そのさんー
振り返る。
追ってきてるのは三人、向こうに残ってるのは二人。
そして護衛……あれ、冒険者とかなのかな? は三人だ。
「なにぼけっとしてるんだ!」
叫んでやる。
「二人ぐらい、なんとかできるだろ!」
全員がはっとしたようだった。
我に返った盗賊よりも、護衛たちの反応の方がはやかった。
あっという間に二人を倒す。
残った盗賊たちは、俺を追うかどうかで迷いを見せていた。
立ち止まって、前後を振り向いているところに、護衛からの火の魔法と弓矢が当たった。
これであとは一人だけだ。
「お、覚えてろよ!?」
お約束の一言を残して、逃げようとする。
だが護衛がそれを許さなかった。
束縛系の魔法が飛んで、男の足を絡め取った。
転がる音がした。
──さて、どうするか?
あの商人のものっぽい馬車の中身は、姫様かご禁制の品か奴隷なのか。
あるいはただの商用品か。
どちらにせよ、これはありがちなフラグだろう。だから。
──んじゃ!
そんな感じでシュタッと右腕を上げて挨拶し、俺は全力ダッシュで道を走った。
後ろから呼び止める声がしたけど、だが断る!
ここで安易なフラグは回収しない。
きっと後々、あなたはあの時の! ってことになるはずだからだ。
フラグは折るためにある。だけど折られたフラグはより太くなって、俺の前に現れる!
きっとそうだと信じて、俺は明日に向かって道を走った。