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スラム

スラム街で仕事をすることになったジャックとロイは酒場を後にした。


「ここからスラムまでどのくらいあるんですか?」


「そうだなぁ。距離で2kmくらい。時間で10秒だな。」


「2kmで10秒!?どうゆうことですか!」


「お前まさか、死神が歩いて行くと思ってんのか?そんなわけないだろ。」

「じゃあどうやって移動するつもりです?」


「マーキングポイントを使うんだ。」


「マーキングポイント?」


「ほら、あれを見ろ。」


ロイが指を差した先を見ると、古いアパートが建っていた。

そのアパートの壁に見たことの無い記号が白いチョークの様なもので書かれていた。


「あれがマーキングポイントですか?」


「正式にはマーキングシンボル。ポイントは場所を差す。シンボルは記号だ。」


ロイがマーキングシンボルに手をかざし、ジャックを呼んだ。


「シンボルの上に手を置くんだ。後は目を閉じればいい。」


ジャックは言われるがままに手をかざし、目を閉じた。


「スラムに着いたら気を抜くんじゃないぞ。悪霊だっている。戦い方は俺が教える。はぐれるなよ。」


「子供じゃないんですから。その位わかってますよ。」


ジャックはシンボルに手をかざし、目を閉じたままロイと会話をしていた。

「まず、スラムに着いたらズールとブラキに会いに行こう。」


ロイはジャックをスラムに連れて行くこと楽しみだった。


「目を閉じて、次は何をすれば?」


「あとは、目を開ければいい。」


ジャックはゆっくりと目を開けた。


「まじかよ…。」


目を開けるとそこは今までいた所とは違う場所にいた。


「信じらんない…。」


ジャックは目を見開いたまま、呆然と立ち尽くしていた。


「おい!先を急ぐぞ!」


ロイは慣れた動きで、当然のごとく歩きだした。


「ロイさん!今のはどうやって?」


「質問の多い奴だな。何故って聞かれても答えられないんだよ…。」


ロイは質問攻めをしてくるジャックの気持ちが分からない訳ではなかった。


「例えばだ。子供に絵の描き方を教えたとしよう。子供は当然喜ぶ。でも次の瞬間。今度は紙とペンの作り方を聞いてきたとする。お前答えられるか?」


「絵の描き方なら教えられますけど、紙とペンの作り方までは…。」


「そうだろ?それと同じさ。使い方や効果はわかるが、原理や仕組みまではよく分からない。世の中なんてそんなもんさ。」


ロイは満足したような顔をして歩いている。

スラム街で2人の話し声だけが響き渡っていた。


「ロイさん。さっきから気になっていたんですけど、人が誰もいない気がするんですが。」


「スラム街なんてそんなもんだろ?好き好んで危ない地区をほっつき歩く奴なんていないよ。」


しかし、ジャックはもう1つ気になっていたことがあった。


「ロイさんもう1ついいですか?」


「なんだ?」


「さっきから、後ろから黒猫がついてきてるんですけど…。」


「なに!?」


ロイは後ろを振り向いた。

そこには確かに黒猫が1匹ついてきていた。


「ジャック!走るぞ!」


ロイは黒猫を確認すると、物凄いスピードで走り始めた。


「ロイさん!」


ジャックもロイにつられ走り始めた。


黒猫は泣き声をあげるとロイとジャックについて行くように走りだした。


「ロイさん!どうしたんです!相手はただの黒猫ですよ!」


「バカヤロー!ただの黒猫なら走ってくるわけないだろ!」


「何言ってるんです!黒猫だって他の猫と同じですよ!走ったりついてきたりしますよ!」


ロイは後ろを振り向いた。

黒猫はまだついてきている。


「ロイさん!落ち着いてください!猫ですよ!」


「お前気がつかないのか!」


「気がつく?一体何の話です!」


2人は全力で走っていた。


「相手は猫だぞ!おかしいだろ!」


「だから何が!」


「お前忘れたのか!俺たちは死神だ!人間や現世の奴らには見えないんだよ!」


「!?」


「つまり、あの黒猫はただの猫じゃない!」


ジャックは青ざめていた。

たしかにロイに教えてもらった記憶がある。

つまり、今追いかけてきている黒猫は只者ではないということだ。


「この後どうするんです!」


「飛ぶぞ!」


「!」


ロイはジャックの襟首をつかみ、目の前にある廃墟のビルめがけて、思いっきり地面を蹴った。


「ウソだろ!」


ロイとジャックは高さ30mはあろうかというビルの屋上まで跳ね上がった。


「黒猫は!」


ビルの上に着地したロイはすぐさま下にいる黒猫を探した。


「いない!?」


ついさっきまで後ろを追いかけていた黒猫がいない。

ロイは懸命に探した。


「くそっ!どこだ!どこに行きやがった!」


ビルの屋上から下を見下ろし、探していた。


「何かお探しかな?」


ロイの目先とは反対側で男の声がした。


「ロイさん…。」


うまく着地できずに座りこむジャックの隣には黒猫がいた。


「君たちは死神だね。何をしに来た?」


その声は黒猫から聞こえてくる。


「ロイさん、猫が喋ってる…。」


黒猫の正体とは?

敵なのか?味方なのか?

いったい何者なのか?

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