第5話 cinq
DEAD OR ALIVE
僕とソナは二人で学校に出発した。
僕は二人きりで歩いている事にちょっとどきどきしていた。
周りの視線も少し気になる……。
僕とソナは双子というようになっているらしい。
あまり顔は似ていないが……。
チラと並んで歩いているソナの横顔を見る。
腰まで届くような長い黒髪。手入れも行き届いている。
そしてそれが朝日の陽光に照らされてきらきらと輝いている。
綺麗だな……。僕は素直にそう思った。
心臓が少し鼓動してくる。
そして僕の脳裏に憂華の姿が浮かんでくる。
憂華…………。必ず、必ず、必ず生き返らせる。
ここ数日の苦悩、失意、失望、怒りそれらが僕の頭を占め始める。
「智樹……」
ソナは前を見ながら呟いた。
「憂華の事を考えておるのか……。妾は彼女に会ったことはないが、彼女がどんな人だったかは想像できる」
「すごくいい子だったよ……。頑張り屋で皆に優しくて可愛くて。」
僕はソナにそう返した。
「そうか……。妾も……けどな……」
「え? 何て?」
よく聞こえなかったので僕は聞いた。
「何でもよいじゃろ……。さあゆくぞ」
ソナはスタスタと学校へと足を早めた。
◇ ◇ ◇
僕達は学校に着いた。授業開始までにはまだ少し余裕がある。
僕とソナは同じクラスということになっているようだ。
「ソーナちゃん、おっはよ♪」
教室に入ると1人の少女がソナに声をかけてきた。
さらさらの黒髪のショートカット。背は普通くらいでスタイルもいい。顔は……自分が言うのもなんだが結構美人だと思う。
「凛さん、おはよう」
ソナは少女に微笑を浮かべながら挨拶を返した。
「よぉ、凛。今日も相変わらず元気そうだな」
と僕は凛に言った。
「ともきー、アンタちょっと元気になったみたいじゃない。少し前までほんとやつれてて心配したけどさ」
「あ、ああ……」
「あんなことがあってから……」
元気印がトレードマークの凛も憂華のことがあってから僕に大分気を遣うようになっていた。
「ごめん……」
凛は言った。
「凛さん、もう大丈夫よ。私達は。智樹も大分立ち直った……ようだし」
ソナは答える。
おいおい……それじゃ凛は尚更心配するような……。
「も、もう僕達は大丈夫だから。嵐山さんありがとう」
僕は言う。
「そ……そう……」
「うん。いつもの調子に戻ったからさっ」
僕はつとめて明るく答えた。
「ならいいんだけど……」
凛は憂華の親友で事件から数週間悲しみに暮れ彼女もやっと学校に出てこれたところだった。
気立てがよくて優しい少女……元気で。
授業開始のチャイムが鳴った。