ー四ー
動かない女ゾンビを恐る恐る観察すると腹から鋭利な物が突き抜けている。
何が起こっているのか理解出来ないでいると、腹から突き出した銀色の物がグルンッと回る。
《グチュッ。》
そんな生々しい肉を抉る様な音を聞きながら、その時になって、やっと刀だと分かった。
刃が下向きから上向きになると
《ザシュッ》
腹から突き抜けていた刀が脳天まで斬り上がる。
「ヒィッ。」
そんな情けない声が自分の口から出たが仕方が無いと思う。腹から上が二つに開かれた女ゾンビが倒れ込んできたのだから。
後退る事で何とか覆い被さられないで済んだが、女ゾンビの後ろに人影がある事に気付く。
それは、女ゾンビが切り裂かれた事から当たり前の事ではあったが、あまりのことが立て続けに起こった事で頭が回らない。考えが纏まらない。
『情けない。こんなヤツを助けても物資の無駄だと思うがな。』
抜き身の刀をダランと下げた女ゾンビの後ろに立っていた人影が発した言葉で少し落ち着き、前を見る。
足元からユックリと見上げていくと無骨なブーツにスパッツ、ミニスカートを履いた女性が立っている。
『まぁ、そう言うな。仲間が増える事は、いい事だ。戦えなくても何かしらの役には立つだろ。』
他の声が聞こえて、そちらを見ると大柄な男が、さっき僕が殴り倒した男ゾンビへ打ち下ろしの正拳突きを顔面へ叩き込んでいた。
ビクンッと男ゾンビの体が跳ねて動かなくなる。
さっきまで足元に転がっていた男ゾンビが、薄暗くてハッキリ見えない場所まで移動したのは引き摺られたのだろう。薄らと赤黒いシミで線が描かれている。どうやら、僕から引き離して安全を確保してくれたようだ。
『俺は、先に帰るぞ。後は頼むわ。じゃあな。』
気楽な感じで目の前の女性に話し掛けた後は、そのまま通路の先へ消えていった。
『着いてこい。』
女性は、そう言うと刀を鞘に戻して、男が消えた通路へ進んでいく。
目の前のゾンビだったモノを一瞥し、着いて行くしかない事を理解して、力の入らない足へ無理やり力を入れて立ち上がる。足元が覚束無いが置いて行かれる訳にはいかない。必死に後を追った。
無言で歩き続ける女性は、僕に歩調を合わせてくれているのだろう。さっきよりもユックリと僕の前を進む。初見で【役立たず】と暗に言われたので、もっとキツイ女性かと思っていたが、優しい人のようで安心した。
「ありがとう。」
何に対してと言うより、今まで助けて貰っているのに礼を言ってなかった為に一言だけ礼を述べた。
『。。。。。』
振り向いたが、何も言わずに歩き続ける女性。表情が変わらない為に何を考えているのか理解出来ない。




