典型的なやられキャラ来ました。
アルフレッド。
金髪イケメン、死ねば良いのに。
そう思いながらも、ディーナでたらしこんでやってた、チョロい相手でした。
取得のめんどくさい素材の数々、おいしかったですw
……なんで追って来たし。
「アルフレッド!」
ディーナは驚いた様子でその抱擁を受け入れる。
「王都に来たって聞いてたんだけど、すれ違いになってしまって……追いつけて良かった!」
俺がその抱擁を邪魔しなかったのは、アルフレッドがプレイヤーか、モブか、判断できなかったからだ。
もしモブだとしたら、彼はディーナとどれくらいの深さの仲で、どの程度の付き合いの長さがあるんだろう?
「君の噂を聞いたよ。酷い話だ」
モブディのことか。
「うん……でも」
ディーナは彼から離れて、俺の元へ来た。
「フラグが居るから、大丈夫」
へぇ……と、探るような目つきが来た。
「アルフレッドだ。よろしく」
「へいへい」
ちょっと媚びた感じで挨拶してみると、ディーナが、もうっとこづいてきた。
「アルフレッドは、同じギルドに所属してるの」
知ってますよ~。
ちょっと、つついてみよう。
「ギガンディアスじゃ、ギルドのメンバーが揃わなかったんだよな?」
「後から聞いたよ。獣王と戦ったって」
「うん……」
「ごめんよ。ちょっと混乱していてね、それどころじゃなかったんだ」
ねえさんが、ちらりとこっちを見てきた。なんかあるみたいだ。
どぞ。お譲りします。
「混乱、ねぇ?」
にやにやと。
「チュートリアル程度の襲撃で、一番に逃げ出しておいてよく言うわ」
ぎょっとしたようだった。
そして相手が誰なのかにも気付いたようだった。
「アルタイル! ……さん」
化けの皮剥がれるの早すぎね!?
「真っ先に護衛対象を見捨てて、撤退だー! で? クエスト失敗のペナルティ、やってきたの?」
「…………」
こいつ、ギルドに寄らずに、逃げ回ってやがるな?
ペナルティを受けない場合、新しくクエストを受けることはできない。
もちろん、放置していると、俺のように連行されたりもする。
まあ、厳密にはクエストは成功しているので、敵前逃亡のペナルティが科せられて……。
(あれ?)
違うか、PTとして、クエストは成功、敵前逃亡は銃殺……じゃねぇや、違約金、地下送り、クエストのプレゼント、か。
あり? ねえさん、ゴブ討伐にしてたよな……。
なんかうらめしそうに、ねえさんのことを見てるんだけど。
「アルタイユさんが設定されたペナルティクエストが、僕をのけ者にしたままでクリアされていましてね……おかげで、未だに未達成のままなんですよ」
「ごしゅーしょーさま」
「それもあって、探してました。違約金に変更してもらえませんか?」
「いくら払う?」
「1Kで」
「話にならないわね。その万倍持って来なさい」
ねえさん……無茶すぎです。
ほーら、アルフレッド、口元引きつってんぞ?
「……まあ、その話は、また」
「今すぐ消えてくれたら10Gで」
「ディーナ」
あ、無視ししやがった。
「僕と一緒に来て欲しい」
「ギルドメンバーを集めてるの?」
「いや、そうじゃなくて……」
参ったな、と。
「君にはわからないかもしれないけど、僕は今、大変な目に遭っていてね。君の助けが必要なんだ」
でも……と、ディーナは俺のことをちらちらと見る。
待機状態、てか、コマンド選択待ちってところか。
主体性がないのは仕方ないんだろう。そういう役回りなんだから。
行く必要はないと強気に割り込む。
手を貸してあげればと余裕を見せる。
行っちゃやだとだだをこねる。
どれがいいかね。
「人のパーティメンバーを引き抜くのは、マナー違反じゃないですか?」
そう言って庇ったら、探るような目つきを向けられた。
若干の敵意も見受けられる。
言葉は選んだつもりなんだけどな……プレイヤーか、モブか、疑ってんだろうか?
「ディーナとは?」
「ダンナです」「付き合って……ええ!?」
俺の即答にディーナが顔を真っ赤にして驚いた。
ひくりと、盛大にアルフレッドが口元を引きつらせる。
「すると、なにか? 君と、ディーナは」
「くんずほぐれつ」
ぐっと親指を人差し指の下に割り込ませた拳を突き出してみる。
「ディーナ!?」
彼は焦った様子でディーナに詰め寄った。
ディーナはと言えば……沸騰した様子で、両手で顔を挟み込んで、もじもじとしていた。
「彼の言ったことは、本当なのかい!?」
「…………」
こくんと、ディーナは頷いた。
なん……だと?
『あんたとディーナ、もうやっちゃってんの?』
『やるなぁ』
『おめでとうございます……どうして突っ伏してるんですか?』
俺は四肢を地面について激しい慟哭を吐き出してしまった。
『フラグよぉおおおお! 俺のくせに、すでに非DTだとぉおおおお!?』
なんだろう、俺はまだなのに、身体の方は経験済みとか……。
くやしい? のろわしい? 良くわからん感情に支配されてしまった。
フラグの裏切りものぉおおおお!
『『『…………』』』
……みんなの目つきが生ぬるいです。
「いや、よく考えるんだ、俺。だったらこれから……」
ディーナを誘えば、いつだって。
そう考えた瞬間、急に覚めた。
……ディーナの好きなのが、俺の入ってないフラグだから?
ディーナが記憶している俺が、俺の知らないフラグだから?
それとも、そこに居るディーナが、俺の育てたゲームのキャラじゃない、別の存在だからか?
どっちかっつーと、前者の方だな……。
『相手は擬体なんだぜ? それもお前のサポート役としての設定に縛られてるキャラクターだ。好きにすりゃ良いだろ』
呆れた調子で、レイドさんが言うんだが。
『そういうところ、宇宙人ッスよねぇ』
『あん?』
『自分の意思があるように見えるものには、嫌われたくないんスよ』
チキンよねーっと、ねえさんの割り込み。うっせ。
実際のところ、あとで泣かれたり、嫌われたりとかはあるかもしれない。
だからって、この身体から出ていく方法なんて知らないわけだし。
ディーナにばれて、嫌われるとしても、傷はできるだけ浅くしたいんだ。
『とか……言ってるけどよぉ』
『なんスか?』
『お前だって、ディーナには人間相手の態度を取ってねぇぞ?』
『え……?』
『適当に扱ってても、自分に着いて来る、言うことを聞く、逆らわないって思ってるだろ? そういう感じになってっぞ』
……そうなんだろうか?
「フラグくん」
「へい?」
固い声をかけられた。
「許せないな」
「なんです?」
「ディーナは、僕たちの仲間だ。あこがれだ。それが君みたいな」
ディーナの反応が気になったのか、その先は続けられなかった。
その代わりの、小さな呟きは、ログではっきりと確認できた。
「モブってるって聞いて、急いで追ってきたってのに、こんなやつが居たなんて……」
あーあーあー、そういうことか。
こいつ、NPCなら、口説いてものにできるとか、考えてやがったな。
なんか、キッとか、こっち睨んできたんですけど。
「ディーナ、僕たちはエルフだ」
「え? う、うん……そうだけど」
俺見てないで、ディーナを見ろよ。
「人間は僕たちよりも先に死ぬ。もちろん、僕はいつまででも待つよ、待ちたいけど……」
でも、この衝動は別のものだと、剣を抜いて俺へと突きつけてきた。
「勝負だ」
「は?」
「僕の……ディーナを汚した罪、許せない。殺しはしない。だけど、この思いは晴らさせてもらうよ」
ぜってー嘘じゃねぇか。
『めんどくせーやつだなー』
『めんどくさいやつよねー』
『ひねって良いですか?』
シルフィードさんが壊れた!?
『ああ、こいつ、こういう男嫌いなんだよ。世の中全部自分の想像通りに構築されてると思い込んで、それを前提にしたシミュレーションを行って、その通りにならないとなったらわめき出す奴な』
あー……。
「だめ!」
ディーナが俺を庇うように前に出る。
「フラグとアルフレッドじゃレベルが」
確かにこいつもカンスト組だ。
まあ、俺と同じ、ただのカンスト組だけど。
それも、暇にあかせてモブ狩りしてたら、レベルが上限に達しましたって言う手合いだ。
育て方にはポリシーもなんもない。
そのくせ、「俺、カンストしてるんだ☆」とか言って自慢するっつー、どうしようもないタイプ。
正直、痛いです。
プレイヤーがリアル女子だとわかると、やたらと粘着し始めるし。
みんな最初は、カンストプレイヤーってことで、「きゃー、すごーい!」って感じで、こいつのことを尊敬とかあこがれっぽい感じで慕うんだよ。だけど、こいつは調子に乗って、何でもかんでも、それじゃあ僕が、僕に言ってよって粘着し始めるんだ。で、他の連中に頼ったりしようもんなら、どうしてどうしてとしつこくなって、逃げられていくって言うな。
ま、俺みたいなネカマにとっては、釣りやすいタイプだよと言っておこうw
「まあ、負けやしないけど」
っと、SAYとTALKの切り替え間違えてぽろっと漏らしちゃったw
「だったら、逃げないな」
アルフレッドが口の端を釣り上げた。
……エルフがしていい表情じゃないなぁと思いつつ。
「ま、逃げないけどね」
ぼーりぼーりと後頭部を掻いて。
どこまでもふざけた態度を取ってやった。
…いや、俺もよくわかってるんですよ。ディーナが上手く機能してない件については(´・ω・`)