??? 約三千年前の宇宙空間にて
どうも、影林月菜です。新作にして初の特撮系の小説を執筆したんですが、挿絵、文章の表現は残念かつクオリティーの低さは現在執筆中の小説と変わりません。けど温かい目で読んで頂けるだけでも幸いです。こちらもよろしくお願いします。
今からおよそ三千年前、この広い宇宙空間で知る人は誰一人もいないもう一つの惑星が存在した。その惑星の名は『ハルモニアン星』。
ハルモニアン星とは、冥王星から約一万光年離れた所に位置し大きさは金星より一回り小さいが、現在の地球の人口の約二分の一という驚異的な人々が住み着いていた。この惑星は宇宙一音楽が盛んであることが何よりも特徴であり、珍しい楽器や今では当たり前となっている楽器などを中心にクラシック、合唱、合奏などあらゆるジャンルを問わずこよなく愛していた。
その中でハルモニアン星一音楽を愛している美しい女性の姿があった。そう、私わたくしこそがこの惑星の女神・レイクルス=ミューズ=ハルモニアン。
私はこの惑星の平和と音楽を守ることが役目。この美しい音楽をけなさぬように、人々が争いを起こさぬように。もし起こったとなれば私の美声で人々や楽器達に歌を聴かせ、その心から清らかな心へと浄化する。お恥ずかしい話ではあるが、私のこの能力は他人には知られてはいけない究極の秘儀である。何故ならばこの能力を他人に知られてしまうと、それを奪おうとする者が出てきてしまう。その能力を失ってしまったら私の存在は滅び、この惑星も無くなってしまう恐れがあるからである。
そんなハルモニアン星は年に一度宇宙最大の音楽の祭典が行われ、ここを中心に様々な惑星の神々がやって来る。その神々は私と同じ音楽をこよなく愛する者達であった。その中では特に私の護衛を務める五大戦士と呼ばれる五名の戦士達は私と同じくらいに音楽を愛していた。
そんな五名の戦士は不思議な力の持ち主であり、侵略を企む宇宙人から宇宙の平和を護る英雄であることは宇宙の神々が知らぬ者は誰もいない。
彼らはこの祭典が来る度に、宇宙人からの侵略から護るため自ら私の盾として見守り続けていた。
だが宇宙最大にして最悪の事件が起きた。ハルモニアン星で行われようとしていた音楽の祭典の日に、謎の宇宙人の組織が侵略しようとこの惑星に降り立った。
宇宙人達はどんな惑星を手に入れるならどんな手段を択ばないとハルモニアン星の民を無差別に殺害し、制圧しようとしていた。だが、宇宙人達の目的はそれだけではなかった。
戦士達の情報によると、この惑星を制圧するだけでなく私の歌声で穢れている人の心を浄化するこの究極の能力を奪い、私を滅ぼすことが最大の目的であるとのこと。
何処で何故このように知られてしまったのかは定かではないが、五大戦士の一人である青の戦士の推理では『レイクルス様の側近に扮していた宇宙人がスパイとして仲間に情報を伝えていたのではないか』と言われている。もしそうだとすればもう少し警戒心を持てばよかったのかもしれない。
今はそんなことよりハルモニアン星の人達を安全な場所へ避難させることが最優先であると赤の戦士に促され、私はこの惑星を護り続けた。
戦士達は宇宙人の侵略を止めようと懸命に戦いに挑んだ。しかしこれは時間の問題であった。
私はこの惑星が滅ばぬよう護っていたものの、宇宙人組織のトップが私の元へ突如現れては能力を捕ろうとしていた。
それに気付いた五大戦士は宇宙人を滅亡することに成功したものの、宇宙人のボスが放った光線を私が浴びてしまい三千年眠りの呪いをかけられてしまった。
戦争が終わったときは私は五大戦士に能力と共に護られて助かったが、ハルモニアン星は宇宙人が誇る武力によって滅んでしまった。
私は何も護れなかった。
その悲しみのあまりに赤の戦士に見守られながら三千年の眠りについてしまった。
三千年が経つまでの間、私は五大戦士に護られていた。
そして時が過ぎて2016年。三千年の呪いが解けた私が見たものは、滅んだはずの宇宙人がまだ生き残っており以前より勢力を増していたこと、その宇宙人達は新たな組織・アルマイナとして地球を侵略しようと目論んでいるなどと事態は深刻化としていた。最悪なことに、アルマイナが未だに私の能力を狙っていることが判明した。
今の私は戦う力がなく、長らくの間護られていた戦士達もまた力を失い小さな鈴のような形をした石と化していた。
アルマイナは私の存在に気付き、力づくで私を滅ぼそうとしていた。
私はとうとう追われる身になり、最終手段としてこの石化とした戦士達の力を他の惑星人に託し、アルマイナを滅亡させることしかなかった。
それを考えていた私はうっかり四つの石化とした鈴を落としてしまい、この広い宇宙の果てまで消えかかろうとしている。
お願い。この力を音楽をこよなく愛する者に託して下さい。
その思いは通じたのか、四つの鈴は黄色、ピンク、青、緑の閃光を放ちながら地球に落ち一瞬で消えた。
私も五つのうちの一つ、赤の戦士の力を抱えながら日本という国へと降りて行った。だが、大気圏を突破する際に最後の希望である赤の戦士の力を手放してしまった。希望を失った私にはもうどうすることも出来ない。僅かではあるが後からアルマイナが私を追って来る。
それでも私は逃げた。戦士達が音楽をこよなく愛する新たな五人を見つけて戦ってくれることを祈って。
