ー零ー
「はぁはぁはぁ。。。」
息を切らせ、それでも走る事を止めないのは
『まてぇ、ゴルァァァ!!』
最早、日本語ではない様な奇声に近い声を上げて追い掛けて来てる奴らがいるから。
見るからに《ヤンキー》なファッションを身に纏う奴らは、見た目に反して鍛えているのだろうか?
かれこれ1㎞近く走り続けている僕を追走している。
そして、しつこい。
どうして追い掛けられているのかと言うと。。。。
ーーーーーーーーーー
『なぁ、金貸してくれよ。あるだけでいいから。なっ?』
今どき、こんな台詞で喝上げする奴らもいるんだな。と思いながら、隣を通り過ぎようとした。
僕には関係ないから。
助けたって何もメリットがないし。
喝上げしてる奴らも僕を気にも留めない。
でも気分のいい事ではない。
イヤなものを見てしまったな。程度には思うところもあるわけで。。。
通り過ぎてから、何の気紛れか振り返ってしまった。
それからは、あれよあれよと言う間に巻き込まれ。。。ではなく、首を突っ込んでしまった。
喝上げしてた奴らの1人がムカつく顔でコッチを見てた。
『はっ、俺ら見てチビってんじゃねぇの?ブルってる?ねぇ、ブルってるの?僕ちゃん怖いの?』
言ってない。奴らは、そんな事を一言も発してはいない。
それでも心の声が聞こえた。。。気がした。
「とぅっ!」
取り敢えずムカつく顔したデカイ奴(180㎝オーバー?)にドロップキックをお見舞いして、ゴロゴロと転がって行くのを見守りながら思った。
やっちまった!!
それから、奴らとのランニングとなってしまった。
走りながらもチラッと後ろを振り返ると、元々3人だったにも関わらず今は5人に増えていらっしゃる。
ご丁寧にバットやら、傘を振り回しながら追い掛けて来ていた。
やべ~。こいつら増殖しやがる。単細胞生物からか?しかも武器まで持って進化しやがった。
余裕があったのも、この辺りまでで、もうヤバい。
全速力に近い速さで走ってるんだから、もう体力も筋力も持たない。
後ろの奴らは。。。自転車に乗ってる!?
何だと?この短時間で、そこまで進化するのか?
もうムリ。ドロップキック位で、そこまで怒んなよな。気が短いし、器の小さい奴らだな。
そろそろ、どうするか考えないと。。。
1番偉そうなヤツをボコボコにする。とにかく謝って許してもらう。周りに助けを求める。
三択かぁ。などと思っていたら目の前には、見慣れた道路の陸橋の橋桁が見えた。
小さい頃から見慣れた景色だけど、知らない事がある。
橋桁に扉が付いている。その先が、どこに繋がってるのか?
まぁ、扉には《関係者以外立ち入り禁止》と書かれているんだから、工事関係者の人が使う扉なんだろうな。と思っていた。
今は、その扉に賭けるしかない。
すぐ後ろに迫った奴らから逃れる為にドアノブに手を掛けた。