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ー壱ー

《ガチャ》

ドアは思いのほか、アッサリと開いた。ラッキー。

でも、それはラッキーでも何でも無い。むしろアンラッキーだったのだと後から気付く事になる。そう遠くない未来で。


慌てて扉の向こう側に飛び込むと背中越しに扉を閉める。

間一髪、間に合った。それで油断する事無く、扉に鍵を締める。

これで一先ず安心だ。


《ガンッ!ドゴォ!ドガッ!》

扉から激しい金属音が聞こえる。

奴らは、扉を叩きまくっているみたいだ。扉の向こうからは


『出て来い!ゴラァ!』


『ボコボコにしてやんよ!出て来いや!』

などと叫び倒している。

あれだけ叫び倒していたら、警察が来るだろ?と思いたいが、ガンガンと扉を叩く音を聞いていると不安になってくる。

救助が来る前に扉、壊されないかな?アイツら、キレ過ぎだよ。

不安を払拭する為に、扉から遠ざかる様に奥へ進んでみる。

薄暗い廊下を壁に手をつきながらユックリと歩くと、それだけで暗がりが増す。照明の類は少なく、すぐに足元も見えない程の暗闇になる。

壁に手を付き、足元を確かめながらユックリと進んでいく。

既に前も後ろも右も左も全く何も見えない。そうなった時に後ろからの怒声や扉を叩く音は聞こえなくなっていたが、何かに誘われる様に奥へと進む歩みは止められない。


「っ!?」

暗闇の中、踏み出した足元の感覚がなくなった。ユックリと歩を進めていた事が幸いし、何事もなく立っている。

更に慎重に前に足を踏み出し、足元を確認すると数センチ低い場所で足場が確保出来た。どうやら階段のようだ。

ここで引き返す事も出来たのだと思う。

自分が入ってきた扉の方を振り返って見てみたが、すぐに前を向き階段を下りはじめた。

ユックリ、ユックリと下りていく。

元々、真っ暗で何も見えない程の闇であったのに一段下りる毎に更に闇が深まっていく感覚がある。

自分の中のどこかで


「これ以上はヤバい。」

と騒ぎ立てているが、それでも歩みが止まらないのは何故だろう?そして、これ以上進む事が何がマズいのだろう?

そして、そんな事を考えているのかいないのか、自分でも判らない様なボンヤリとした思考の中、階段は終わりを告げた。

再び壁に手を滑らせながら歩いて行くと、すぐに行き止まりに当たる。

前に手を突き出して触れてみると冷たく硬い。金属のようだ。

壁だと思ったモノが何かが分かった気がした。

それを確かめる為にポケットから、ケータイを取り出すとボタンを押して画面をタップする。

ケータイの背面からの灯りにボンヤリと浮かび上がったソレは、想像よりもファンタジックで、禍々しい装飾が成された大きな扉であった。

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