主人公がうだうだしてて話が進まないので相方付けてみた。
設定の追加に伴い「そのいちー」をちょいいじりました。
(´・ω・`)すんません...
──レイシア・アルタイユ。
良い感じに熟した三十才のお姉さんだ。
身長は170センチちょい。
胸もお尻もあって、着ているものはボンテージ系……らしい。
らしい、と、よくわからんのは、つねに真っ黒なローブで体を隠しているからだ。
赤く長い髪は跳ねまくっているライオンヘアーで、感情が高ぶるとぶわっと大きく広がるという。
その時、彼女はローブをはだけ、ボンテージ的な格好で鞭を振り上げる……という、妄想が、攻略サイトの掲示板に書き込まれていたが、ほんとのところは魔法使いだと知っている。
それと同時に……。
彼女はプレイヤーである。
「ねえさんっ、ねえさんじゃないか! 生きて……」
「なにその流れ」
「いやなんとなく」
「ところであんた、タダオ?」
「やめてっ! その名前で呼ぶのやめて!」
「ところで誰がねえさんか」
「ですよねぇ、歳で言ったらお母さん」
攻撃魔法が飛んできました。
「やめて! 突っ込みでギガフレイムとかやめて!」
「誰が年増か!」
「嫌なら、なんでそんな年齢設定にしたんだよ!?」
「そういう年頃だったのよ!」
ちなみに中の人、リアル幼女です。
それも一桁のヒキニート。
複雑なご家庭に育ってます。
「まさかこんなことになるなんて……」
「十代と二十代消失、おめでとう」
「やっぱ地下行く?」
「すんませんっした!」
ジャンピング土下座……っていうか、このモーション、デフォで搭載されてました。このゲームの開発陣、あなどれん……。
「っていうか、やっぱいたのか、俺以外にも」
「まあね」
あ、そだ。
「なあ、俺よりも先にこっちに来てたのか?」
「そっちは、何日?」
「……12月24日」
「おんなじ」
はぁっとふたりでため息こぼした。
せつねー。
いや毎年ね、みんなね、この日の晩は、どこかの頂とか中心とかで、叫んでるだけなんですよ。
魂からの慟哭を。
しーねーばーいーのに♪ ……リア充なんて!
「チート転生とか。神様からのプレゼントだったりしてね」
「……やめてください、ねえさん。みんなにとってご褒美です」
これで大体、このゲームにはまってる連中のことがわかったと思います。
さて。
「ってことは、同じタイミングで連れ込まれたとか飛ばされた可能性が高いのか」
「ばらばらに、条件を満たしてって、感じじゃないみたいね」
ねえさんは、俺以外にも見つけてるみたいだな。
すでに話も聞いてるっぽいし。
ちなみに、俺にこのゲームを教えてくれたのは、ねえさんである。
お古のパソコンと、これまた型遅れのVRMMO対応システム一式とでだ。
ちなみに俺は、家庭教師という名前の、家政夫だった。
単に、近所に住むお兄ちゃんとも言う。
これ以上は、暗い話になるから、かんべんな!
んでもって、まあ、普通にMMORPGをやってた俺は、まずはと慣れるためのキャラを作った。
それがフラグだ。
後の倉庫キャラ。
ん?
「まさか、一番最初に作ったキャラに、俺、重なってるのか?」
「かもしんない。あたしも、グアールでインしてたのに、レイシアだしね」
グアールってのは、彼女のサブキャラである。
レイシアに釣り合う、イカしたナイスガイだ。
……うん、この言い方で、もうネタキャラだってわかりますよね。
ちなみに姉弟設定だ。
「それでさ」
「ん?」
「気付かないで行っちゃったみたいだけど、あたし、あの時いたのよね」
「あの時?」
「チュートリアル」
また見逃してた!?
「んでもって、あんた、叫んだでしょ? なんでディーナじゃないんだって」
それで気付いたってことか。
異世界転生してーとか言って、こいつの前で作ったキャラだからなディーナは。
ディーナの中の人が俺だって知ってる、唯一の人間だ。
「そういや、あん時、ディーナとレイシアと、後一人いませんでしたっけ?」
「もっといたよ? けど、パニクったところをやられちゃった」
あー……。
「死んだ?」
「死んだ」
やべ、デスゲームかよ、これ。
こうなると、レベル70ってのはやばいな、チートってほど上ってわけじゃないし。
ん?
「ねえさん」
「なに?」
「どうやって強制イベントに割り込んだんだ?」
強制イベント? と小首をかしげられた。
嫌な笑みを貼り付けながらだった。
「なんのイベント?」
「なんのって、クエスト失敗の」
「クエスト? 護衛任務の? ちゃんと成功させたよ?」
「……あれ? そういや、ディーナもそう言ってたっけ」
「うん、でも」
にんまりと。
やべっ!
「逃げるな」
すっころばされた。
「無詠唱で捕縛呪文とかかけないで!」
「思い出した?」
レイシアは俺の前にしゃがみ込むと、両膝の上に肘をついて、両手で顎を受けてにたにたと笑った。
「PTでクエストを受けた場合、敵前逃亡やら回線落ちで逃げたバカに対しては、リーダーが任意の懲罰クエストを強制できる。初期設定がメンバーへの違約金。次点が地下送り。でもそれじゃあ面白くないから、あたしからクエストプレゼントでもしようかなって……」
俺は、話からの恐怖ではない何かに、固まっていた。
「……どこ見てるの?」
「生えてる、だと!?」
いやほら。
レイシアの着てるローブって、エクステッドより上のユニークアイテムなんですよ。
詳細は知らない、教えてくんないんだもん。
取得条件すら不明のそれは、レイシア以外に持っているキャラを見たことがない。
レア度半端ないッス。
その性能は、俺が観察した限りでも、特定以下のダメージについては、無効にしているというものがある。
自分のレベル以下の敵の攻撃か、単純になにかの計算式ではじき出された値以下なら0になるのか、そこまではわからなかったが。
PT中に、彼女のHPの変動を観察していて、わかったことだ。
ともあれ、そういう便利なものなので、彼女はそれ以外を身につけていない。
それ以外を身につけていないのだ!
大事なことなので二度言いました!
良くいるだろ!? 装備付けるのめんどくさくって、裸って呼ばれる無装備状態で移動してる奴!
彼女も、ローブ以外付けてないんです。っていうか……。
ゲームじゃなくなったんで、パンツも脱げる。
いつもの調子で、ローブだけ羽織ってきたな、こいつ。
んでもって、俺のしょうめんに……。
俺はゆっくりと……鼻血を垂らしながら上向いた。
にっこりと彼女は笑ってた。俺たちはほほえみ合った。
「言い残すことは?」
「ありがとうございました」
とりあえず、最後の言葉はしゃべらせてもらえた俺だった。