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第6話 six

暗闇…………。

永遠の時間が過ぎたように感じた。

地の底へ沈んでいくような感覚……。

憂華。

ソナ。

玲奈。

凛。

父さん……母さん……。


僕はふいに目を覚ました。

手が何かヌメッとしたものに触れた。

何…………?

手を覗き込んだ。

真っ赤な……血。

僕はあたりを教室を見回した。


クラスメート達が血の海の中に倒れ込んでいた。

誰も息をしていない。

僕の心は凍りついた。


「あ……ああああ…………」

僕は声にならない声をあげた。

黒い背の高い人影がいた。

それの腕は少女の胸を貫いていた。

あれは…………凛…………!

凛は胸から血を吹き出しそして赤い血を吐いた。

顔は蒼白だった。目は瞳孔を見開いている。


黒い人影は腕をヒョイと振った。

凛の身体は教室の窓を突き破りそのまま下へと落下していった。

この教室は3階。グギャッと下からぞっとするような音がした。


僕はガタガタガタと震えていた。歯がカチカチカチ……となっている。

教室の壁は生徒達の血で真っ赤になっていた。


誰ももはや息をしていないようだった。ある者は内臓を貫かれまたある者は手足や頭部がなかった。

ソ……ソ……ソナは…………。


◇ ◇ ◇


「智樹……」

微かに声がした。ソナの声だ。

血臭に満ちた教室を見渡すと黒い長身の影、そしてソナが立っていた。

「ソ……ソナ……。た……大変なことに…………」

僕は声を振り絞ってそういったがあまり声にはならなかった。

ソナは言った。

「そうだな……たしかに……」

ソナは何故だかこの状況の中でも落ち着いているように見えた。

何か不安な気持ちが湧き上がってきた。


「ふ……ふふふ…………愉快、愉快。」

ソナは信じられないようなことを言った。な……何を言って…………。

「血……血……そして死……破壊……美しいのお」


そしてソナは床に転がっている血塗れの女生徒の血を指ですくい唇に持っていき舐めた。

「ふ……ふふふ……力が湧いてくるわ…………」


一体これは…………こいつはソナなのか…………?

そして彼女は僕の方へと近づいてきた……。

に……逃げなければ…………こいつに殺される!


「さて……あなたの命もいただきましょうか」

彼女は言った。


◇ ◇ ◇


彼女は僕に近づいてきた。僕は金縛りにあったように身動きひとつできず床に倒れ込んでいた。

その時、僕の頭の中に声が響いた。

女の子の声だ。


「と……智樹!そこから早く逃げるのじゃ……!」

聞き覚えのある声だった。もしかして……ソナ……? いや……彼女はここに……。

「妾はソナじゃ、智樹! そこにいるやつは妾の姿をした別の者じゃ!」

…………!?

「妾はそなたと最初に出会った時の後、そこにいる邪悪の化身の魔女ウラノスらに捕らえられやつに幽閉されておったのじゃ! そしてそこから何とか抜け出し妾の思念をそなたに送っておる」

…………そうなのか。でも身動きが……。

「今からそなたを転移魔法でテレポートさせる」

え…………?


ソナの姿をした者は手を振り上げ僕の心臓めがけて振り下ろそうとしている。

目の前で白い光が炸裂したように見えた。そして黒い闇が視界を覆った。

そして僕の姿は教室から忽然と消えた。

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