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#56 ラナ准尉

翌日からしばらく特別休暇が貰える。性に合わない艦長職から解放された。さあ今日はぐっすり寝るぞ、と思っていても、カロンさんは容赦なく朝7時に起こしにくる。


朝食を食べながら、マデリーンさんにラナ准尉の話をした。


「はあ?軍人さんが私に?何の用かしら。」

「さあ…そこまでは聞けなかったから、よく分からないなあ。」

「その女性士官ってどんな人なのよ。モイラさんみたいな感じ?」

「いや、これが仕事一辺倒で、なんていうか、硬い感じの人だよ。」

「ええっ!?なにそれ、私そういうの苦手!」

「実はあんまりいい境遇の人じゃないみたいなんだ。マデリーンさんだから話しておくけど…」


参考までに、彼女が子爵のご落胤だってことを話しておいた。


「まるでエドナのような話ね。そんな人なんだ。」

「エドナさんほど悲惨な話ではないけれど、それでも彼女、なんとなく負い目を感じているんじゃないだろうか?わざわざ軍に志願してきたんだよ。」

「ふうん、そうなの。でも、そのまま侍女としてやってりゃよかったような気もするけどね。」

「あのぉ、ダニエル様。何ですか?ご落胤って。」

「ああ、ご落胤っていうのは、正式に認められていない子供のことで、この場合は貴族が自分の侍女に産ませた子供のことを言ってるんだよ。」

「へえ、そうなんですか。それって、例えばダニエル様が私に…」


カロンさんは何かを言いかけて、急に顔を真っ赤にしてそのままふさぎ込んでしまった。マデリーンさんは私をにらみつけてくる。いや、私は用語の説明をしただけです。何もしてませんてば。


ともかく、そういう人が近々くるかもしれないと、マデリーンさんに話した。


しかし、そう話した直後に、彼女はやってきた。


いくらなんでも朝早すぎだ。かと言って返すわけにもいかず、リビングに上がってもらう。


こんなに朝早くから来客があるだなんて思ってもいなかったので、奥でバタバタと着替え中のマデリーンさん。その間に、カロンさんが紅茶を持ってくる。


なんだか、深刻そうな面持ちだ。高々魔王シリーズの話で盛り上がりにきたわけではなさそうだ。マデリーンさんに何を話すために来たのだろう?


ようやく、マデリーンさん登場。


「私がマデリーンよ!何?私に用って?」

「私はラナと言います。今は防衛艦隊の軍人をしており、先日は少佐殿の指揮のもと、訓練に参加させていただきました。」


自己紹介からして硬い感じの人だ。だが、ここから意外な話をし始める。


「実は私ですね…ある子爵様のご落胤なんです。」


こういう話を本人がするとは思っていなかった。私が彼女の経緯を知ったのは、軍の人事情報ファイルに書かれていたからであって、乗員のほとんどは彼女がそういう人だとは知らないし、本人も話さない。なぜそんな話を、急にマデリーンさんにするのか?


「そ、そうなんだ。そういう人もいるわよね。」

「ただ私は旦那様には大事にしてもらいましたし、そのことで特に負い目を感じているわけではないんです。」


あれ、そうなんだ。じゃあいったいなんで軍に志願したりしたんだろうか?


「ですが私、母のような生き方はどうしても嫌なんです。あのまま召使いとして生きるだけの人生なんてまっぴら。だから私、軍に志願したんです。」

「ああ、そうなの…」


彼女がなぜ軍に入ったのかはよく分かったが、そんな話を、マデリーンさんにされても困る。うちの魔女は軍人ではないし。


「で、その、マデリーン様にお会いしてお聞きしたかったのはですね…マデリーン様は、王国一の魔女ですよね。矢よりも速く飛び、まるで雷光のようなその速さから『雷光の魔女』と讃えられたという伝説の魔女だと伺ってます。」

「そうよ!よく知ってるわね、私こそ伝説の魔女マデリーンよ!」

「さらにその後、地球(アース)401で悲嘆にくれた1人の人を救い、ビル上の救世主と言われてるんですよね。」

「ああ、そうね。そういうこともやったわよ。」

「さらに地球(アース)769でも学生さんを救い、しかもその帰り道に異世界で魔王を倒した勇者となったとか。」

「よく知ってるわね、そんな話まで。」

「そこで、マデリーン様にお聞きしたいのです。どうやったらこれだけの功績をあげられるんですか?何をしたら、私もマデリーン様のように立派な功績をあげることができるんでしょうか?」


ついにラナ准尉の本心が見えた。そうか、彼女もしかして、有名になりたいのか?


「魔王シリーズの勇者のように、最後に魔王を倒して名をあげてみたり、誰かを助けて名誉を得たりするのが私の夢なんです!でも、どうしたらいいか分からなくて、ただ仕事に没頭するだけしかできないんですよ。このままじゃ、結局私は侍女と変わらない人生を送るだけ。これじゃ、せっかくお屋敷を出たのに、なんの意味もありません!」


と言って泣き出してしまった。なだめるマデリーンさん。


「そんなに思い詰めなくてもいいって。きっといいことあるよ。私だって気がついたらこうなってただけで、別に功績をあげようと思ってやったわけじゃないのよ?」

「すいません、私ってば、ついご迷惑を…」


カロンさんがハンカチを持ってくる。目を拭うラナ准尉。


「要するにさ、あんた、自分がこの世に生きてるって証が欲しいんじゃないの?誰かの道具のような人生じゃなく、自分が立派に生きてきたっていう証が欲しいから、功績だの名誉だのと言ってるんじゃないの?」

「はい、多分そうだと思います。」

「だったら、今の仕事を一生懸命やればいいんじゃない?きっといいことあるって。」

「そうなんでしょうか?一生懸命やってはいますが、このままだと私、レーダーサイトに吸い込まれてしまいそうで…」

「それはさ、一つのことに集中しすぎなのよ。それじゃダメね。仕事熱心なのはいいけどさ、それだけじゃ人間としての幅が足りないのよ。何かをやりたかったら、いろいろなことに手を出して、いろいろな人に会ってみること。そうすればきっと何かを得られるわよ。」

「そうなんでしょうか?でも私、全然人との関わりがなくて…」

「じゃあさ、私んとこの女子会に入る?」

「女子会、ですか?」

「そう、いろんな人がいるわよ。魔女に貴族に軍人に侍女に奴隷まで。明るいのから暗いのまで、いろいろよ。あんたならぴったりの会よ。」

「そ、そうですか?じゃあ、入ります。」

「じゃあね、ここにメールを送って。そしたら…」


さすがはマデリーンさんだ。さらっと彼女をうまく丸め込んだ上に、女子会に誘ってる。こういう度量の大きさは、王国最強の魔女だけのことはある。


「これでよし!でね、月に2、3回、ショッピングモールのフードコートで昼食会をやるのよ。今度いらっしゃい。」

「は、はい。でもよろしいのですか?私のようにご落胤の娘が行っても…」

「何言ってんの、ご落胤で奴隷だったって人もいるわよ、うちの女子会。」

「ええっ!?ど、奴隷って…本当にいるんですか?」

「ご落胤くらい、うちの女子会じゃたいしたことじゃないわよ。だいたい、さっきからあんたの横にいるこの娘、カロンも奴隷だったんだから。」

「ええっ!?この侍女さんが!?なんでまたマデリーン様のお側に…」

「今の私ね、実はとんでもない強敵を抱えているのよ…軍勢を翻弄し、魔王すら倒したこの私ですら手に負えなくて、ついにカロンの手を借りなきゃいけないほどの敵に出会ってしまったわ。」

「…何でしょうか、その強敵というのは。」

「…つわりよ。」

「つわり!?って、あの、妊婦の方に見られる、あれですか?」

「そうよ、私の中にいる子供が、王国最強の魔女をここまで苦しめてくるのよ。きっと宇宙最強の魔女が生まれるんだわ。だから私、カロンの手を借りて戦ってるのよ!」

「そ、そんな壮絶な戦いをされていたんですね…さすがはマデリーン様。今回も勝利なさってください。」

「当然よ!簡単に負けないわよ!私。」


相変わらず調子いいなあ。つい最近までソファーの上でぐったり寝そべっているマデリーンさんの背中をカロンさんがさすっていたのだが、あれが魔王以上の戦いだと言うのか?


こうして、ラナ准尉は帰っていった。


「なんだかすごい方でしたね…」


カロンさん、ラナ准尉の情熱に押されて、少し気疲れしたようだ。


「いやあ、またメンバー増えたわ!カロン!早速、臨時会報作るわよ!新メンバー紹介って表題で、本文は…」


今度はマデリーンさんに振り回されるカロンさん。大変だなあ、こんな魔女の世話人になったばかりに、矢継ぎ早にいろんなことをやらされる。


さて、我々3人は早速ダミア村に行ってみる。すっかりご無沙汰だったので、せっかくの休日だし、行ってみようということになった。


車で30分走ると、ダミア村が見えてきた。


ダミア村には今、大きなサイロが建てられた。ここで作った大麦、小麦を備蓄するためらしい。


このサイロ、そのまま空中に浮かぶことができる。飼料が必要になったら、ミリア村までひとっ飛びだ。


農場も機械化が進んで、作物の密度を高めている。品種改良型の小麦を投入して、一面小麦畑にしていた。


以前は小麦と大麦・豆類と休耕地を入れ替える農法だったが、品種改良作物の投入と肥料の導入で、休耕地をなくしてしまった。小麦も短期収穫型で、春は大麦や大豆、夏に小麦を植えるという。


もうダミア村は、エイブラムによってここまで改良されてしまった。今さら引き返せない。でもおかげで収穫量は倍増し、収入も増えて、村は活気付いている。


なお機械の導入により、ペネローザさんは不要になった。もうブラック企業に専念してくれとのお達しだ。ペネローザさんにとっては負担が減っていいのだが、ペネローザさんのこれまでの貢献を思えば、なんだか少し寂しい気もする。


村に到着して、マデリーンさんとカロンさんは村の中を少し散歩をする。私は、畑のそばにいたおばあさんとしゃべっていた。


「領主様、お子さんが生まれるんだって!?」

「ええ、まだ先のことですけど。」

「そらぁえがったね!やっぱ男の子がええんかいの?」

「いや、まだどっちか分かりませんね。マデリーンさんは魔女じゃないかって言ってますが。」

「おお、魔女ね!ええよ魔女も!」


ダミア村の人は、相手に合わせてしゃべる習慣がある。話し相手をあまり否定しないで、相槌を打ってくれる。だから、いったいこのおばあさんは、男の子がいいのか魔女がいいのか、よくわからない人になってしまった。


それにしても、この村はのんびりしている。電化は進んだが、日が暮れると今まで通りさっさと寝る人が多い。翌朝は、日が登るとともに起きて活動する。


それにしても若い人が多いのか、くるたびに婚姻届にサインをしている。今日も2組のカップルの婚姻届を受け取った。事務所で署名し、事実上ここを仕切っているパジアーノさんに渡した。


「いやあ、男爵様が領主様になられてもうすぐ1年になりますが、ここも変わりましたね。」

「ええ、気がついたらエイブラムのやつが好き放題やってて、随分と変わっちゃいましたよね。」

「おかげで、若い人が村から出て行かなくなったんです。それどころか、近頃は若い人が戻ってきてるんですよ。以前は王都に憧れてすぐに出て行ってたんですけどね。お風呂や調理機ってものが普及して、王都に負けないくらいの快適な生活ができる上に、住み慣れた場所ですからね。むしろここにいた方がいいって思ってくれるんです。王都に行きたければ、今はバスでいけますし。」


そう、今は王都までバスが走っている。ダミア村の向こう、ミリア村をさらに超えたヴェスミア王国の王都リバイラスから、こっちの王都まで、バスが開通したのだ。


無人バスで、1時間に1本しかないが、料金も安いし、2時間もあれば王都同士を行き来できるとあって、わりと利用者が多い。


その通り道に、このダミア村とミリア村が含まれている。この村にも、最近はこれに乗って王都まで働きに行く人もいるという。


だが、住環境がいくら変わっても、この村ののんびりとした雰囲気は変わらない。大型の農業機械がバリバリと音を立てて動いているそのそばで、呑気に日向ぼっこをしながら、干し芋のようなものをかじっているおじいさんがいたりする。そんな村だ。


そんな雰囲気に飲まれて、マデリーンさんとカロンさんは、バス停横にある自販機コーナーで、椅子に座ってのほほんとジュースを飲んでる。2人してぽけーっとした顔で遠くを眺めていた。


2人の目線の先には、鶏がたくさんいた。これは「ミリアチキン」として売る鶏らしいが、産地偽装じゃねえかとエイブラムに言ったら、ちゃんと出荷前にはミリア村に持ってくから大丈夫だと言っていた。その産地偽装のグレーゾーンをさまようチキンの材料達が、地面に落ちた餌をついばんでる様子を2人は見ているようだった。


しかしそんなもの、見ててすぐに飽きないのか?と思ったが、私もその辺に座って見ていたら、これが結構とりこになる。鶏というものは案外動きが面白くて、見てて飽きない。思わず、私もこの村の雰囲気に飲まれてしまう。


結局、1時間ほど私も日向ぼっこをして、3人で我が家に向かう。心なしか2人からは、香ばしい太陽の香りがしてくる。


翌日。ダミア村で精気を養ったのか、マデリーンさんはカロンさんを連れて女子会に向かう。1か月ぶりに招集をかけたそうだ。おそらく、カロンさんとラナ准尉の紹介をするのだろう。


女子会をする日は、マデリーンさんは夕方まで帰ってこない。1人でいるのもなんだから、こっちは「男子会」を招集する。


もっとも、男子会というものが正式にあるわけではなく、会報などを発行しているわけでもない。ただ、女子会に対抗して結成されただけの集団に過ぎないから、夫婦喧嘩と言った緊急時以外でもないと結束が緩い。


このため、私の呼びかけに応じたのはローランド中佐とアルベルト中尉、ワーナー中尉にジェームス中尉。そして、どういうわけかトビアス大尉もやってきた。


それにしても、ここは軍人ばかりだな。女子会は魔女に貴族に奴隷までいるというのに、こっちは偏りすぎだ。しかも、人数は半分以下。これも普段の行いの差か?


「いやあ、有名な方ばかりで嬉しくなってしまいますね!私は防衛艦隊の航海士をしてます、トビアスと言います。」

「ああ、よろしく。我が男子会にようこそ。」


一応会長のローランド中佐が、トビアス大尉に挨拶をする。ショッピングモールのカフェの中で、男子会は始まった。


「にしても女子会のやつら、急にどうしたんですかね!?」


ビールを1杯飲んだだけで、リミッターが外れるアルベルト中尉が口火を切る。


「ラナ准尉の紹介じゃないかな。おとといマデリーンさんに女子会に加入させられてたし。」

「ええっ!?ラナ准尉が!?なんでまた、少佐殿の奥様に。」


思わぬ人命が飛び出して、トビアス大尉が驚いている。


「うちに突然来たんだよ。なんていうか、悩みごとをマデリーンさんに言ってたよ。するとマデリーンさん、巧みに女子会に誘い込んでてね。」

「うーん、また女子会は増えたのか…男子会との戦力差は縮まらないな…ところで、ラナ准尉とは、どういう人なんだ?」


ローランド中佐が女子会との差を広がることを懸念している。まあ、数が多けりゃいいってものでもないし、気にしなくてもいいんじゃないですかね。


それはともかく、地球(アース)760の防衛艦隊の人をローランド中佐達は知らない。トビアス大尉が話す。


「ラナ准尉は、地球(アース)760の防衛艦隊所属、我が駆逐艦0972号艦のレーダー担当です。非常に優秀で、とても美人なんですが、どうも話しづらいのが難点でして。」

「なんだ、そんなにしゃべりづらいのか?」

「話していただければ分かりますよ。仕事一辺倒で、話し方が硬い。もしかして、それを相談を奥様にされてたんですか?」

「えっ!?ああ、そうだな、そんなところだ。」

「だーいじょうぶですよー!うちのロサだって、最初は無口だったんですからー!」


そう言ってるアルベルト中尉も、普段はすごい無口だぞ。


「そういえば、アルベルト中尉の奥さんはあのロサさんなんですよね!私も何度か見ましたよ!魔法少女の格好で飛んでいるところ!」

「そお!?かっこいいでしょ!彼女!でも今は休業中だけどねー、子供が生まれたら、またやってくれるかなぁ?」


アルベルト中尉よ、ロサさんにまだやらせる気か。


「ワーナー中尉の奥さんも、あの恋愛の達人と言われたモイラ中尉ですよね。」

「えっ!?なんで知ってるんですか?」

「有名ですよ、教練所の食堂で婚約宣言したとか、何人かのカップルを誕生させたとかで、我が艦隊で知らない者はいないですよ!」


あれ、モイラ中尉ってそんなに有名人なんだ。


「私も今、お嫁さんを募集中なんです。いい人いたら、紹介して欲しいですね。」

「あーっ…どうでしょうね…モイラのやつ、気まぐれだから。まあ、トビアス大尉のこと話しておきます。」

「ジェームス中尉にも、いい奥さんがいらっしゃいますよね!」

「えっ、ぼ、僕!?」

「メイド姿を貫かれている奥さんということで有名ですよ。ローランド中佐のイレーネ公女様の忠実な侍女で、その他の人には全く興味を示さなかったというあの人の心を、いったいどうやって射止めたのか?気になりますね!」


そんな細かいことまでよく知ってるな、トビアス大尉。まるで王都にいるうちの艦隊の有名人の追っかけでもしてるんだろうか?


このあたり、すこしモイラ中尉の香りがする。この情報収取能力、かなりいい勝負だ、トビアス大尉。


「そういうトビアス大尉。お嫁さんにしたい人はいるのかい?」


ローランド中佐が聞いてみる。


「いやあそれがですね、いないんですよ。本当に。皆さんのような人を探しているんですが、これが全然見つからなくて。」


そりゃいないだろう。勇者な魔女だったり、剣を振り回す公女だったり、コスプレ魔女だったり恋愛の達人だったり一途なメイドだったりする奥さんなんて、明らかにそこらへんにはいない人ばかりだ。


「別に有名人にこだわらなくてもいいんじゃないか?さっき出てきたラナ准尉という人だって、会ってみたら意外と気が合うかもしれないぞ?」

「いやあ、艦橋でしょっちゅう顔を合わせてますけど、全然これが話をしてくれないんですよ。ダメですね、あの人だけは。」


うーん…こう言われてしまうと、なんだかちょっとかわいそうだな、ラナ准尉。女子会で少し磨かれれば、あるいは振り向いてくれる人も現れるかもしれない。


そんな話で盛り上がっていたら、女子会が終わった。カロンさんがメールを送ってきた。メッセージは「女子会終了、直ちに帰還されたし」。そこで、男子会もお開きとなった。


この休暇中、ラナ准尉の名前がよく出てくる。別に私の直属の部下でもないし、特にかかわりがあるわけではないのだが、じかに見て危うさを感じてしまったことと、マデリーンさんを頼ってきたこともあって、その行く末が気になる。この先彼女に、幸せと安穏が訪れるのだろうか?

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