表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生THE(駄)フラグ(仮題)  作者: nakaya
巻きに入ります。
53/74

真相の一部公開。

なんだ、あれだ。

思った以上に長くなってるんで、先に裏の一部公開です。

 よく見れば、空の赤は壊れていた。

 0とか1とか、パターンめいた数字も見える。

 ってどんなでかさだよ!?


『メインシステムのログが、エラーメッセージで埋め尽くされてます。狂ったみたいにアラートが』


「イベントってわけじゃないんだな?」


 みんなの目が痛い!


「……お、俺じゃないッスよ?」


 つつっと横を向いてしまう。


 みんなが一斉に嘆息したんで、すっげぇでっけぇ、ひとつのため息みたいに聞こえた。


 レイドさんがシルフィードさんへと尋ねてくれた。


「で、実際、どうなんだ?」


『くぁwせdrftgyふじこlp』


「シル……!?」


「うわぁ!?」


 急にシルフィードさんの姿がノイジィになってぶっこわれた!?


 テクスチャが完全に破壊され、その一部は空の彼方にまで真っ直ぐに伸び、あるいは原色の小さなブロックがパターンとなって固定され……。


 その姿で固定され、まったく動かなくなったかと思ったら……。


「失礼しました」


「のわっ!?」


 背後にもシルフィードさんって、ええ!?

 思わずあっちもこっちも見ちゃったけど、新しく現れた方のシルフィードさんは、すました顔で、何事もなかったように話し出した。


「バグの発生により、フリーズしたため、再構築を実行しました。なお、現在、惑星上の帯域が占有されてしまっているために、本体との交信は不可能な状態となっております。応急処置として、一時的な擬体化を選択しました。処理能力は二千万分の一となります」


 レイドさんが苦々しげに口にする。


「痛いな。なにがあった?」


「先ほどの彼が、ログアウトを敢行しました」


 俺たちは声を失った。

 できるのか!? ログアウトが!


「そして消失しました」


 できねぇのかよ!?


「ですが、そのおかげで、多少なりとわかったことがあります」


 シルフィードさんは、俺たちを見て言った。


「ここに居るあなたがたは、本人ではありません。意識体のコピーです」


 断言来た!


「じゃあ、本当の俺たちは……?」


「地球という星で、今も無事なのではないのでしょうか?」


 ねえさんが眉間にしわを寄せる。


「そっちは確定じゃないのね」


「現状の影響が、プレイヤー側に出ていないという補償はありませんから」


 なんだか、びみょうだ。

 シルフィードさんの話は続いてく。


「それから、この星は、みなさんのゲームとリンクしているわけではないようです」


「はい?」


「そちらのゲームは、こちらの星の状態維持のシュミレーションモデルとして配布されたもののようですね」


「モデル? 配布?」


「はい。アクターやキャラクターは、設定されている以外のことについては、良くも悪くも思索しませんし、できません。そのような思考ルーチンを持ち合わせてはいないからです」


 馬鹿なんじゃなくて、現状に不満とか、疑問とか、そういうのを持たないって意味らしい。


 そりゃあまあ、そういうのを持たれちゃうと、興業としては成り立たないもんな……。あくまで、プレイヤーが楽しむための世界なんだし。


「ですから、そこで、ゲームとして、そちらの世界に配布し、プレイヤーの行動や行為をサンプルとして収拾し、キャラクターの強化、バージョンアップを行おうともくろんだようです」


 俺は思わずディーナを見てしまった。


「夢……」


 シルフィードさんが頷いた。


「ですね。夢という形で、あなた方の行動をこちらのアバターやキャラクターへとフィードバックしていたということのようです」


「ちょっと待って」


 ねえさんです。


「していたって、どういうことなの?」


「失敗したということです」


 あなたたちがその証拠です、だと。


「証拠?」


「先ほどの彼の件でわかったことなんですが」


 ねえさんが目を細める。


「ログアウトしようとしたって言ってたけど」


「はい。……何を思ったのかはわかりませんが、自殺しました」


 俺たちはきょとんとしてしまった。


「は?」


「毒を飲みました」


「毒……?」


「自前の毒です。毒ポーションです」


 いや、確かに、あるよ?

 毒ポって。

 たとえば、眠りを誘うような特殊攻撃とか、魔法とかに対抗するために、服用するんだ。

 何秒かに1のダメージを受けるんだけど、ダメージを受けると眠りから覚めるってのを逆利用して、スリープ系の特殊攻撃を持ったモンスター相手の対策として、事前に服用しておくんだよ。

 だけど……。


「なんで?」


 なんの必要があって?


 さあ? というのがシルフィードさんの答えだった。


「わたしには、ゲームでの利用法についてはわかりませんから……。ただ、彼の最後の言葉は、「なんでなんだよ、この間は、ログイン画面が出たじゃないかよ、キャラクター選択……」でした」


 なにかわかりますかと問われて、俺は、まさかと気がついてしまった。

 ねえさんを見る。同じことを思ったようだった。


「スタート画面だ」


「はい?」


「スタート画面。ゲームに直接ログインする以外に、接続するサーバーとか、複数のキャラクターを作っていた場合、そのどれを使ってログインするかとか、そういうのを選択するための画面があるんですよ。で、死んだらそこに戻れるんです」


 なるほどと。


「つまり、彼は、以前死亡した際にそれに気がつき、キャラクターをチェンジするなりしていたと」


 ねえさんがこぼす。


「……そこに、ログアウトの選択があったのね、きっと」


 レイドさんが残酷なことを教えてくれる。


「だからって、その選択肢がちゃんとプログラム的に動作するかどうかは、別問題だ」


 そこにあるのはボタンだけで。

 押してもどこにも繋がっていない状態で、ログアウト処理が行われて……。

 そして消えることになたんじゃないか、と。


「通常は、プレイヤー本来の肉体へと復帰処理が行われるわけですから、機能的には存在しているものでしょう。ただ、あなたがたの場合は……」


 体はこの星じゃなくて、地球にあるもんな……。


「意味なし、か」


「そして、以前に、ということは、彼のメインキャラなり、サブキャラなりが、そこにはあったということでしょうね。それが、今回はなかった、と」


 死んだときに、失われたってことなんだろうか?

 別のキャラクターが。

 だとすると、やっぱ、死は死亡で、蘇りとかはないんかな?


「で」


 レイドさんっす。


「フィードバックがミスって、こいつらのパーソナルデータまで、擬体に送られちまった理由ってのは、なんなんだ?」


 それはと続く。


「攻撃によるものです」


「攻撃?」


「はい。先ほどの異変の際に、プロテクトにほころびが生まれました。おかげで、メインサーバーへのアクセスに成功したのですが……。回収できたログを査究したところ、意味をなさない大量の情報が保存されているのを発見しました。おそらくは、サーバーに対して行われた攻撃によって溢れかえった、ジャンクデータなのではないでしょうか?」


 ティンときた!


 ねえさんが呟く。


「サーバーアタック」


 俺が続く。


「DoS攻撃だ」


 呆れた口調でねえさんも漏らす。


「まだそんなことをやる奴がいたのね……」


 俺も同じ気持ちだった。


 DoS攻撃の一番簡単な方法はリダイレクトだ。

 データ更新のための要求をひたすら求める。

 一台二台なら問題なくとも、千を超える万の台数が一斉にとなるとどうだろうか?

 普通の回線ならば、要求に応えられずにパンクする。


 今回は、過度のデータを発信したってことなんだろう……けどさ。


 VRシステムってのは、膨大な量の情報を双方向で高速通信しなきゃならんもんだから、専用の超高速無線通信が使用されているんだよな。

 その帯域は、百万都市に兆台の通信機械があったとしても、50%以下の使用で耐えられると言うものだし、その処理システムに至っては、専門家でないと理解不能なものにな……って。


「え?」


 気付いてしまった。


「ねえさん……VRシステムとかに使われてる通信回線って……」


「奇遇ね、あたしも同じこと思ったわ」


 シルフィードさんを見てしまう。

 無線で、大量のデータをやり取りできる、高速な?


「ドラゴンレジェンドって、初期のゲームっすよね……」


 つまり、新方式の無線通信もまた、同時期に発表されたものなわけで。


「最初から、このためにとか?」


 ゲームが宇宙人たちによって配布されたものだとしたら。

 それらを広めるための環境整備もまた、宇宙人の技術によってもたらされたものかもしれないんだから。


「宇宙人は……すでに俺たちの星にいる?」


 俺たちは顔を見合わせてしまった。


「「こわっ!」」


「まあお前らの想像のことはほっとくが」


「「ほっとかないで!」」


「いや、まあ、実際のところ、よかったんじゃないか? それなら、お前たちの星って、ここからはそう遠くはないってことになんだろ? アバターってもんは、土着の種族になりすますには、便利な代物だからな。技術的なレベルが低ければ、見破ることなんて、まずできないし」


 お前らの居住区の監視システムに、透過、透視するようなものが組み込まれているかと聞かれた。


 ねぇよ! そこまでのもん!

 街角の監視カメラにそんなもん付いてたら怖いわ!


「……ゲームに使用されているサーバーが攻撃にさらされ、この星へと送信するデータの圧縮に失敗したようですね。必要外の情報もまとめて発信してしまったようです」


 それが俺たちのパーソナルデータだってことか。


「受け取る側にとっても、意識体のデータというものは、処理ルーチンにないものですから、そのまま通常の記録と同じように、素通ししてしまったと言うことのようですね。結果、夢としてアバターへとダウンロードしている情報に混ざり込む形で、意識体のデータが落とし込まれ、あなた方のような存在が生まれてしまったと言うことのようです」


 はぁああああと、俺とねえさんはしゃがみ込んでしまった。


「死んでないってのは、良かったッスけど」


「これで、あたしたちは、これからここで生きてかなきゃいけないってのが、決定したってわけなのよね」


「そうですね。ログアウトを敢行したとしても、先ほどの彼のようなことになるだけですし」


 レイドさんが興味本位に尋ねてくれた。


「どうなったんだ?」


「爆散しました」


「そか」


 おおい!?


「まあ、データ的にって話ですが。先ほどの空の色はその影響です。かなり大量に、無駄な情報を内に抱え込んでしまっていたようですね、彼の場合は」


「無駄って……ジャンクデータ?」


「彼は、なにか独特なデータを抱えてもいたようですし」


「MODがらみ? 開発途中のデータとかかな?」


 形になっていないものもふくめれば、そりゃかなり大量のもんになるだろうけど。


「そんな彼が、ログアウトを選択し、彼というキャラクターのプレイ処理が終了したわけですが……、その際に、彼の意識体と共に擬体へと書き込まれていた、大量のジャンクデータが解放され、フィールドの処理能力を、一時的に超えてしまったというのが、真相のようです。先ほどの異変は、その結果が表層に現れたと言うことのようですね。すでに解決されているようですが」


 解決……。


 俺は、ついと、無視していたものを見てしまった。


 そこにはぶっ壊れたままのシルフィードさんの映像が……。


「これ……消えないままなの?」


 ゲームでバグったキャラとかさ、消えないまま残ったりするよね。


 またも目をそらされました(TωT)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ