そのしー
──結論。
あれ、チュートリアルでした。
いくらか走ったところで、ぽーんって音がした。
チュートリアルをスキップしました。
そんなメッセージが聞こえた。
どゆこと!?
っと思ったところで思い出した。
あそこで護衛たちに庇われつつ戦い方を覚えて、一緒に旅をして細かなこと、世界観とか、お金についてとか、街での生活や野宿の仕方についてとか……。
そんな感じのことを学んでスタートする……ってことだった。
チュートリアルを受けたのなんて、昔過ぎて忘れてた。
なんだよ無駄に期待してたのに。
いや、諦めんなよ! ゲームと全く同じように、イベントが起こってるとは限らないじゃないか!
そんなわけで街に到着しました。
「でけー」
質感半端ねー。
石造りの壁に囲われた城塞都市──ギガンディアス。
力と戦の神、ディアス神にちなんで名前を付けられたという街だ。
ざわざわと喧噪が激しい。
まだ外だというのに、市が立っていて、色々な人が行き交っている。
「都市の中には入れないか」
本物は違うなぁと、壁を見上げならが人混みを歩く。
ゲームはやはりポリゴンだ。本物の壁は触るとざらつき、砂化している部分がざらりと剥げる。
俺は壁にもたれかかり、ウィンドウを開いた。
人がいないところで試したんだが、ゲームと同じく、可視設定があったんで、人からは見えないように設定した。
ステータスウィンドウに、コマンドウィンドウ……分離して必要なものをオブジェクト化し、見やすいように並べていく。
全部視線と思考操作だ。
VRMMOでは、思考操作は必須技能だ。
てか、ドラゴンレジェンドでは、使わざるを得ないスキルである。
スキルが上がると、一定の動作が早くなる。
その上で自分でモーションを作成する。
当然スキルが高ければ、複雑で高速なモーションを作成できる。
魔法なども同じ感じだ。だから、廃人であるほど、無理がなく細やかで、それでいて現実的には「ぷげらw」って感じのオリジナルコンボを持っている。
ただ……このシステム、モーションは作れても、それをコンボとしては登録できないのである。
なんで連続マクロが実装されてないんだよ、このクソゲーは。
そういうわけで、一つ目のモーションを発動中に、二つ目のモーションを思考操作で実行する……ということができなければ、連続させたモーションをコンボとして成立させることができないのだ。
まあ、幼少の頃、本気で魔法を覚えようとしていた俺には簡単なことであったがな。