ー参ー
前から来る人影は足を引き摺っていた。
足でも怪我でもしたのだろうか?
そんな事より、早くココから出たい一心で自らも人影に近付いていくが、何かがおかしい。
何がと問われると答えに困るが、違和感を感じた。それと同時に自分の中の何かが警鐘を鳴らす。
近付いてはダメだ。と。
しかし、それは遅かった。目の前の人影だったソレがハッキリと姿を現した。
焦点の合わない血走って赤黒い目。紫や黒っぽくなった肌。手足には大小の傷が刻まれ、足や腹からは見えてはいけない白く硬いモノやヌラヌラと怪しく光るドス黒くなっているソレが覗いている。
すぐには状況を把握出来ずに、ただ立ち尽くしていたがソレが近付いてくる。
《ズルッ。。ズルッ。》
と言う音を立てながら歩いてくる。
折れて明後日の方を向き、骨が突き出した足を引き摺りながでもコチラに向かってくるゾンビの様なソレから逃れようと後ろを振り返ると同じ様なソレがいた。
こちらは、足には問題ない様で音を立てずに近付いてきていた様で、元が女性だったんだとハッキリ分かる距離にいる。
前後に挟まれた形で、どうするか一瞬で決断して、前の男ゾンビへ駆ける。
一気に間合いに飛び込むと屈み込み、立ち上がる勢いと突き上げる手の力で顎を打ち抜く。
続けざまに骨が見えている足の関節に蹴りを入れて、動きを止めた。思いの外、モロかった様で足が引き千切れてしまった。
まさしく皮一枚で繋がっていた状態だったと思う。
「ごめんなさい。」
意識が無さそうではあるが、それでも口をついて出た言葉がそれだった。
一瞬で片付け、後ろからのソレからは逃げるつもりでいたが
《ペタペタペタ》
走り寄ってきている。かなりのスピードで近付いてくる女ゾンビ。
一体を倒したと言えども、やはり見慣れる事はない。それでも体が反応したのは、自分でも驚きだが足が動かずに尻餅を付く様にへたり込んでしまった。
動きを止めたと思った男ゾンビが、足首を掴んでいる。その握力は相当なもので骨がギチギチと音を立てている様な錯覚すらしてしまう。
反射的に男ゾンビの頭を蹴り、拘束から逃れたが、既に遅かった。
女ゾンビが飛び掛かる様に覆い被さってくる。
あぁっ、もうダメだ。
諦めてしまい、もう体を動かす事が出来ない。それ以上に至近距離で見る女ゾンビへの恐怖で動かない様な気もする。腰が抜けたと言うやつだろう。どちらにしろ、もう終わりを悟った。
しかし、一向に何も起こらない。
恐怖で閉じていた目を開けると、すぐ顔の前で女ゾンビが口が裂ける程。。。いや、実際に裂けた口を大きく開いて止まっていた。




