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悲しい高校生活

はじめまして、じぇなぴーと申します。初めての作品となります、「魔王もハーレム要員にしてやんよ。」をぜひ、読んでいただけたらと思います。コメントをよろしくお願いします。

蝉の声が、弾幕のように鳴り響いている。

太陽の日差しが身を焦がし、その照り返しがさらに追い討ちをかける。


「なんで、こんな日に学校に行かなきゃならんのだ。」

と、不満を垂らしまくっている1人の男の子が、歩いている。

彼の名前は、春原要(すのはら かなめ)蕾華(らいか)高校の二年生だ。主人公は、特にこれといった特徴もなく、普通だ。有るとしたら彼女いない歴=年齢くらいだ。


要は、高校で彼女を作って、バラ色の青春を謳歌するんだーと言いつつも、何事もなく一年生を過ごした。そして、今日は夏休み前の終業式だ。二年生の前半も終わろうとしている。


蕾華高校は、要の住んでいる地区では、一番大きな私立高校だ。様々な学科があり、それを目当てにくる学生が多い。さらに、女子生徒だけが入ることの出来る機械体育学科という特殊で、ハイレベルな学科には、容姿もハイレベルらしく、可愛い子が集まるという噂があり、女の子目当てでくる男子学生が多々いるとか…。

まぁそんなことは、どうでも良い。どうせ、そんな可愛い子とは、喋る機会も、友達になるチャンスすら無いのだから。

要は、何事もなかった一年間を過ごし、悟ったのだ。一年生を見て、馬鹿な奴らだと、蔑むまで腐った性根をもつ男になってしまったのだ。


そんなこんなで、学校に着いた。相変わらず馬鹿でかい。そして、正門から昇降口までが遠い。要はだるそうにしながらも、なんとか、下駄箱についた。

靴を履き替え、自分の教室へ行く。眠気が残っているのか、大きな欠伸をしていると、


「おはよう♪おひさ〜!いつも通りパッとしないね♪」


と元気で活発な女の子の声が、背後から、声の主のものであろうその拳と共にめり込んできた。

その衝撃で、舌を噛んだ上に背骨が折れるかと思うくらい超絶痛かった。

こんなことをする奴は、俺が知ってる人の中じゃ1人しかいない。

涙目になりながらも背後を振り返ると、そこには、ショートカットで、小柄な可愛らしい女の子が立っていた。


こいつの名前は、秋霜院神楽(しゅうそういん かぐら)。小学校からの腐れ縁だ。家は隣で、親も物凄く仲が良い。中学まではウチに来て遊んでいたのだが、高校に入って、武道同好会という、なんとも危なそうな部活に入部し、あんまり話さなくなった。それに、朝練があるとかで、俺が朝起きるときには、学校にて日々の鍛錬をしているらしい。


「毎回思うんだけど、お前のその小さな身体からどうして…」


と言いかけたとき、お腹に小さくも威力は大砲並みの弾丸が食い込んだ。


「チビって言うな!要!殴るぞっ!」


「もう殴った後だろ!あと、誰もそこまで言ってねーよ!」


「何か文句あるのかー!次はハイキックを…」


キックなんて絶対やばいに決まってる。生死にかかわる問題だ。あ、でも、身長差的に届かないかも。なんて思いつつも、もしもの事があったら…

と思い、少し間を取るために後ろにずれたその刹那、


顔の目の前を物凄い風が吹き抜けた。神楽がなんかしたらしい。でも、明らかにヤバいことが分かった。これは、降参するしかない。生け贄を捧げる事にした。


「もうやめてください、メロンパンあげるから!」


神楽は、ちっこい割によく食べる。そして甘いものに目がないのだ。特にメロンパンは小さい頃から大好きでメロンパンをチラつかせれば、話をそらすことも許してもらうことも可能なのだ。


「ふっふっふ、そいつで許してやろう。さすが、私の幼馴染♪分かってるじゃん。」


何様だ、このチビは。とか思ってるけど、口に出すのは野暮ってもんだ。

とりあえず、命拾いをした。メロンパン持っててよかったよ。でも、今日のお昼の唯一の炭水化物であり、食料だった。そんなお昼ご飯を代償に。

今月は厳しいから購買で何か買うこともできない。我慢することにしたよ。まだ、彼女一人もできないまま死にたくないからな。


しかし、どうしたのだろう。神楽はいつも学校では、絡んでこない。むしろ避けている。それも、さも汚物を見るような目でだ。


「神楽。今日はどうしたんだ?学校で絡んでくるなんて。」


「あ、あのね、要。明日から夏休みでしょ?だから、久しぶりにおウチに遊びに行こうかなって。」



やばい、なんか可愛い。久しく話さなかったから分からなかったが、中学から比べたら大人になったなという印象を受けた。色々成長したんだなっとしみじみと思った。あ、身長は変わってないよ。


顔は、化粧かな、色っぽくなってるし、胸は…ちょ、大きいな。中学までは、男の子と変わらんかったのに。女ってこわいな。

上から下までじっくりと見た後、思わず惚れそうになる自分を抑えて、理性を保っていつも通り接することにした。


「でも、神楽。部活はないのか?夏休みだからこそ練習やら合宿やらあるんじゃないのか??」


「それが無いんだ!夏休みは、先輩たちがバイトで忙しいんだってさ。だから、各自武者修行をするようにって言われたよ。」


なんつー部活動だ。武者修行ってなんだよ。野生の熊でも素手で倒してくる奴とかいそうだな。我が幼馴染は、ものすごい部活に入ったものだ。


「なら、武者修行に打ち込めよ。俺の家には、トレーニング室とか精神と◯◯の部屋みたいなのは無いぞ。」


「いいじゃん、そんなことは。久々に紫音さんにも会いたいし。」


紫音さんとは、俺の母親だ。小さい頃から一緒だから、ウチの母親も神楽のことを娘のように接している。


「それにどうせ、やることないんでしょ!いいじゃん、宿題見せてあげるからさ!ね?」


トップクラスの宿題と、普通クラスの宿題の内容は一緒なのか疑問だが、分からないとこは答えとか聞けるし、うまく有効活用しよう、と考えちゃったわけで、


「まぁ、いっか。それならどうぞ、ご自由に。」


と、軽く承諾してしまった。


「やったー♪ まぁ、要の家は私の家でもあるもんねっ!当たり前よね!」


どこのガキ大将だ。俺の家は俺の家だ。お前のもんじゃないわ。

なんて、言ったら後がこわいので、スルーした。


それじゃ後でねー!と言いながら、走ってどこかへ去っていった。

あ、言い忘れていたが、神楽は、機械体育学科だ。だがしかし、あまり異性として意識したことが無いので、恋愛対象には入らない、というか入れたくない。入れてしまったら、負けた気がするからだ。

神楽ちゃんに機械体育学科の子を紹介してもらえばいいって思った奴もいるだろう。ほとんどの確率で、神楽に、


「えー要のルックスでお友達になりたいっていう子なんていないよ♪」


なんて、笑顔で言われるに違いない。それこそ、鬱になって死にたくなるだろう。そんなのはごめんだ。

よって、俺は、このままでいると決めたのだ。


俺のつまらない話をしているうちに、教室前についてしまった。中はすでに、夏休みモードに入っているクラスの奴らが賑やかにはしゃいでいる。俺は賑やかなのはあまり好きではない。根暗だからじゃないぞ。クソ暑いのに元気なのが理解できなくて、苦手だ。二酸化炭素排出しすぎだ、みんな落ち着けって思うんだよね、言わないけど。

教室に入り、自分の席についた。席に着いた途端、クラスメイトが静かになった。

俺何かしたかなーなんて、思ってると横から透き通るような美しい声が隣の席から聞こえてきた。


「要〜おウチに遊びに行ってもい〜い?」


本人は、甘え口調で言ったのだろうが、とても妖艶な感じになっている。


「どうした、夏姫(なつき)。夏の暑さにやられたか?」


夜煌夏姫(やこうなつき)、同じクラスメイトで神楽と同じ幼馴染だ。顔立ちも成績も学年でトップクラス、ファンクラブもあるくらいだ。なので、こいつは、クラスの人気者ってやつだな。また、夜煌家は代々伝統舞踊の家庭であり、動作のひとつひとつが美しい。


「まぁひどい、あなたのおウチは私のおウチでもあるでしょ?」


「もしかして、神楽の真似でもしてるの?似てないし、お前が真似すると無邪気な感じがエロくなるからやめてくれ。」


「相変わらず冷たいな〜、要は。もう少し優しくしてくれてもいいんじゃないか?」


「盗み聞きしてる奴に、優しくするような寛容な人間ではないわ。」


「まぁまぁ、それより、久しぶりに集まって話しようじゃないか。夏休みでやることもないんだろう? はい、決まりね!」


俺の周りの奴らは、なんでこう、いつも強引なんだ。

俺の意思は⁈俺に人権は適応されないのだろうか。悲しいなー。まぁ、こいつも頭良いし、宿題写させてもらうか。


「勝手にどんどん決まっているのは、癪にさわるがまぁ良いだろう。来る時は連絡してくれ。」


「やったー!ありがとっ、要♪さすが、幼馴染♪」


こいつずっと聞いていやがったな。性格のとことん悪い奴だ。


ホームルームの鐘が鳴って、先生がちょうど入ってきた。これから長〜い終業式の始まりだ。憂鬱だ。




終業式も無事に終わり、帰り道の灼熱地獄の中、ギリギリ干からびずに帰りつくことができた。

部活なんて入ってない要にとって、夏休みは怠けるためにあるものだ。夏休みの宿題を済ませ、残りの期間を自由に過ごす予定だ。

しかし、この予定がとんでもなく捻じ曲げられることを要は、まだ知らなかった。














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