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PTは6人くらいが普通だけど、小説としてだとキャラ多いよね…。

更新再開します。

…風邪こじらせて暇つぶしに読む側に回ってたら一ヶ月経ってた…。

なに言ってんだと思うけどネット小説こえー(;´Д`)

 レイドさん曰く、姫様の名前は短すぎるらしい。

 彼女たちからの救難信号をキャッチしたのは、外宇宙だった。

 その場所からで、通信波が発信された時間を逆算すると、経ている世代が少なすぎるってことになるらしい。

 アバター自体の寿命は、どんなに頑張っても、当たり前の生物並みだからってことなんだけど……。


 ぶっちゃけ、当たり前、の、比較対象がよくわからんのだが……。


 余談としては、アバターを使うことで、擬似的に人生を何度もやり替えたり、あるいは不老不死の真似事をやっちゃってる人たちはいるんだそうだ。

 本人……本体を凍結して、アバターで暮らすことによって……だけど、今のところは、長寿が限界ってことになっている。


 前に言ったように、アバターと本体、あるいは複数のアバターに精神体──魂を分割することは可能だ。


 倫理的にどう……って問題はないらしい。できるなら、やっても良い。ただし自己責任の範疇で。

 それが宇宙のルールだそうだ。


 もちろん、問題が付随する。


 アバターは精神体を受け入れられるように改造されている。

 だけど、精神体──魂の形は同じじゃない。

 クローンであっても、母体との百パーセントの一致率はあり得ない。

 まったく同じで無いものに、別のもので育まれた精神体が宿ろうとすれば、どこかにはみ出しや、ズレが生まれる。

 それらは矯正されることはあっても、決して無くなるものじゃない。

 自分を別の入れ物に無理矢理はめ込んだりとか、自分を分割したりとか……。

 そんな不自然なことを常体化してしまうと、精神を病んでしまうんだそうだ。

 よって定期的に、自分の本体に戻って過ごす必要がある。


 そうした療養を繰り返しても、変調は蓄積していく。

 これが、長寿が限界とされる理由だった。


 んで、ここの事故民の場合だ。


 レイドさんとシルフィードさんの計算では、彼らが事故を起こした際に持っていたオリジナルの肉体を残している可能性はない、ということになるらしい。

 定期的にスリープを解除しているのなら、その肉体が寿命を迎える程度には時間が過ぎているはずだそうだ。


 もちろん、無理にスリープを継続させ続けている可能性はある。

 緊急措置だってことで、永久凍結を選んでいる可能性だ。コピーからコピーへと魂を移し続けている……歪んで、おかしくなってしまうことを承知の上で。


 だけど、その選択も、おかしいということになる。


 狂うことを覚悟してまで、なんのために肉体による生活を送っているのか。

 そこまで思い切るのなら、なぜ人工惑星を作ったのかという話になる。

 宇宙を漂うままに、全ての作業を機械に任せて、生体搭乗員は、永久冬眠すればいい。

 それでも問題ないはずなのに、なぜか星を作り、キャラクターやアバターによる社会を作り、物資を生産……増産している。

 主にタンパク源だ。なんのために増やしてるんだって話になる。

 みんなで凍れば、タンパク質なんて必要にならない。

 氷漬けのものを相手に、補給する必要なんてないんだから。

 そして地に根付いて生きることにしたとしても、それなら居住可能な惑星を開発すべきで、アバターでなければ生息できないような異質な環境を構築する意味がない。


「本当の彼らは死んでいて、記憶だけが、いつまでも、アバターからアバターへと、コピーされ続けているのかもな」


 レイドさんはそう言ったけど……。


 それを、アバターとしての彼らは知らない?

 最初の決定に従い続けている?


 そんなわけで、もし、彼らがアバターへと記憶を写し続けていて、ほんとの身体が失われていた場合……。

 この世界の住人たちは、新規のアバターを量産し、転生と称する行為をし続ける状態へと陥っている……ってなるわけで。


 心……魂をいびつに歪めながら……?

 いや、すでに死んでいて、記憶だけを継承し続けているのなら、彼らはそういった生き物、キャラクターでしかなくて……。


 そんな可能性が、あるって話で……。


(俺たちも、そうなんだろうか?)


 魂も精神もなく。

 記憶だけコピーを取られ、写し込まれた人形なのだろうか?


 考えれば考えるほど、落ち着かなくなる。

 答えが欲しくなってくる。

 そんなわけで。

 俺たちは、今、真実を探求するために、なんにもない平野を真っ直ぐに歩んでいた。




 くるぶしまでの雑草と時々には花が咲く。

 真っ正面には山の峰。

 晴天の空。


 文句なしの大草原だった。


 風に泳ぐのはディーナの歌声だ。


「機嫌良いなぁ」


 真正面にあるつむじの主は、俺の言葉にくるんっと回って後ろに手を組んだ。


「だって!」


 後ろ向きに歩きながら口にする。


「フラグと一緒にパーティ組むって、初めてなんだもん!」


 ……そりゃそうだろ。

 同時アクセスできないんだから。


 ……っつってもまあ、こっちの世界で二人の関係がどうだったのか、それを考えると微妙なんだが。


 一応聞いてみたところ、ディーナは、自分がお出かけしている間、フラグはてっきり、ワンコよろしく、大人しく、ホームでハウスしていたんだと思っていたんだそうな。


 ……この子、意外とあれか?


 ゲーム的には、このゲーム、ログアウト場所が限定されていた。宿屋とか。

 その設定がこの世界にも生きているなら、確かにフラグは宿場で大人しくしていたはずだけど。

 ゲームとこの世界が相互に干渉し合っているのなら、そうでないと、リスタートした時に、ログアウト場所とは違う、本来ログアウトできないフィールド場からのスタートだって……。


(俺、街の外でスタートしたよな? この世界)


 ゲームとは違って、フラグはてくてく歩いていたってことなんだろうか?

 でもねえさんとかも、街の外から始まってるし……俺たちのアバターが一斉にあのチュートリアル目指して行動したって言うのも、なんだか……?


「フラグ?」


「あ、なんでもないよ」


 ちなみに二人っきりじゃない。

 ことらんもねえさんも、ちょっと遅れてレイドさんもいる。


 見えてはいないけど、シルフィードさんもいるんだよな。

 レイドさんとシルフィードさんは、脳内会話でなにかの相談をしているみたいだった。

 この前に言っていた、説明のつかないこと、についてなんだろうな。

 俺たちとの会話はログとして記録されるから、盗み読みされてる可能性があるみたいだし、あの二人だけの回線を使ってやってるんだろう。

 盗み読みしてるとしたら、システムを把握してる誰かで、それってゲームマスター的な存在で……。

 そいつなら、この星の現状を説明できるんだろうか?

 まあ、俺が考えても、どうしようもない話なんだろうけどさ。


 だから、そっちはともかくとして。


 ディーナは腕を広げて、二度三度と回転して俺を待ち、そのまま右腕に組み付いてきた。


「フラグももっと、外に出たら良いと思うの」


 なーんでこの子、こんなにフラグが好きなんだろう?


「いや、俺、倉庫ッスから、遠慮します」


 むすぅーっとディーナはふくれた。


「フラグはやればできるのに」


「働いたら負けだと思ってるんで」


 なにこの会話?


 まあ、ねえさんのことはともかく、俺個人としては、このままフラグとして生きていくつもりなんだし、そうなると、ディーナの倉庫としての立場の確立とかも必要になるのか?


 ……なんて。


 肩越しにねえさんを見て、俺は驚愕に立ち止まってしまった。


「なん……だと?」


 ねえさんが、ことらんと手を繋いで歩いていた。


「でっかくなっちゃった!?」


 ことらんは、ねえさんと余裕で手をつなげるほど、身長が伸びていた!

 ねえさんの腰より高ぇ!

 いや正確には戻ってるのか!?

 呆れた目をしてねえさんが言う。


「なに驚いてんのよ?」


「いやだって!?」


「あれでしょ? 猫って、だらーんとしてるときと、体丸くして座ってるときとで大きさ違って見えるでしょ? あれと同じじゃないの?」


 ぜってーちげーっし!

 こいつ、絶対謎生物だ! って驚いてたら、ねえさんがことらんを抱き上げた。

 俺の肩に両足を置かせ、セットイン。


 ことらんは俺の頭を抱きしめるように丸くなった。

 きゅって。

 あふぅってあくびをして、顎を俺のつむじに乗せる。

 ……って。

 やっぱ変わってるよっ、体積、明らかに!


「ことらんはそこが一番みたいね」


 進みましょうとうながされ、俺は納得できないままに歩き出した。


 ディーナがことらんの鼻先でねこじゃらしを揺らすと、ことらんは身を乗り出して、ぺしっ、ぺしっと、ねこじゃらしを叩いた。


 やめて! 人の顔に爪立てて身を乗り出すのやめて!


 面白がったディーナの動きに合わせて、ことらんも体を振る。

 首が! 首があっちこっちに揺られて痛てぇ!

 ついでにバランスを取れなくなって倒れそうになる。


 そんな俺たちを、ねえさんは微笑ましくも見つめてる……。


(なんか調子狂うなぁ)


 ねえさんのキャラがちょっと違ってきてる。

 手を出してこないんだ。ツッコミがないんだ。

 言葉だけなんだ……。


(やっぱ、後を引いてんのかな……)


 対人戦闘が尾を引いてるんだろうか?

 だけど、今の時点ではどうしようもなくて……。


 俺たちはこんな調子で先に進む。

 目的地は、魔物の谷と呼ばれる場所だった。

 なんどもくり返し、ああでもないこうでもないと矛盾を潰している内に、べつの矛盾が発生して……。

 このスパイラルを断ち切りたいです……。

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