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異世界転生THE(駄)フラグ(仮題)  作者: nakaya
二日目。そろぷれいw
20/74

戦闘は次回から!

 俺は混乱していた。


 運営側の活動が終わって、ただのイベントキャラに戻った。

 そんな感じだった。

 だけど、そんなに簡単には、切り替えられない。


 割り切れない。


「ディーナ」


「はっ、はひ!? なに!?」


「お前のクエストを教えてくれ」


「……え?」


「早く!」


 怒鳴ると、ディーナはびくんと体を震わせた。

 怖いのか、びくついているが、関係ない。

 教えろと、無理矢理に迫った。



 竜、狼……そして虎。


 この三種は、三強と呼ばれる種族である。


 その一角である、とある虎種の一族に危機が訪れていた。


 この国の虎種の中には、ギルドマスターとも親しいグループが存在している。

 ギルドマスターと契約していた虎種がいて、その家系がいまでも繋がりを保っているからだ。

 その虎種のテリトリーが、ゴブリンに犯されたっていうんだが……。


 ……俺が母虎さんと子虎さんを助けたから、起こったクエストだってことらしい。


 こんなクエスト、ゲームの中にはなかったんだが……。


 とにかくだ、虎種が危機に陥るような事態だからと、ギルドに登録されているメンバーの中で、最上であるディーナのチーム、ザ・プラクティスが選抜されたが……あいにくと、ディーナには、他のメンバーを集めることができなかったらしい。


 そのメンバーというのが、俺には大きな問題に思えた。


 急ぎであったため、連絡を取ろうとしたんだが、あいにくと捕まえることができなかったと言うんだが……俺が気にしたのは、その理由だった。


 もしかすると、俺と同じなのかも知れない。


 もし、本当に、、その連中が、なにかしらのクエストに出ているだけだったのなら、問題はないんだけど、俺と同じ、元プレイヤーだったなら?

 もしかすると、それどころではなくって、引きこもったり、拒絶してしまったりしているのかもしれない。


 ともかく、そんなディーナに話しかけてきたのが、あの連中だった……ということだ。


 ……即席メンバーだったのか……道理で知らない連中だったわけだ。


 あいつらは、不正にログインしていたプレイヤーだった。だから直接ギルドで仕事を負うことができず、困っていたディーナに目を付けたんだろう。


 不正ログインは、普通にプレイしている程度では、見つかる頻度は低かったりする。それこそ一個のサーバーに、常時三千人前後がログインしているし、運営だって、枯れたゲームに、そこまでちゃんとした監視の手を入れているわけじゃない。


 それでもだ、クエストなどのイベントとなると、話は別だ。クエストを受ける際に、キャラクターの正規情報(ユーザーID)がチェックされる。


 クエストの一部は、課金によってオープンになるものがある。

 初期クエストや、無料の追加クエストは、タダとして処理される。

 この課金チェックが、クエストの発生するキーキャラに話しかけた際に、行われるんだ。


 そして、コンテンツが解放される。


 プログラムを改編して、クエストをオープンにすると、NPCの会話内容など、つじつまの合わない部分が大量に発生してしまう。

 それをクリアしたとしても、アップデートの度に、プログラムは細かく変更されてしまうので、まったく労力に見合わない。

 だから、この方法を取っている人間はかなり少ない。


 それに、だ……もっと簡単な方法があったりする。

 それが、連中の取った方法だった。


 後から、クエストを受けたパーティに加入する。それだけで良いのだ。


 この方法でなら、イベントは見られないが、課金の必要はなくなるし、特典は受けられる。


 特典を受けるのが、依頼を受けた、ディーナ(リーダー)だからだ。


 特典は、彼女からの分配を願えば良い。

 その方法でなら、ただのトレードだ。チェックされることなく、レアアイテムを手に入れられる。

 もちろん、エクレアアイテム……エクセレント・レアアイテムは、譲渡不可だ。

 こればかりは諦めるしかない。クエストを受けた人間だけが受け取れ、手伝った人間には渡らない。

 そのため、普通、6人パーティなら、6回、同じクエストをこなすことになる。

 全員が、手に入れたいわけだからな。

 だけど、不正にログインして、ゲームをやってる連中は、あんまりそういうのに、こだわりはない。

 もともと、アイテムだけが目的なのが、多いからだ。

 その理由は、RMTリアル・マネー・トレードだ。

 アイテムの現金化。

 そのためだけのクエスト制覇。

 どこのMMORPGでだって、あることだ。


 ただ……普通、イベントシーンは、コンテンツが解放されてないと、プログラムが追加適用されないので、見られないはずなんだけど……。


(そこは、現実だから……ってことか)


 それにしたって……と、俺はこの惨状に眉をしかめた。


 普通は、クエストを請け負う時に行われるはずのチェックを、イベントで出て来るボスに行わせたのか?


 そりゃ、クエストをこなしていくことが、ゲームの主な目的なんだし、必ず通るところなんだから、仕掛ける場所としては正しいんだろうけど……。


 だからって、こいつは、強いとかなんとかって話じゃないだろ。


「勝てる気がしねえー……」


「フラグぅ……」


 ディーナが不安げに身を寄せてくる。

 背中を小さな手がぎゅっと握ってくる。

 すがるように体重を預けて引っ張り下げる。

 俺は、肩越しに目をやった。


 長いまつげ、潤んだ瞳、桜色の小さな唇。


 鎧を着込んでいるというのに、こんな森の中だというのに、少女を感じさせる柔らかさと体臭を感じられる。


 可憐だ……と思う。


 守らなきゃと思ってしまう。
































 ……自演なんですけどねー!


 ちくしょうっ! なんだこのむなしさは!!


 俺がやってたことを、素の行動としてコピッてんだろうか?

 せめて演技でないと思いたい(⊃Д`)、


 それでも、まあ。


「まかせろ」


 俺は、ぽんっと彼女の頭に手を置いて、獣王の前に立ちふさがった。


 本当の意味で、このディーナが俺が()ってたディーナと同じなのかどうかはわかならい、けど。


「俺のディーナに、手ぇ出すんじゃねぇよ」


 育ててきた俺には、俺のディーナ(メインキャラ)にしか見えなかった。


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