方が早いじゃない。」
なるほど、悪い話ではない。元々宿屋で働いていたというし、広い屋敷を手入れしてもらうには適任だろう。
「でも、レアさんはどうなんです?カピエトラの街から王都に移っても大丈夫?」
「はい、それで領主様がご満足なら、私はいいです。」
「じゃあ決まりだ。ゴディバさんには書簡を送ってこのことを知らせることにする。今日はとりあえず屋敷の中の適当な部屋で寝てもらって、明日ちゃんとした住処を用意しよう。」
マデリーンさんの思いつきで、レアさんをカロンさんの代わりの使用人として雇うことになった。
また新たな家族が増えてしまった。まあ、賑やかな方がマデリーンさんが喜ぶし、どうせ部屋はたくさん余っているし、収入も増えた。こうして、この屋敷にまた一つ新たな風が舞い込んだ。




